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ギムレット

地下鉄に吹く生ぬるい風

歩くのが早くなった

高い建物に慣れた

颯爽と歩く人 目に留まる色
目に留まる人
目に留まりたいと思うこと

原っぱに寝転んでいた自分が
背伸びしたいと思うこと

簡単に環境に変えられてしまう自分
急な流れに 乗り込んで
私は新しい味を覚える

扉を叩く。花開いた。
あでやかに微笑んで見て
汗を抱いて もう一度夢を見る。

夢を見ている。
朝の細い月。
ペーパームーン。

夢を……

ささやかながら 知性がある自分を呪いたかった。

私には言葉を尽くす必要があった
身体性は時に 言葉を超えるけど
多くの場合言葉は 正しさをもたらしてしまう

「…ギムレット」

思い出の少女漫画で出てきたそのお酒は
思ったよりも強くなく

すんなり飲めてしまう自分に
そうか いつの間にかその主人公の歳を
追い越していたと気づき 時は残酷に流れると
一瞬落胆

「涙を一粒垂らしたら
悲しい味と分かるのかしら」
セリフっぽく思う。

「面の皮が厚いあなたには分からないでしょう」
別の誰かが言う。
あの時のあなたの気持ちが分かったよ。
太宰治でしょうか。
分かったとて、ブルー。

今日は長い雨が降ります。
小さな扉を開けてこもり切り。

乾いた私の内側に
必要なのは 長い長い雨。

ぽとりと椿が落ちました。

顔を斜めにかたむけて
櫛で髪とく深夜2時。



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