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【Alphabet(GOOGL)Q1 FY2026】AI時代に覚醒したGoogle——Android、Search、Cloud、TPU、Waymoで再び「世界OS」へ

Alphabet(GOOGL)のQ1 2026決算を見て、改めて思った。これはもう、単なる検索広告会社やAI会社として見る決算ではない。

Googleは、スマホ時代にAndroidを作り、Chromeで検索導線を握り、YouTubeを日常のコンテンツ消費に定着させた。さらにGoogle MapsやGmailのような、本来なら有料級のサービスも基本無料で提供し、世界中の人の生活導線に入り込んだ。

Googleの本質は、無料または低摩擦の入口を作り、そこに世界中のユーザーを集め、広告、クラウド、サブスクリプション、プラットフォーム収益へ接続する構造にある。

その企業アイデンティティが、AI時代にもう一度立ち上がっている。

SearchはAIに壊されるどころか、AI ModeやAI Overviewsによって再び拡張されている。Cloudは後発に見えたが、Gemini、TPU、BigQuery、Workspace、Wizを組み合わせることで、企業AIの実装基盤として急速に存在感を高めている。TPUは単なる自社用チップではなく、AI計算資本として外部顧客にも広がり始めた。そしてWaymoは、情報空間ではなく物理空間にGoogleのOSを持ち込む存在だ。

Alphabetは、AIを単体プロダクトとして売る会社ではない。
AIをSearchに流し込み、Cloudで企業に売り、TPUで計算資本を握り、Geminiで日常導線に入り、Waymoで物理世界へ出ようとしている会社だ。

だから今回のGOOGL決算はAI時代にもう一度、「世界のOS」になろうとしている決算だと思う。


Q2’25 → Q3’25 → Q4’25 → Q1’26

・売上高:$96.428B → $102.346B → $113.828B → $109.896B
 Q1’26はQoQ -3.5%、YoY +22.0%
 Q1は季節的にQ4から落ちるが、それでも前年同期比では大きく加速している。

・Google Search & other:$54.190B → $56.567B → $63.073B → $60.399B
 売上構成比:56.2% → 55.3% → 55.4% → 55.0%
 Q1’26はQoQ -4.2%、YoY +19.1%
 AIがSearchを破壊するという懸念に対して、少なくとも今回の数字ではSearchはむしろ再加速している。会社側も、AI experiencesが利用を押し上げ、検索クエリが過去最高水準にあると説明している。

・YouTube ads:$9.796B → $10.261B → $11.383B → $9.883B
 売上構成比:10.2% → 10.0% → 10.0% → 9.0%
 Q1’26はQoQ -13.2%、YoY +10.7%
 Q4の広告繁忙期からは落ちたが、前年同期比では二桁成長。YouTubeは引き続きコンテンツ消費の基盤であり、AI時代にも広告・サブスク・クリエイター経済の接点として残る。

・Google Network:$7.354B → $7.354B → $7.828B → $6.971B
 売上構成比:7.6% → 7.2% → 6.9% → 6.3%
 Q1’26はQoQ -10.9%、YoY -3.9%
 ここは明確に弱い。Alphabetの広告事業の中でも、成長の中心はGoogle owned properties、特にSearchとYouTubeに寄っている。

・Google advertising total:$71.340B → $74.182B → $82.284B → $77.253B
 売上構成比:74.0% → 72.5% → 72.3% → 70.3%
 Q1’26はQoQ -6.1%、YoY +15.5%
 広告依存度はまだ高い。ただし、売上構成比は徐々に低下しており、Cloudとサブスクリプションが相対的に存在感を増している。

・Google subscriptions, platforms and devices:$11.203B → $12.870B → $13.578B → $12.384B
 売上構成比:11.6% → 12.6% → 11.9% → 11.3%
 Q1’26はQoQ -8.8%、YoY +19.3%
 YouTube、Google One、Gemini関連のAIプランがここに効いている。会社はQ1をconsumer AI plansの過去最高四半期とし、paid subscriptionsは約350Mに達したと説明している。

・Google Services total:$82.543B → $87.052B → $95.862B → $89.637B
 売上構成比:85.6% → 85.1% → 84.2% → 81.6%
 Q1’26はQoQ -6.5%、YoY +16.0%
 Google Services営業利益:$33.063B → $33.527B → $40.132B → $40.589B
 Google Services営業利益率:40.1% → 38.5% → 41.9% → 45.3%
 ここは依然としてAlphabetの利益エンジン。AI投資が重い中でも、Servicesの営業利益率はQ1’26で45.3%まで上がっている。

・Google Cloud:$13.624B → $15.157B → $17.664B → $20.028B
 売上構成比:14.1% → 14.8% → 15.5% → 18.2%
 Q1’26はQoQ +13.4%、YoY +63.4%
 Google Cloud営業利益:$2.826B → $3.594B → $5.313B → $6.598B
 Google Cloud営業利益率:20.7% → 23.7% → 30.1% → 32.9%
 今回の決算で最も重要なのはここ。Cloudが売上成長率+63%まで加速しながら、営業利益率も32.9%まで上がった。Google Cloudは、もはやAWS/Azureの後追いクラウドではなく、AIモデル、TPU/GPU、BigQuery、Gemini Enterprise、Wizを束ねる企業AI基盤として評価すべき段階に入っている。

・Other Bets:$373M → $344M → $370M → $411M
 売上構成比:0.39% → 0.34% → 0.33% → 0.37%
 Q1’26はQoQ +11.1%、YoY -8.7%
 Other Bets営業損失:-$1.246B → -$1.426B → -$3.617B → -$2.100B
 Waymo単体売上は未開示。Other BetsにはWaymo以外も含まれるため、Waymoの売上比率は正確には分からない。Q1’26のOther Bets全体でもAlphabet売上の0.4%未満にすぎない。ただし、Waymoは週50万回超の完全自動運転ライドに到達しており、売上規模ではなくリアルワールドAIの巨大オプションとして見るべき段階にある。

・GAAP粗利率:59.5% → 59.6% → 59.8% → 62.4%
 Q1’26はQoQ 約+260bp
 AI関連のコスト増がある中でも、Q1の粗利率は大きく改善した。これはカナダのデジタルサービス税関連の戻入など一部要因もあるため、単純に恒常的な改善と断定はしない。

・GAAP営業利益:$31.271B → $31.228B → $35.934B → $39.696B
 GAAP営業利益率:32.4% → 30.5% → 31.6% → 36.1%
 Q1’26はQoQ +10.5%、YoY +29.7%
 Q3’25は欧州委員会制裁金の影響があり、会社はこれを除く営業利益率を33.9%と説明している。Q1’26は営業利益率36.1%まで上がっており、AI投資を進めながら利益率も保っている点が強い。

・GAAP EPS:$2.31 → $2.87 → $2.82 → $5.11
・non-GAAP EPS:未開示
 Alphabetは、QCOMのように会社指標としてnon-GAAP EPSを前面に出していない。non-GAAPとして主に開示しているのは、FCFと恒常為替ベース売上高である。Q1’26のGAAP EPS $5.11は非常に強いが、株式評価益によるEPS押し上げが$2.35ある。これを単純控除した参考値は$2.76だが、これは会社開示のnon-GAAP EPSではない。

・営業CF:$27.747B → $48.414B → $52.402B → $45.790B
 営業CFマージン:28.8% → 47.3% → 46.0% → 41.7%

・設備投資額:$22.446B → $23.953B → $27.851B → $35.674B
 設備投資 / 売上比率:23.3% → 23.4% → 24.5% → 32.5%

・FCF:$5.301B → $24.461B → $24.551B → $10.116B
 FCFマージン:5.5% → 23.9% → 21.6% → 9.2%
 今回の決算で最も冷静に見るべき弱点はここ。営業利益は強いが、AIインフラ投資によりFCFは圧迫されている。Alphabetは軽い広告会社から、巨大なAI資本企業へ変わりつつある。

・SBC:$5.998B → $6.368B → $7.071B → $6.751B
 SBC / 売上比率:6.2% → 6.2% → 6.2% → 6.1%
 比率としては大きく悪化していない。ただしQ4’25のOther Bets営業損失には、Waymoの推定株式評価に基づく$2.1Bの従業員報酬費用が含まれている。Waymoの価値が高まるほど、非上場子会社としての評価と報酬設計も損益に影響し得る。

・希薄化後株式数:12.198B → 12.203B → 12.228B → 12.238B
 株式数は微増。2025年は自社株買いを実施していたが、Q1’26は巨額CapEx、Wiz買収、Intersect買収、Waymo資金拠出、債券発行など、資本配分の重心がAIインフラと戦略投資へ寄っている。

・現金及び現金同等物:$21.036B → $23.090B → $30.708B → $38.063B
・現金・現金同等物・市場性有価証券:$95.148B → $98.496B → $126.843B → $126.840B
 Q1’26末でも流動性は極めて厚い。一方で、長期債務はQ4’25の$46.547BからQ1’26に$77.501Bへ増加しており、Q1には$31.1Bのシニア無担保債を発行している。AI時代のAlphabetは、現金を積み上げる会社というより、バランスシートを使ってAIインフラを取りに行く会社へ変わりつつある。

・Revenue backlog:Q4’25 $242.8B → Q1’26 $467.6B
 Q1’26のうち、Google Cloud関連は$462.3B。50%超を今後24か月以内に売上認識する見込み。なお、Q1’26から1年以内契約もbacklogに含める開示変更があり、その影響は約$7.3B。したがって、backlogの急増は非常に重要だが、通常GCP契約、TPUハードウェア契約、短期契約の内訳は継続確認が必要。

・TPUハードウェア契約:Q1’26から重要論点化
 Google Cloudは、特殊かつ大規模なオンプレミス需要を持つ顧客に対して、複数GW規模のTPUハードウェアを供給する契約を結んだ。これらの売上はQ1’26末のbacklogに含まれ、2026年後半から一部認識、重要部分は2027年に認識される見込み。ここは今後のAlphabetを見る上で新しい監視項目になる。

■ Search:AIに壊されるどころか、再加速した現金製造機


GOOGLを見る上で、まずSearchを確認する。

ここ数年、市場には「AIチャットがGoogle Searchを壊す」という懸念があった。ユーザーがChatGPTやPerplexityのようなAIに直接質問するようになれば、検索結果ページを経由しなくなる。そうなれば広告収益が削られる、という見方だった。

しかし、Q1FY2026の数字はその懸念をかなり押し返した。

Google Search & otherはYoY +19.1%の$60.399B。Alphabet全体の売上の55%を占める最大事業でありながら、再び高い成長率を出した。会社は、AI ModeやAI OverviewsがSearchの利用を増やし、検索クエリが過去最高水準にあると説明している。

ここで重要なのは、AIがSearchを単純に代替しているのではなく、Searchをより複雑で、長く、商業的な行動に拡張している可能性だ。

従来のSearchは、短いキーワードを入力し、リンクをクリックする体験だった。AI ModeやAI Overviewsは、より曖昧で長い問い、比較、意思決定、買い物、旅行、金融、健康、仕事に近いクエリを取り込める。つまり、AIはSearchの単価を下げる敵ではなく、Searchの利用面積を広げる装置になっている可能性がある。

もちろん、まだ断定はできない。AI検索に広告をどう自然に組み込むのか、ユーザー体験を壊さず収益化できるのかは今後の検証点だ。だが、Q1FY2026時点で確認できる事実は、AI導入後もSearchは壊れていない。むしろ数字としては強くなっている。

これは、AlphabetのAI時代の再評価における土台だと思う。

■ SearchからCommerce OSへ:UCPが示す次の回収口


Searchの強さを考えるうえで、もう一つ見逃せない論点がある。それがUCP、つまりUniversal Commerce Protocolである。

UCPは、AIエージェントが商品を探し、比較し、購入し、決済や購入後サポートまで進むための共通規格のようなものだ。カンファレンスコールでは、Googleが1月にUCPを立ち上げ、Amazon、Meta、Microsoft、Salesforce、StripeがUCP Tech Councilに加わったと説明されている。Shopify、Etsy、Target、Wayfair、Googleも創設メンバー側にいる。

これはかなり重要だと思う。

Google Searchの価値は、単に情報を探す場所であることではない。
ユーザーの意図が最初に現れる場所であることにある。

AI時代になると、検索は「リンクを探す行為」から、「目的を達成する行為」に近づいていく。商品を探す、比較する、予約する、購入する、決済する。そこまでAIエージェントが担うようになるなら、Googleが握りたいのは検索結果ページだけではない。発見から購入までの商業導線そのものだ。

UCPは、そのための商業OSになり得る。

もちろん、まだ初期段階であり、UCPが業界標準になると断定するのは早い。だが、Amazon、Meta、Microsoft、Salesforce、Stripeのような企業が関与しているなら、GoogleがAgentic Commerce、つまりAIエージェントによる商取引の基盤作りに本気で入っていることは確認できる。

ここで見えてくるのは、Searchの次の姿だ。

Googleは、検索広告を守るだけではなく、AI時代の商業導線をもう一度取りに行っている。
情報検索のOSから、商業行動のOSへ。
これも、GOOGLを「世界OS」として見る理由の一つだ。


■ Cloud:後発クラウドから、企業AI基盤へ


今回の決算で最も分かりやすく市場の見方を変えたのはGoogle Cloudだ。

Q1FY2026のGoogle Cloud売上は$20.028B、YoY +63.4%。しかも営業利益率は32.9%。売上が急加速しているだけではなく、利益率も同時に上がっている。

これは非常に大きい。
かつてGoogle Cloudは、AWSやAzureに対する後発クラウドという印象が強かった。だがAI時代に入って、その見え方が変わり始めているのではないか。

Google Cloudは、単なるサーバー貸しではない。Gemini、TPU、GPU、BigQuery、Workspace、Gemini Enterprise、Wizを組み合わせ、企業がAIを実装するための基盤になろうとしている。

特に重要なのは、Cloud backlogだ。Q1 FY2026末の全社Revenue backlogは$467.6B。そのうちGoogle Cloud関連が$462.3Bを占める。Q4 FY2025末の全社Revenue backlogは$242.8Bだったため、全社ベースでは短期間でほぼ倍増した形になる。

ただし、ここは慎重に見る必要もある。Q1FY26から1年以内契約もbacklogに含める開示変更があり、その影響は約$7.3B。また、TPUハードウェア販売もbacklogに含まれている。したがって、backlogの数字そのものは強いが、その中身、粗利率、契約の継続性、TPUハードウェア比率は次回以降の確認点になる。

それでも、今回のCloudの数字は明確に強い。
Google Cloudは、AI時代にAlphabetを広告会社からAI基盤企業へ引き上げる第2エンジンになり始めている。

■ TPU:自社用チップから、AI計算資本へ


今回、個人的にかなり重要だと思うのがTPUだ。

Googleは昔から自社開発のTPUを持っていた。これは、Search、YouTube、Gemini、Google Cloudを効率的に動かすための内部インフラという印象が強かった。

しかしQ1FY2026では、その意味が変わり始めた。

Google Cloudは、複数GW規模のTPUハードウェアを、特殊かつ大規模なオンプレミス需要を持つ顧客に供給する契約を結んだ。売上認識は2026年後半から一部始まり、重要部分は2027年見込み。これらの契約はCloud backlogにも含まれている。

これは、TPUが単なる自社用のコスト削減装置ではなく、外部顧客に供給されるAI計算資本になり始めたことを意味する。

AI時代に最も重要な資本は、計算資源だ。GPU、TPU、データセンター、電力、ネットワーク、冷却、モデル、ソフトウェア。Alphabetは、このうち多くを自社で握っている。

NVDAはAIファクトリーの標準部品を握る会社だ。
一方、GoogleはSearch、Cloud、Gemini、TPU、YouTube、Android、Chrome、Workspaceを持ち、需要側と供給側の両方を持っている。

これはNVDAの代替ではない。
別のAIファクトリー支配モデルだと思う。


Googleは、AIを使う会社であり、AIを配る会社であり、AIを動かす計算資本を持つ会社でもある。TPUが外に出始めたことで、この構造が一段深くなった。

■ Gemini:無料導線の再発明


Googleの強さは、AIモデル単体の性能だけではない。
本当に強いのは、Geminiを流し込む導線をすでに持っていることだ。

Search、Chrome、Android、Gmail、Google Maps、YouTube、Google Photos、Google Drive、Google Workspace。Alphabetの10-Kでも、Google Servicesの中核プロダクトとして、こうした生活インフラ級のプロダクト群が列挙されている。

スマホ時代、GoogleはAndroidを無料で広げ、Chromeで検索導線を握り、YouTubeでコンテンツ消費を取り、MapsとGmailで日常のインフラになった。

AI時代にも、同じことが起きている。

Geminiは単体アプリとしても重要だが、それ以上に、Search、Chrome、Workspace、Cloud、Maps、Androidに埋め込まれることで力を持つ。ユーザーは、わざわざAIを使いに行かなくても、普段使っているGoogleの導線の中でAIに触れることになる。

Q1FY2026では、paid subscriptionsが約350Mに達し、consumer AI plansは過去最高四半期だった。Gemini Appがその牽引役になったと会社は説明している。また、first-party modelsの直接API利用は16B tokens per minuteを超え、前四半期の10Bから大きく増えた。

Googleは、AIを有料アプリとしてだけ売る必要がない。
無料導線でユーザーを集め、必要な部分を広告、サブスク、クラウド、API、Workspaceに変換できる。

これは、Googleが昔からやってきたことではないか。そして今、それがAI時代に再起動していると感じる。

■ Waymo:自動車業界のAndroid化という巨大オプション


Waymoは、決算で必ず触れるべき事業であり、私がGOOGLの可能性を強く感じる部分である。

Waymoと言っても、売上高の話ではない。
Waymo単体の売上は未開示であり、Other Bets全体でもQ1FY26売上は$411Mにすぎない。Alphabet全体売上$109.896Bに対して、Other Bets全体でも0.4%未満だ。しかもOther BetsにはWaymo以外も含まれる。したがって、Waymo単体の売上比率は分からない。

それでも、Waymoは無視できない。

会社はQ1FY2026で、Waymoが週50万回超の完全自動運転ライドを達成したと説明している。さらに2026年にはNashvilleを含む複数都市へ展開し、米国11主要都市で運用していると述べている。

Waymoの本質は、ロボタクシー事業そのものだけではない。これは、物理世界でAIが継続的に意思決定するリアルワールドAIだ。

Searchが情報空間の入口だとすれば、Cloudは企業AIの基盤。TPUは計算資本。Geminiはユーザー接点。そしてWaymoは、現実世界の移動をAI化する出口になる。

Waymoが本当にスケールし、複数の車両プラットフォームに横展開できるなら、自動車メーカーは単に車体を作るだけではなく、その上にWaymo Driverという頭脳を載せる選択肢を持つことになる。これは、スマホ業界でAndroidが果たした役割に近い。

つまり、自動車業界のAndroid化である。

もちろん、ここにもジレンマはある。
ロボタクシーは人間ドライバーの人件費を削れる一方で、車体、センサー、計算機、整備、充電、清掃、保険、遠隔支援、都市ごとの規制対応、拠点運営といった重い資本投下が必要になる。

だからWaymoは、単純に「人件費がないから高利益率」と見るべきではない。
見るべきポイントは、都市展開の再現性、1オペレーションあたり管理台数、1台あたり稼働率、事故率、保険コスト、車両コスト、規制対応、OEM連携、そしてOther Betsの損失縮小だ。

それでも、TSLAがロボタクシーの期待で大きな評価を受けるのであれば、すでに実運用で都市展開を進めているWaymoがGOOGLの中で十分に評価されていない可能性はある。

Waymoは、今の売上を動かす事業ではない。
だが、AI時代のGOOGLを考える上で、最も眩しい長期オプションの一つだと思う。

Waymoは東京でもGO、日本交通と組んで展開準備を進めている。現時点で完全無人の商用ロボタクシーとして東京で乗れると断定する段階ではないが、いつか東京でWaymoに乗ってみたいと思わせるだけの現実味は出てきた。

■ 眩しさの裏にある、重いCapEx


ここまで見ると、GOOGLは本当にすごい会社に見える。
Search、YouTube、Android、Chrome、Maps、Gmail、Gemini、Cloud、TPU、Waymo。全方位でAI時代の入口を取りに行っている。

ただし、投資家としては、眩しさだけで終わってはいけない。

最大の論点はCapExだ。

Q1FY2026の設備投資額は$35.674B。売上比率で32.5%。FCFは$10.116B、FCFマージンは9.2%まで低下した。営業利益は強いが、AIインフラ投資がキャッシュを大きく吸収している。

これは、GOOGLが軽い広告会社から、巨大なAI資本企業へ変わっていることを意味する。

AI時代には、モデルだけでは勝てない。データセンター、サーバー、TPU、GPU、電力、ネットワーク、セキュリティ、冷却、都市インフラまで必要になる。GOOGLはそれらを取りに行っている。

この投資が、Searchの拡張、Cloudの成長、TPUの外販、Geminiの普及、Waymoのスケールに変わるなら、CapExはモート投資になる。
逆に、AI需要を過大評価していた場合、重い固定費になる。

ここが、GOOGL投資の本質だ。

GOOGLはAI時代に覚醒している。
だが、その覚醒は軽いソフトウェア企業としての覚醒ではない。
巨大な資本を投じて、AI時代の計算・情報・企業活動・移動インフラを取りに行く覚醒だ。

ここで重要なのは、営業利益率の高さだけではない。利益率の質である。

Q1FY2026の営業利益率36.1%、Google Cloud営業利益率32.9%は非常に強い。だが、これは損益計算書上の利益であり、同時にCapExは$35.674Bまで増えている。つまり、営業利益は強く見える一方で、フリーキャッシュフローは設備投資に大きく吸収されている。

これをどう評価するかが、GOOGL投資の分かれ道になる。

広告事業だけを見れば、Googleは本来、非常に軽い資産で高い利益を出す会社だった。だがAI時代のAlphabetは違う。TPU、GPU、データセンター、電力、ネットワーク、冷却、セキュリティ、さらにWaymoの車両・運用基盤まで必要になる。

つまり、GOOGLは「高利益な広告会社」から、「高利益事業を持ちながら、AI時代の資本集約インフラを取りに行く会社」へ変わっている。

だから次に見るべきは、単なる営業利益率ではない。
このCapExが将来のROIC、つまり投下資本利益率を高めるのかどうかである。

Cloudの売上成長、Cloud backlogの売上化、TPUハードウェア販売の粗利率、AI Searchの広告収益化、Waymoの都市展開。これらがCapExを上回る将来キャッシュフローに変わるなら、今の投資は不可逆モートを作る。逆に、AI需要を過大評価していた場合、このCapExは重い固定費になる。

GOOGLの投資判断は、もう「広告が強いか」だけでは足りない。AI時代の巨大資本投下が、本当に将来のフリーキャッシュフローを拡大するかを見る必要がある。

■ 今回の決算で見えた不可逆モート


今回の決算を「売上もEPSも市場予想を上回った好決算」で終わらせられない。本質は、GOOGLのモートがAI時代にどう変わったかだ。

Searchは、AIに壊されるどころか、AIによって検索行動そのものを拡張している。
Cloudは、後発クラウドから企業AI基盤へ変わり始めている。
TPUは、自社用チップからAI計算資本へ進化しつつある。
Geminiは、Googleの既存導線に流し込まれることで、単体アプリ以上の配布力を持つ。
Waymoは、物理世界でAIを運用する長期オプションとして存在感を増している。

Googleは、スマホ時代にAndroidで端末OSを取り、ChromeとSearchで情報の入口を取り、YouTubeでコンテンツ消費を取り、MapsとGmailで生活インフラを取った。

AI時代には、Gemini、Search AI、Google Cloud、TPU、Workspace、Waymoで、同じことをやろうとしている。

だから、GOOGLを単なる広告株として見る時代は終わりつつある。

■ まだ確認できていないこと


一方で、確認できていないことも多い。

Waymo単体の売上、利益率、車両単位の経済性は未開示。
TPUハードウェア販売の粗利率、契約別のbacklog構成、通常GCPとの利益率差も未開示。
AI Searchの広告収益化率、AI Modeの商業クエリ比率、広告単価への影響もまだ分からない。
Cloud backlogは強いが、顧客集中度、更新率、TPU外販比率、Wiz統合後の利益率は今後の確認点だ。
CapExは明確に重く、FCFマージンは低下している。

つまり、GOOGLは「何も心配ない完璧な銘柄」ではない。
むしろ、AI時代に巨大な資本投下を進める会社として、投資回収を厳しく見なければならない。

ただし、今回の決算で見えた方向性はかなり強い。

■ AI時代に最も眩しい銘柄の一つ


GOOGLは、AI時代に最も眩しい銘柄の一つだと思う。

理由は、AIを単体プロダクトとして売る会社ではないからだ。
AIを世界の生活導線、企業活動、計算資本、物理移動に流し込める会社だからだ。

Searchで現金を生み、Cloudで企業AIを取り、TPUで計算資本を握り、Geminiでユーザー接点を広げ、Waymoで物理世界へ出る。

これは全方位だ。

自分の投資判断としては、GOOGLは「重要監視」ではなく、明確にコア候補として見てよい段階に入ったと感じる。
ただし、今から買うなら見るべきは、単なるPERやEPSではない。

見るべきは、この巨額CapExが不可逆モートに変換されるかである。

GOOGLは、AI時代に再び「世界のOS」になろうとしている。今回の決算は、その可能性を数字で見せ始めた決算だった。

■ 次回チェックポイント


・Google Cloudの成長率と営業利益率
・Cloud backlogの質
・TPUハードウェア売上の認識
・AI Searchの収益化
・FCFの回復
・Waymoの都市展開と損失推移


最後まで読んでいただきましてありがとうございます。役に立ちましたら、是非、スキ、フォローしていただきましたら幸いです。


(免責事項)
本執筆内容は、執筆者個人の意思決定の整理及び記録等を目的として公開するものであり、迷い・再考・修正・仮説更新を伴います。また、本執筆によって提供される情報は正確性等を保証するものではございません。つきましては、読者の方々にとって必ずしも適切であるとは限らないことから、投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、ご自身の判断と責任の基で投資をされるようお願いします。なお、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。


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