【Credo(CRDO)】NVIDIA GTC AIファクトリーで曖昧になった今、ポートフォリオ位置付けを再考する
GTC 2026後、CRDOは大きく売られた。
3月17日の終値は 104.06ドル、前日比 -10.97%。
値動きだけ見れば、かなり強い失望売りに見える。
私はCRDOを前回決算後に買った。
CRDOは、最初からコア銘柄として買ったわけではなく、時限的モメンタムサテライト枠として、決算後に買った。
まず、今回再考すべきことは、「事業が壊れたかどうか」を見ていくのだが、最終的にポートフォリオとして「その買い理由がまだ残っているか」まで落とし込んで、重要な投資判断の考察を記しておく。
■ 私がCRDOを買った理由
当時、CRDOを購入するにあたり比較対象にしていたのはAstera Labs(ALAB)だった。
両方ともAIインフラの「接続レイヤー」にいるが、限られたサテライト枠の資金をどちらに置くかという問題として見ていた。
そのとき私が重視したのは、成長率に対して、どちらがより軽い利益バリュエーションで、しかも近い時間軸で数字が出そうかだった。
この比較の骨格は、いま見てもまだ残っている。
CRDOの Non-GAAP Forward PER は 35.32倍、PEG は 0.45。一方、ALABの Non-GAAP Forward PER は 51.72倍、PEG は 1.50。
ソースや計算の違いはあるものの、利益成長に対して株価がどれだけ重いかで見ると、今もCRDOの方がかなり軽い。
しかも、近い将来の成長率を見ても、CRDOの FY Apr 2027 売上成長率は +52.78%、EPS成長率は +42.78%。
ALABの FY Dec 2027 は売上成長率 +37.97%、EPS成長率 +42.88% なので、EPS成長率は近いが、売上成長率ではCRDOの方がなお強い。
要するに、当時の私の判断は、「ALABよりも、CRDOの方が近い数字と利益バリュエーションの組み合わせが良い」というものだった。これは少なくとも今の数字でも、完全には崩れていない。
ただし、今は以前より新しく厳しくなった点もある。それは、PSRではもはや差がないことだ。CRDOの Forward Price/Sales は 16.20倍。ALABは 16.10倍。
これはかなり大きい。
当時は「CRDOの方が安い」という感覚で持てた部分があったが、いまは少なくとも売上倍率では優位性が消えている。
つまり今の比較は、
• PERとPEGではなおCRDO優位
• PSRでは差が消失
という構造だ。
ここは、当時より条件が厳しくなったと認識しておくべきだと思う。
■ 当時の私は、何に賭けていたのか?
ここは後でぶれないように、はっきり書いておきたい。
私はCRDOを、「長期で不可逆モートを積み上げる中心株」として買ったのではない。そうではなく、「近い四半期で数字が強く出る可能性が高く、その割にALABより利益バリュエーションが軽い時限的モメンタムサテライト」として買った。
ここはかなり重要だ。なぜなら今回の再考は、
“コア(モート)としてどうか”と“サテライト(モメンタム)としてどうか”で答えが変わるからだ。
■ GTCで何が変わったのか
今回のGTCで変わったのは、足元の数字ではない。
変わったのは、市場がCRDOをどう見るかという構造面の評価だと思う。
Rubin世代でNVIDIAが見せたのは、接続を単なる周辺部材としてではなく、AIファクトリーの中核設計として取り込んでいく姿だった。
Rubin NVL72では、各compute trayに quad ConnectX-9 SuperNIC boards が入り、Rubin GPUあたり1.6Tb/s のネットワーク帯域を持たせると説明している。さらにRubin PODでは、背面に pre-integrated and pre-validated copper cable cartridges を置き、Rubin Ultra NVL576では copper と direct optical connections を備えた単一のNVLinkドメインを示した。
つまり市場が見たのは、「接続の価値が上がる」
という大テーマそのものではなく、「その価値取り分を、NVIDIAがより自社設計の内側に閉じ込め始めた」という現実だった。
■ 何が壊れたのか?
壊れたのは、「GTCでCRDOの勝ち筋がより明確になる」という期待だ。
GTC前までは、接続の重要性が高まればCRDOにも素直に追い風がくる、という見方があった。だが実際にGTCで見えたのは、ConnectX-9、NVLink copper spine、Rubin Ultraの copper + direct optical という、NVIDIAが接続価値をより強く自社システムに取り込んでいく姿だった。
さらに、Jensen Huangは銅と光の両方を使い続ける考えを示し、私は「どちらか一方の明快な勝ち」を示さなかったと判断し、従来通りのラック内の銅は2027年まで主流、一方でCPOの本格化はより先、という形で整理を継続した。
しかし、市場が受け取ったのは、CRDOにとって良い答えではなく、少し曖昧な答えだった。だから今回のGTCは、CRDOにとって追い風確認イベントではなく、勝ち筋を問い直されるイベントになったのだと思う。
■ ただし、事業が壊れたわけではない
ここは冷静に切り分ける必要がある。
CRDOはAEC一本足の会社ではない。
Cardinal(AIの巨大ネットワーク向けに特化した超省電力の1.6T 光デジタル信号処理プロセッサファミリー)の一次情報を確認すると、Credoは massive-scale AI fabrics 向けの 1.6T optical DSP family を出している。224G/lane、retimed optics と LRO (省電力リニア受信オプティクス)の両方に対応し、LRO実装で15W未満、片方向40ns未満の超低遅延をうたい、Jabilも rack-scale AI infrastructure 向けの重要部材としてコメントしている。
さらにCredoは1月に Blue Heron 224G AI scale-up retimer を出し、UALink、ESUN、Ethernet を支え、40+dBの224G link recovery で rack-scale cable backplanes と GPU/スイッチの柔軟配置を可能にするとしている。Robin 800G optical DSP family も今回同日に発表している。
つまりCredo自身は、少なくともAEC / retimer / optical DSP / LROの複数レイヤーに張っている。
そして、数字そのものもまだ強い。
CRDOのQ3 FY2026売上は 4.07億ドル、前年比 +201.5%、前四半期比 +51.9%、非GAAP粗利率 68.6%、Q4売上見通しは 4.25億〜4.35億ドル。
つまり今回市場が売ったのは、近い四半期の数字ではなく、構造の見え方だ。これはかなり大きい違いだと思う。
だから再考すべきなのは、保有そのものではなく「意味づけ」で、ここが本題だ。もし私がCRDOを「GTCでさらに確信を深める構造株」として持っていたなら、今回の下げでかなり前提を崩されていたと思う。
だが実際には、私はCRDOを「数字が近い四半期で強く出る可能性が高く、その割にALABより利益バリュエーションが軽い時限的モメンタムサテライト」として買っていた。
この前提に立つなら、今回再考すべきなのは保有するかどうかではなく、その保有の意味づけを、より厳密にサテライトへ戻すことだと思う。少し哲学的に映るかもしれないが整理する必要がある。
つまり、今のCRDOはこう整理するのが自然だ。
• コアではない
• 構造株でもない
• GTCで確信が深まったわけでもない
• ただし、数字が高い間の時限的モメンタム枠としてはまだ仮説が残る
■ 今のCRDOは、数字と株価がズレた状態にある
今の局面が難しくて面白いのは、事業モメンタムはまだ強いのに、株価モメンタムは一度剥がれたからだ。
こういう局面では、株はしばしば数字は強いのに、戻りが鈍いという動きをする。市場が先に“構造の不安”を織り込み始めるからだ。
だから時間軸を分けて考える必要があるのではないかと思う。
短期では、まだ市場の解釈が勝つ。GTC後の失望とポジション調整が残りやすい。この時間軸では、無理に「数字は強いからすぐ戻る」と読むより、戻り売り圧力が残る前提の方が自然だと思う。
一方で、次の決算までの時間軸では再び数字が主役になる。Q4着地、FY27見通し、粗利率、AECとoptical DSPのミックス。ここで「構造不安はあるが、数字はまだかなり強い」が確認されれば、株価は修復余地がある。
逆に数字まで弱くなれば、今回の下げは単なるノイズではなく、市場の先行した再評価だったことになる。
■ CRDOはAIファクトリー時代にCRDOはどの層を押さえうるのか
ここが、今回もう一歩踏み込みたい論点だ。
正直に言えば、まだ明確ではない。
だから市場は売った。
ただ、それでも現時点で仮説として置けるものはある。
1つ目は、NVIDIA標準のど真ん中ではなく、その外側の混在領域だ。
NVIDIAはRubinでscale-upの中枢をかなり自社設計化している。だがAIインフラ全体が、すべてNVIDIA純正の理想形で統一されるわけではない。ハイパースケーラー、カスタムASIC、複数プロトコル、柔軟なラック配置。そうした“標準化しきれない現実”の部分では、Blue Heronのような multiprotocol retimer や、CredoのSerDes資産が生きる可能性がある。
2つ目は、光への移行が進むときの電力・熱制約の層だ。
CardinalのLROは、単に「光もできます」という話ではない。高密度GPUクラスタで、いかに低消費電力・低遅延で光を成立させるかという、AIファクトリーのかなり本質的な制約に触れている。もしAIファクトリー時代の光接続が、単なる帯域ではなく bandwidth per watt と thermal budget の勝負になるなら、Credoが押さえる余地は残る。
3つ目は、“銅か光か”ではなく、“銅と光の橋渡し”そのものだ。
今回のGTCで見えたのは、銅が即死する世界でも、光が一気に全域を置き換える世界でもなかった。むしろ、銅も光も併存する長い移行期だ。もしそうなら、Credoの価値は単一部材ではなく、移行期の複数レイヤーにまたがって対応できることにあるのかもしれない。
もちろん、これは私の仮説だ。ただ、次の決算まで持つなら、ここを見にいくのは意味がある。
■ 私の現時点の結論
私の結論はかなり明確だ。
CRDOを今すぐ投げる局面ではない。
ただし、“GTCでさらに確信を深めた構造株”として持つのは難しくなった。
だから位置付けはこうだ。
時限的モメンタムサテライト銘柄の継続。
しかも、そのサテライトとしての出口条件は前より明確に持つ必要がある。
• 次の決算で数字は本当に強いのか
• AEC / retimer / optical DSP / LRO のどこが伸びているのか
• 粗利率悪化は一時的か、構造的か
• NVIDIAの自前化圧力の外で勝てる顧客と層があるのか
この4つのどれかが崩れたら、「数字は高いはず」で持ち続ける理由はかなり弱くなる。
■ まとめ
今回のGTC後急落で考えたのは、事業が壊れたかどうかではない。問われているのは、CRDOがAIファクトリー時代のどの層を不可欠に押さえているのか、その一点だ。
一方で、私がCRDOを買った理由は最初からそこだけではなかった。近い四半期で強い数字が出る可能性が高く、その割にALABより利益バリュエーションが軽かった。その比較優位は、今も完全には崩れていない。ただし、PSRではもはや差がなく、優位性はPERとPEGに寄っている。ここは以前より条件が厳しくなったと認識しておくべきだと思う。
だから私は、CRDOを構造株として持つのではなく、数字が高い間の時限的モメンタムサテライトとして捉え直す必要があると感じている。
面白いのはここからだ。
株価モメンタムは剥がれても、次の決算まで数字が高いなら再評価余地は残る。逆に、その間に勝ち筋が見えなければ、この下落は一時的なノイズではなく、構造の再評価だったと受け止めるべきだと思う。
私はCRDOをポートフォリオにおいて8%保有しているが、一旦しばらく、この状況を見ていくことにする。
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