美術展感想|テート美術館展 -後にも先にも唯一泣いた展覧会|大阪中之島美術館
テート美術館展 光 -ターナー、印象派から現代へ
会期: 2023.10.26 – 2024.01.14
パウル・クレー展の記事にて、私は画面全体が光に満ちた明るい絵よりも、暗い画面に一筋の光が差している絵の方が好みだという話を書きながら、一昨年のテート美術館展を思い出した。
私が美術館で泣いたのは後にも先にも、そこである作品を見た時だけだ。
それはタイトルの通り、イギリス・テート美術館のコレクションから厳選された、「光」がテーマの展覧会だった。
ターナーの絵を目当てに訪れたのだが、他の作品も好みのものが多数あり、中でも特に心に残った作品があった。
それは大型のインスタレーション作品で、本作は個室に展示されていたのだが、その部屋に入った瞬間、自然と涙があふれた。

© 2023 James Turrell.
Photograph by Florian Holzher
*本展チラシより。チラシは捨ててしまうことが多いが、
これは捨てずに未だに保管している。
暗い海の底から揺れる水面を見上げるような、
極夜の空に雲の隙間から陽が差したような、
もしくは暗い洞窟を歩き続けてようやく出口を見つけた時のような、そんな空間だった。
2023年秋、本展を訪れるちょうど一ヶ月ほど前、
私はある人との出会いを契機に、数年あるいは数十年に渡り歩き続いた長いトンネルを抜け、ようやく光の当たる場所に出られたような、そんな心境の変化を経験していた。
《レイマー、ブルー》 を見て泣いたのは、その経験とリンクして共鳴するような感覚を覚えたからだと思う。
陰があるからこそ光に価値があり、
暗闇にいるからこそ光は眩しい。
この日は平日で雨が降っていたせいか人が少なく、この部屋ではしばらく空間を独り占めすることができた。心が浄化される空間だった。
本作は撮影不可だったが、あれを見た感覚は写真では伝えられないだろう。
いつか何処かでもう一度見たい作品。
ちなみに「ある人」とは「はじめてのnote」に登場した「ある人」と同一人物であり、私のペンネームの由来となった方である。
その人についても、いつか時が満ちれば書きたいと思う。
