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【Insel Seeker(インゼルシーカー)】デザイナーズノート_後編

皆さんこんにちは、アニマルウィップのレグルスです。
今回はゲムマ2025秋新作【Insel Seeker(インゼルシーカー)】のデザイナーズノート的な物、後編です。

前編はこちら

半分にしたのにまだ長いです……

3-2、オーディンの紙ペン(2023-2024)

迷走中、大きな進歩もありました。

オーディンの祝祭のように
行動それ自体ではなく、手に入った建物のパズルの結果収入が増える
ゲームにすればいいのでは?と思って作ったバージョンです。
正直別ゲーです。後々ドラフトにするとして、とりあえず遊べるか分からないからワーカープレイスメントにしようとテストしてみました。

これはパズル部分が楽しくなったので囲む紙ペン→Wald Builderと変化していきます。

ここでふと気がつきます。「2-1、it’s a wonderful Agricola」あたりに出てきた開拓を使ってWald Builder(ヴァルトビルダー)に出てきた「斧書き込み」「船書き込み」「ツルハシ書き込み」「ワイルド書き込み」を表現したら?
ドラフト紙ペンに全部ぶち込んで同じカードを使い回せるのでは?

Wald Builderのルールがまとまっていき、これと別のゲームとして作ることを決めたあたりで前々からやりたかったアイデアで突っ走ることを決めます。

やりたいこと
箱絵が繋がるゲームにする!
一部のカードを混ぜて遊べる三部作にする!

やりたいことって要するにセンチュリーシリーズのあれです
説明が難しいので「センチュリーシリーズ ボードゲーム」で調べて下さい。

センチュリーと違ってシンプルな変換ゲームでは無いので混ぜる範囲は小さくなっちゃうと思いますが、アイコンと世界観を共通した作品群が出来上がることになりました。
我ながら困難な野望だと思いますが重量級紙ペンゲーム三部作が動き始めました。
※三作目に関する情報はこの記事が初出です!

こんな長い目で見た依頼(箱絵と案内人イラスト)を受けてくれる竹崎でめこさんにも感謝!
※その他カードデザインなどは久遠堂ナカタヒサさんです。仕事早くて神

ストーリーや案内人に関する諸々の深掘りが進み、三作品の題名を決めました。
Animal WIP三部作だし、好きだからドイツ語使うか

頭文字がWのWald (森)+英語
次は頭文字がIのInsel(島)+英語にしよう!
最後は頭文字がPの……

今思うと、海の要素が出てきたのは結構あとなんですね。

4-1、ドラフト紙ペン(2024)

三部作構想に合わせて、地形の概念が導入されました。
2-3、Ukandenburg(ウカンデンブルク)は空と地上という2種類の地形しか無かったのですが、森・海・山が増えました。
初めて水の地形ができたので船という建物が増えたのもここです。

この頃はゲームシートが1枚のみでした。A面は今まで通りで、B面は先に開拓しないと建物を建てられないルールにしました。
表面では訓練場(剣のマーク)が1つ3点とただの得点源ですが、裏面は基地の数だけワイルド開拓を得られるということで、同じカードでエンジンビルドをしても価値が変わるようにしたかったのです。
しかし、裏面の方が評判がよく、結局最初から開拓を採用することにしました。Wald Builderの旅人カードを利用するために正方形をずらすのをやめてきれいに敷き詰めるようにしました。

この頃はまだ Wald Builderのデザインが出来ていなかったのでずっと古いものを使っていました。

4-2、Insel Seeker(仮)(2025)

アイコンとコインの価値やらなんやらを揃えて長い間完成版としてテストをしていたバージョンです。
1から5までをステータスの順番に合わせたのは完全にWald Builderの影響です。遺跡のアイコンやステータスのアイコンなど、少しずつ置き換えていきました。

主に勝利点とキャラ能力+ステータス4と5の変化を調整して終わるはずでした。この時はキャラクター能力が別でカード1枚(両面)で付いていました。
完成度は95%としていろんな人にテストしてもらっており、もう完成!
そのはずでした。

ここまで来ると何を考えてどう実装していたのか、具体的なことが書けるので詳しく見ていきましょう。

やりたいこと
手札を配置してエンジンビルド
①手札を捨てるとアクションが可能で、配置したカードも起動される。資源や建物が増える。
もしくは
②手札を捨てるとステータスが上がる

・ステータスはあげるとボーナスで建物が増える
・建物を増やすと資源が増える
・増えた資源で得た累積資源からステータスが上がる

何をしてもちゃんと点が入り、回し方で点差がつくゲームになっていました。

我ながらずいぶんちゃんと出来ていると思っています。
しかし、身内テストプレイ会で 「Wald Builderの方が面白かった」と言われてしまいました。

一番言われたのが「終盤の資源が余るから考える必要がない」
SNEのコンペで佳作を取った時から言われていたアレです。
次に言われたのが
「中盤のプレイ感が毎回同じ」というもの。
毎ラウンド終了時、ラウンド数分の資源を払ってステータスを向上できるようにしていたのですが、そんな小手先の変化では足りないというわけです。

また、こんなことも言われました。
「折角シリーズにするんだからもっと海に出ていくようなゲームにしたくない?」
背景を聞くと、目的地がはっきりしないと言われました。この時は、そのマスに建設したら5点入るマスが1つだけあったのですが、マップが固定なのでいつも同じルートになりがちということでした。

4-3、Insel Seeker(島版)(2025)

やっぱりシリーズものって二作目でこけやすいですからね。再び覚悟を決めて大幅なテコ入れが入りました。
解消したいのは3点
①序盤は足りないのに終盤は資源が余ること
②中盤だれる。プレイ感が似てしまう
③目的地が欲しい。海に出ていく感覚が欲しい


資源問題については、フリーアクションで資源が使えるようにしました。
今まで頑なに導入しなかったフリーアクション。これは、累計資源の所持数/使用数によるボーナスを残したかったからです。
いつでも自由に資源が使えるのならば、累積使用数のボーナスをいつでも起動できて美しく無いという考えがあります。
ここまでこだわっていた要素ではありましたが、泣く泣く削ることにしました。個人ボードを別で作ってキューブをスライドする欄を移動。
これにより累計に関するカード(Wald Builderのクイラ)を封印しました。

別の島に行くのにコストを払うなんてアイデアもありました


次に、中盤だれる問題についてはボーナスマスを作ることで解決しました。
今までは主にカードの構築による差しか無かったところ、マップ側で展開に更なるバリエーションが生まれました。
遺跡による追加点くらいしかなかったと考えると、よりルート取りが大切になりましたね。


上記ボーナスマスを作ったことが目的地作りとしても機能しました。
せっかくの島テーマなので、断絶された別マップを3つ準備しました。
こうして本島(A5)キャラ島(A6)野良島(A6)と3つの島を開拓するゲームになりました。

島についてはどんな特色を出すのか悩みましたが、たまたま個人的にイタリア・ヴェネツィア旅行をしたことで解決しました。大海原に様々な島があるイメージがぴったり。
ChatGPTに実在する島の名前をリストアップしてもらいました。

生成AIは使わない派ですが、リスト化とかはやっぱり便利

あとはGoogleマップを見ながら地形を作り、特色に合わせてボーナスを配置しました。

地形のバランスは調整しましたが、港と緑のマスを合わせたの楽しかったなぁ

もちろんゲーム的にたくさん調整したし、輪郭を描いてもらうタイミングでも変わっているので多分もう追えないはず。最後、イタリア語+ドイツ語で実際には存在しない名前に変更しました。

1から5の印字された固定アクションについても変更し、必ず何かが得られるようになりました。
それまで、4の船は建てるだけで収入源では無かったので大きな違いです。
最初はカードにする案もあったのですが、単価が意外と高い……
原価を下げるために色々と計算した結果、個人ボードを導入しました。
ここで統一感と遊びやすさのためについでにアクションにも手を加えます。

そして迎えたテストプレイ会! 反応は微妙でした。

一番言われたのは処理が多すぎること!
うん。僕もそう思う。
この時、全てを作り直すという意見に負けてアクションを打たなくても発動する常時収入のボックスがありました。※左側

全てのカードにも両方の効果があったので、4ラウンド目はカード12枚(24アクション)累積するという地獄っぷり。

特に4ラウンド目にあまりにもブン回ってしまったのが大問題でした。
木の資源を増やしてフリーアクションで建築し続けるというのは想定していましたが、それ以上のプレイが出ました。

以下3つの弱体化と微強化を行いました
①ラウンド数を4から3へ削減
→代わりに少しだけ弱い初期カードを3枚付与
②基本アクションの弱体化
→代わりに初期収入の強化(収入のあるボーナスマスに最初から隣接している)
③2つの建物が建てられるカードを廃止
→代わりにステータスのボーナスで建築可能にすることで最低限を担保

5-1、Insel Seeker(2025)

ついに完成しました。
問題になっていた部分も解消し、ブン回りすぎて疲れないようにしました。十分楽しいところでまぁまぁの開拓具合で終わるように調整!
※これだけ減らしてなお、それなりに量が多いため、多分疲れはします(笑)

2 x 10 x 10で200通りと島の組み合わせが多いのですが、基本的には全部A面から始めればいいという親切設計(?)
以前の荒削りなところにも良さがあると思いますが、楽しいところをぎゅっとまとめて遊びやすくなるよう試行錯誤しています。

5-2、改良への果てしない道

さて、5-1までのデザイナーズノートが大体書き終わったのが2025年8月末。
早い人はもう宣伝を始めていますが、まだデザイン面が完成していなかったのでちょっと焦っていました。
イラストの竹崎でめこさんからキャラ立ち絵が上がって来て無事箱関連の入稿が完了。
そんな中、その他全部のデザインをしてくださっている久遠堂ナカタヒサさんとの打ち合わせの中で、またこんな提案が……
「探索者のイラスト、表情差分でいくつか描こうか?」
これ、前作でも発生したちょっと頼みすぎなやつ(笑)

個人事業主なデザイナーにまとめて一式の金額でぶん投げているとはいえ、善意で多めに描いてもらうのはどうなんだろうか……
結局お言葉に甘えて全ての探索者にイラストが載りました。

素敵~

イラスト化に合わせて種族設定が必要!
こうなってくるとフレーバーテキストが欲しくなりますよね。
初期探索者15枚(両面で違うのを合わせて20名)
探索者65名
計85名分の名前とフレーバーを作りました。

<小話>
作者は大学時代にドイツに留学しており、その時の友人の名前とかエピソードとかが色々入っています(笑)
命名規則を含め、分かる小ネタもチマチマ仕込んでいるため、他のプレイヤーを待つ時間にでも読んでみてください。

実物が届いて既に気付いてしまった改善ポイントなどもあるのですが、全体を通して当初の何倍も良いものが出来上がったのは間違いありません。

早速の反省

反省点は宣伝面ですね

こだわる部分とパラメータ調整で完成が遅れた → 宣伝開始が遅れた

Wald Builderと混ぜて遊べるという部分は一番こだわったのですが、Wald Builderがほぼ売り切れてしまいました。セット売り出来ない~

宣伝が遅れても予約してくださる方がいるというのはとても嬉しいしありがたいですね~

ギリギリまで予約を開けておく予定ですのでなにとぞよろしくお願いします
※イベント価格5000円です
ゲームマーケット2025秋取り置き予約

最後に

ここまでお読み頂きありがとうございます。
あまりにも長い……
願わくば前作共々、少しでも興味を持って頂ければ幸いです。

また、どこかに検討しきれていない許されざるコンボがあるかもしれないので、もし見つけたらこっそり教えてください
Wald Builderと混ぜたときのミニ拡張も純粋にインフレしてしまうので、初期資源を少しだけ減らした方がいいのでは?とかはちょっと考えています。

それではまたどこかで!

<各種リンク>

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