【Insel Seeker(インゼルシーカー)】デザイナーズノート_前編
皆さんこんにちは
アニマルウィップのレグルスです
今回はゲムマ2025秋新作【Insel Seeker(インゼルシーカー)】についてデザイナーズノート的な物を書いていこうと思います。
振り返ると、デザイナーズノートを書くのはビッドライツ以来で超久しぶりだなぁ。振り返りが多いこともあり、気合を入れて長くなったため後編と分けてあります……
どうやって重量級ゲームが作られるのかの一例になれば良いなぁと思っています。
前提
どんなゲームになったのかというゴールを知ってから読まないと何を言っているか分からないと思うので概要だけ記載します。
全然違うゲームから進化するので、うっすら理解でも十分読めると思います。
ざっくりルール
・毎ラウンド、7枚のカードから7枚をブースタードラフト(1枚とって残りを回す)で選ぶよ
・そのうち3枚は決まった数字のスロットに置いてエンジンに、残り4枚はアクションの起動などに使うよ
・アクションスロットは5つ(数字指定あり)だから、うまくやりくりしてね
詳細ルール↓↓↓
そんなに難しいことは言っていません。多分。
簡単な変換がどんどん積み重なっていくので、どちらかというとギズモみたいなゲームです。
※ギズモ : 私の知ってる限り、一番遊びやすいエンジンビルドの中量級ゲーム
振り返り
このInsel Seekerは私の作っているゲームの中でも群を抜いて時間がかかっています。
遡ること数年。
2021年春、初出展を遂げた我々は【ギリ、義理チョコ】の次に作るゲームの候補が複数ありました。
・当時のボルダリング競技の点数計算を見て思いついたお手軽紙ペンゲーム
※後の【ポーションメイキング】
・少ないカード枚数で遊べるセットコレクションゲーム
※ポーカーより面白いゲームにならずハグルのネタへ
・Wings of Warのように矢印を使うサバゲーテーマのゲーム
※みさき工房杯入選したが結局作っていない【Combat(仮)】
そして、
・原価が高すぎるし、完成する気がしないという理由で封印していたロンデルのゲーム
封印していたゲーム
これはレグルス個人がアニマルウィップでボードゲーム制作を始める前から温めていたものです。どれくらい温めていたかというと、一番古いメモが2018年でした(笑)
今のアカウントを作ってテストプレイをしてからも諦めていませんでした。

いつか日の目を見たら投稿しようと悩んでいた昔の私が書いていた、今読むとめちゃくちゃイタい下書きが見つかったので最初だけ見せて供養↓

2021年夏
ちょっと過去にさかのぼりすぎましたね。とりあえず初出展を終えた当時の私はあることに悩んでいました。
今後の方針が決まらない!
これは誰でも通る道だとは思います。
・一作目を(システムが意外と固い競りゲーだけど)ネタに寄せたテーマにした
・みんな(当時3人)のサークルメンバーの作りたいゲームの方向性が全然違う
他2人の考えはざっくりまとめるとこんな感じでした
・テーマが既に面白くて笑える
・作るからには原価を抑えてちゃんと持続可能にしたい
一方私は……
・硬派でまだ見ぬ自分の好きな中・重量級ゲームを作りたい
話し合いの結果決まったのは、以下
重いゲームは作るのに時間がかかるだろうから同時並行で進めておき、出すのは後にする
当時コロナ禍大学生で暇だったのでほぼ毎日データをいじってはオンラインでテストプレイしていた記憶があります。こうして、水面下で好きなだけやりたいことやる期間が始まります。
紆余曲折の歴史
1-1, タイルでロンデル(-2019)
ロンデルは、アクションボードに置いてあるコマが数マス先までしか移動(選択)できない、というメカニクスです。多くの場合、時計やすごろくのような、小型の環状ボード/スペースが設けられており、プレイヤーのコマがその上をグルグル回ります。1つ前のマスを選択することが不可能、もしくは大きなコストを支払う必要があります。
https://bodoge.hoobby.net/mechanics/103?srsltid=AfmBOoreSTyhiP6gg0uPnViTcfshYTZ0na2R0eGci7dni5zM7cL6S_LF
7マスの三角形タイルを組み合わせて自分だけのホイールを作るゲームを考えていました。3歩まで無料で移動できる想定だったので、同じところに止まりにくいように7マスで考えていましたが、データが綺麗に作れそうになく断念。
1-2、カードでロンデル(-2021)
カードを「建築」するとマスが増え、「増築」すると一カ所が強化されていくというものを作りました。当時ちょうど遊んだ超超超重量級ゲーム(3人で9時間くらい)のコロニストというゲームに影響されて凄い量の資源種類になっていました。
また、オーマイグッズの「裏向きにしたカードがその資源を示す」という実装が美しいと思っていたので採用していました。
「建築」してマスが増えるほど強いカードを踏みにくくなって損するという根本的な問題や、他プレイヤーとの関わり(インタラクション)の与え方が難しくて断念。
例 : このマスを経過したら全員が「木→板」という変換を行っても良いなど、
何もコントロール出来ない……
実はその後もたまにいじっていたのですが、一番こだわっていたロンデルに限界を感じてしまいました。要素だけが切り出して使われたり、【ポーションメイキング】が忙しくなったりでそのまま消えていきました。
2-1、it’s a wonderful Agricola(2021)
当時ハマっていたIt’s a wonderful Worldのカードが増えていく部分について、「1-2、カードでロンデル」の増築に近いのではと思って作成。
差別化のためにもカードコストを無しにしたいなぁと思った結果、リサイクルのやり方で収入を得るためにカードを支払うルールを思いつきました。
原作にならって5つのアクションがあり、どこを伸ばすのかで戦略差が出るようにしました。
この時点で
「ドラフトで得たカードを支払うとアクションが実行できる」
「建てるとそのアクションが強化される」
という根幹が出来上がっていたわけですね。
↓初めて人に遊んでもらった日
ここからは遊んでもらったもの。
— アニマルウィップ_ゲ厶マ2025秋_土X27 (@gakugamekari) May 6, 2021
ありがとうございました!!
タイトル未定
レグルスのゲーム
これはアニマルウィップの新作では無いので気長に作る予定
カードドラフト + 紙ペン
オンラインで1回だけテストプレイをしていて、対面は初。
見づらさもありましたが、面白いと言ってもらえました pic.twitter.com/Dfikjy6lb4
フレーバーは後から降ってくる人間なので、その時ちょうど目についたアグリコラ(農場開拓)をテーマにしました。
1、開拓(建物を建設可能にする)
2、畑を作る
3、牧場を作る
4、畑の数だけ麦を得る
5、牧場の数x2を上限とし、豚2頭につき1頭増える
資源3種(コイン・木・石)でアクション自体の相関が1つ、2つ、2つがセットになるようにしました。
これはIt’s a wonderful Worldの投資家(1・4)科学(3)将軍(2・5)の相互作用の影響ですが、ここからずっと引っ張られることになります。
2-2、ドラフト紙ペン(2021)
農業テーマが薄まったのでシステム名で呼んでいました。
この時は絶対必須になってしまう開拓要素を無くしました。


このバージョンだけでも10や20の改良版があるのですが、紆余曲折を経て完成に近づきます。

2-3、Ukandenburg(ウカンデンブルク)(2021)
題名を付けたのは、グループSNEのコンペに応募するため!
結果を先に載せると、佳作を頂くことができました。
テーマをジャックと豆の木に変更。
世界を浮島として、道端に飛鉱という飛行石的なものがある設定にしました。この時は2つの地形と4つの建物があり、六角形のマップを使っていました。
地形は陸地(家か剣のみ設置可能)と空(畑か道のみ設置可能)
アクションを以下の5つに設定しました。
1、豆→畑
2、道の数だけ石を得る
3、家の数だけ金を得る
4、畑の数だけ麦を得る
5、石→研究

また、研究トラックを追加しました。
研究トラックは追加能力だったのですが、やがて資源を貰ったり建物を建てたり、最終的に得点が貰えたりと、シンプルなボーナストラックに変わりました

鮃君にデザインしてもらいました

この時は世代が分かれており、4ラウンドのうち前後半で使うカードが違いました。
第一世代のカード50枚。
第二世代のカード50枚。
目標カード15枚(パズル要素)
合計115枚。
プレイ時間45-90分と、中々の重さでした。このゲームの問題点でもあり、楽しいポイントでもあったのが資源ボーナス。
紙ペンゲームならではの累計資源数によって、5の倍数に到達した時と使用した時で2回ボーナスが受け取れました。
個人的にはこの仕様が好きすぎて最後の最後まで残したかったのですが、Insel Seeker最終版に至る途中で泣く泣く手放します。
佳作を取っている時点で大きな問題点も無いと思うのですが、テストプレイで一番言われたのはプレイ感が変わらないというもの。
途中から面倒になるからデジタルゲームがいいなとも言われました。
感想を細かく分解していくと、結局建物を建てる以外にやる事がない。収入の上昇幅とボーナスが多すぎて後半は資源を考えなくなるというところに行き着きます。
実は地上編という二作目も作っており、1-5のアクション順を差し替えることで全然違う別ゲーになるはずでした。センチュリーシリーズのように箱絵が繋がるのをどうしてもやりたかったのですが……
うーむ。何度調整しても終盤のインフレを止められないという問題点を突きつけられました。これって結局倍々ゲームなのがいけないんですよね。
正直完成度は高いと思っていましたが、序盤にいかに建物を建てられるかで勝ちが決まってしまうという、よくないゲームでした。
3-1、迷走期(2022-2023)
思いついた様々なバリエーションを試す時期でした。名前も無い様々なルールが作られては消えていきました。
士農工商の4つのステータスを作成し、ステータスが2か3上がるにつれて建物が1つ建てられるというバージョン。作る時は手応えはあったのですが、遊んですぐに分かるコレじゃない感。
資源量の調整にはとても良かったのですが、自分のアクションが一段階変換されてマップに出てくるのは気持ちよさがありませんでした。
重量級ゲーム作るの難しすぎる……と心が折れかかっている時期ですね
さぁ、だいぶ長くなってしまったので後編に続きます。
まだ全然Insel Seekerになってないんですけど!?
<各種リンク>
