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錆びついた右腕と、執着のオイルマッサージ:歯科衛生士の私がホストに溶かされる夜【真面目マッサージ】


不自然な前傾姿勢でカチコチの体

午後7時30分。 診療終了のブザーと共に、私の長い一日が終わる。 44歳、歯科衛生士。 マスクを外すと、ゴムの跡がくっきりと頬に残っていた。 鼻腔には、消毒液とレジンの特有の匂いが染み付いている。

「お疲れ様でした」 更衣室に戻り、白衣を脱ぐ。 その瞬間、右腕に鉛の塊が入っているような、ズシリとした重みが蘇る。 私の仕事場は、直径わずか数センチの口腔内だ。 一日中、不自然な前傾姿勢で患者の口の中を覗き込み、右手にはスケーラー(歯石を取る器具)を握りしめ、ミリ単位の力加減で歯石を弾き飛ばす。

「……痛っ」 バッグを持とうとしただけで、首の付け根に電気が走った。 職業病とも言える、頸椎ヘルニア予備軍。 首は常に左に傾き、右肩は上がり、右腕の筋肉だけが異常に硬化している。 几帳面な性格が災いして、「取り残しは許さない」と根を詰めすぎるのだ。 私の体は、精密機械のように酷使され、油切れを起こして軋んでいる。

「この右腕、切り離して洗いたい……」 そんな狂気じみた願いを抱えながら、私は夜の街へと向かった。 向かう先は、同僚が「あそこの担当、顔はいいけど施術が異常にしつこいよ」と笑っていた、隠れ家サロン。

計算高いホスト風セラピストの「焦らし」

サロンの扉を開けると、そこはラグジュアリーホテルのような空間だった。 「いらっしゃいませ。〇〇さんですね?」

現れたのは、噂通りの「彼」だった。 名前は、レン。 アッシュグレーに染めた髪を遊ばせ、細身の黒いスーツを着こなしている。 「お荷物持ちますね。……うわ、右半身だけ重力が違いますよ」 彼は私のバッグを受け取りながら、人懐っこい笑顔で核心を突いてきた。

「職業病なんです。もう、首も腕も限界で……すぐにでも楽にしてほしくて」 私が縋るように言うと、彼は「まあまあ」と諌めるように人差し指を振った。 「焦っちゃダメです。〇〇さんの体は、出口が詰まってる。いきなり首を揉んでも、毒素が流れないですよ。下からじっくり攻めさせてください」 軽薄そうに見えて、その目は職人のように冷静だ。 「今日は、徹底的にやりますから。僕、しつこいですよ?」

遠回りの愛撫(下肢のオイルマッサージ)

施術室は、完全個室のプライベート空間。 間接照明が怪しく光る中、私はベッドにうつ伏せになる。 「まずは足元から。全身のポンプを動かします」

レンの手が、私の足裏に触れた。 温かいタオルで包み込まれた後、たっぷりのオイルが塗布される。 香りはイランイランとゼラニウム。濃厚で、官能的な甘さが鼻腔を満たす。

「……首が辛いのに、足から?」 「そう。ここが冷えてると、上半身は緩まないんです」 レンは、私のふくらはぎを両手で包み込み、ゆっくりと、しかし体重を乗せて心臓の方へ押し流し始めた。 グググッ……。 「う……」 「張ってますね。立ちっぱなしでアシスタントもしてるんでしょう?」 彼の読みは鋭い。 パンパンに張ったヒラメ筋を、親指の腹で削ぎ落とすように流す。 一度流して終わりではない。 同じラインを、二度、三度となぞる。 「流れて、流れて」と念じるように、執拗に繰り返す。 足先から温かい血液が巡り始めると、不思議と強張っていた首の力が少し抜け、呼吸が深くなっていくのが分かった。 「ほら、背中が降りてきた。準備完了ですね」

背中を責められ(背面の指圧とオイル)

彼の手は、太もも、お尻を越えて、いよいよ背中へ。 「さあ、ここからは逃がしませんよ」

レンは、私の腰に手を置き、背骨のキワ(脊柱起立筋)を一気に滑り上がった。 首の付け根まで到達すると、そこで止まり、グイッと親指を食い込ませる。 「……っぐ!」 「ここですね。ヘルニア予備軍の震源地」 彼は、私の首の横、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)の裏側に親指を潜り込ませた。 「痛い……!」 「痛いですよね。でも、離しません」 レンは片手で私の頭を固定し、もう片方の親指で、首の筋肉を骨から引き剥がすように圧をかけてくる。 同じポイントを、角度を変え、深さを変え、何度も何度も執拗に攻めてくる。

「まだ固い。もっと奥」 私の筋肉が「参りました」と白旗を上げる瞬間を待っているかのように、彼はじっと圧をかけ続ける。 足元から順序よく緩めてきたおかげで、痛みが逃げずに、ダイレクトに響く。 その「計算されたしつこさ」に、私は抗う術を失い、ただベッドに沈み込むしかなかった。

右腕の解体ショー(アームマッサージ)

「仰向けになりましょう。いよいよ本丸、右腕をいじめ抜きます」 体を反転させると、レンは私の右腕を両手で持ち上げ、愛おしそうに、そして憎らしそうに眺めた。 「スケーラーの握りすぎで、前腕がねじれてます。かわいそうに」

ここからが、このサロンの真骨頂だった。 レンは私の肘から手首にかけての筋肉(腕橈骨筋・わんとうこつきん)に、オイルをひたひたに塗り込んだ。 そして、親指の腹を使い、筋肉の繊維に沿って、ゆっくりと、恐ろしくゆっくりと滑らせた。

「……っっ!!」 声にならない悲鳴が出る。 「逃げないで。ここが一番悪い子です」 痛い。腕の中に埋まっていた鉄の棒を、素手でしごかれているようだ。 彼は、私の腕にある小さなコリの一つひとつを、プチプチと潰すように流していく。 速く流せば楽なのに、彼はあえて時間をかける。 「さっき足を流したから、出口は開いてますよ。悪いもの、全部そこから出しちゃいましょう」

レンは、私の前腕を雑巾を絞るように掴み、癒着した筋膜をベリベリと剥がしていく。 「まだです。まだ硬い」 レンは呟きながら、同じ場所をもう一度、さらに強い圧で流す。 彼の額にうっすらと汗が滲んでいるのが見える。 この美しい顔をした青年が、私の右腕一本に、これほどの執着を見せている。 その事実が、たまらなく贅沢で、背徳的だった。

「手首、ここも詰まってる」 手首の関節周りにある腱鞘(けんしょう)の隙間に、彼の指が入り込む。 細かい作業で癒着していた腱が、メリメリと剥がされていく感覚。 血流が止まっていた指先に向かって、熱いマグマが一気に流れ込む。 「あ、熱い……」 「流れた。やっと通りましたね」

そして指先へ

仕上げは、指だ。 歯科衛生士の命とも言える、繊細な指先。 レンは、私の親指の付け根、母指球(ぼしきゅう)を、自分の親指と人差指でガッチリと挟み込んだ。

グリグリグリッ! 「んんーっ!」 「痛いですよね。でも、ここをほぐさないと、またすぐ戻っちゃうから」 彼は容赦ない。 パンパンに張った母指球を、骨から削ぎ落とす勢いで揉み解す。 「足から全身巡らせたおかげで、指先まで血が走ってますよ。感じますか?」 言われてみれば、指先が脈打つようにドクドクとしている。 全身の血流が、この指先一点に集中して浄化されていくようだ。

人差し指、中指、薬指。 一本一本、根元から指先に向かって、螺旋を描くようにしごき上げられる。 最後に、指先を強く挟んで、ポンッ!と抜く。 その瞬間、私の右腕全体から重力が消滅した。

「……すごい。腕が無いみたい」 「ありますよ。新品の腕がね」 レンは満足そうに微笑み、最後にデコルテから脇の下(腋窩リンパ節)へ、腕の老廃物をすべて流しきった。 足元から始まった壮大な工事が、ここでようやく完了したのだ。

生まれ変わった「手」

施術が終わり、私は放心状態でベッドに横たわっていた。 全身がポカポカと温かい。 いきなり首を揉まれた時とは違う、足の先から頭のてっぺんまで、一本の温かい川が流れているような統一感。 右腕は、体の中で一番温かい場所に変わっている。 首を動かしてみる。 「……回る」 どこにも引っかかりがない。

着替えてロビーに戻ると、レンがハーブティーを用意して待っていた。 「お疲れ様でした。足からやって正解だったでしょう?」 「ええ、完敗です。あんなにしつこく、でも計算尽くでやられたの、初めて」 私が白旗を上げると、彼はニカッと笑った。 「でしょう? 僕、一度狙ったコリは逃さない主義なんで。また溜まったら、下からじっくり攻めてあげますよ」

夜風に吹かれながら、駅へと歩く。 バッグを持つ右手が、驚くほど軽い。 足取りも軽い。それはきっと、最初に足を丁寧にほぐしてもらったからだ。 「手順には、意味があるんだな……」 几帳面な私は、彼の手順の正しさに妙に納得し、そして感謝した。

明日の朝、スケーラーを握る感覚が、きっと劇的に変わっているはずだ。 もっと繊細に、もっと優しく、患者さんの歯に触れられる気がする。

ありがとう、計算高い執着王子。 その正しい手順としつこい愛で、私の右腕を溶かしてくれて。

おやすみなさい。 今夜は、全身を巡る熱を感じながら、泥のように深く眠ろう。

😴他のマッサージのお話(小説タイプ)😴

これまで自分が受けてきたマッサージなどのリラクゼーション系の施術をヒントに、深いリラックス効果を得られるような文章を目指していけたらと思っています。

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真面目マッサージで、あなたの眠りが良いものになりますように…😴

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