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全身バキバキな保育士が気功で「手当て」される話。【真面目マッサージ】


保育士だもの

午後6時半。 園の玄関で最後のお迎えの保護者を見送り、重い鉄の門を閉める。 「さようならー! また明日ねー!」 作り続けてきた笑顔を解いた瞬間、私の口から「ふぅ……」と、魂の欠片のような溜息がこぼれ落ちた。

48歳、保育士。 20年以上、この仕事に誇りを持ってきた。子供たちの成長を見守ることは、何にも代えがたい喜びだ。 けれど、40代後半を迎えた私の肉体は、もう限界を超えて悲鳴を上げている。 今のクラスは1歳児と2歳児の混合クラス。 一番可愛くて、一番手がかかる時期だ。 「先生、抱っこ!」「先生、おんぶ!」 10キロ、12キロある子供たちを、一日に何度持ち上げただろう。 オムツ替えのたびに中腰になり、泣いている子がいれば床に膝をついて目線を合わせる。 人手不足の現場では、トイレに行く暇さえなく、水分補給もままならない。 私の体は、朝から晩まで「スクワット」と「デッドリフト」を繰り返しているようなものだ。

更衣室でエプロンを外す。 腰に手を当てて、ゆっくりと体を反らそうとするが、「ズキッ」という鋭い痛みが走り、動きが止まる。 腰の骨が、錆びついた蝶番(ちょうつがい)のようにギシギシと音を立てている。 膝は熱を持って腫れ上がり、階段を降りるのが怖い。 そして何より、子供たちを抱き続けてきた両腕は、パンパンに張って石のように硬くなっていた。 「私の体、いつまで保つのかな……」 ロッカーの鏡に映る自分は、疲労で少し前かがみになり、実際の年齢よりも老けて見えた。 自分の子供はもう大きくなったけれど、職場では数十人の母であり続けなければならない。 その重圧と物理的な重さが、私の背骨を少しずつ、確実に押し潰していた。

帰りの電車の中、私は吊り革に捕まりながら、ある場所のことを考えていた。 そこは、鍼灸院のような、整体院のような、不思議な場所。 「あそこに行けば、魔法のように体が軽くなる」 同僚の間で、そんな噂が囁かれている隠れ家だ。 ボキボキ鳴らすような怖いことはしない。ただ、触れられるだけで体が溶けるのだという。 私は藁にもすがる思いで、その扉を叩くことにした。

達人の「気」と、琥珀色の空間

駅から少し離れた、静かな住宅街。 古民家を改装したその建物の前には、小さな看板が出ているだけだった。 引き戸を開けると、カランコロンと優しい木の音が響く。 中に入った瞬間、外の冷たい空気が遮断され、温かく、懐かしい香りに包まれた。 お灸の原料である「もぐさ」の香りと、漢方薬の甘くスパイシーな香り。 琥珀色の間接照明が、和紙を通しておぼろげに揺れている。

「お待ちしておりました。お辛かったでしょう」 奥から現れたのは、作務衣(さむえ)を着た、白髪の初老の男性だった。 「先生」と呼ばれるその人は、年齢不詳。 肌は赤ちゃんのようにつやつやとしていて、穏やかな瞳の奥には、すべてを見透かすような深い知性が宿っている。 東洋医学を知り尽くした達人。 彼の周りだけ、時間の流れがゆっくりになっているような、不思議な静けさがあった。

「先生、私……腰も、膝も、腕も、もう全部が……」 言葉が続かない私の背中に、先生はそっと手を添えた。 ただ手を置かれただけ。それなのに、背中の真ん中からじわーっと温かいものが広がり、強張っていた筋肉がふっと緩んだ。 「言葉はいりませんよ。お体を見れば、あなたがどれだけ頑張ってこられたか、痛いほど分かります。よく、耐えましたね」

その一言で、張り詰めていた緊張の糸が切れた。 案内された施術室は、畳の香りがする落ち着いた和室。 広々とした布団のような施術台に、私はうつ伏せになった。 「今日は、強いことは何もしません。あなたの体の『気』と『血』を巡らせて、本来の柔らかさを取り戻すだけです。安心してください」

先生の手が、私の足首に触れる。 その手は、驚くほど大きく、そしてカイロのように温かかった。 「手当て」という言葉があるけれど、まさに「手を当てる」だけで癒やしが始まっているのが分かる。 ここから、私の泥のような疲れを溶かす、夢のような時間が始まった。

足をさする施術

「まずは、土台である足から整えましょう。大地を踏ん張りすぎて、根っこが絡まってしまっていますね」 先生は、私の足を温かい蒸しタオルで包み込んだ。 じわりと伝わる湿った熱が、冷え切っていた足先を解凍していく。 そして、先生の手のひらが、私のふくらはぎを包み込むように捉えた。

「揉む」のではない。 先生の手は、私の筋肉の繊維に沿って、ゆっくりと、波のように滑っていく。 東洋医学で言う「推拿(すいな)」という手技だろうか。 決して力任せではないのに、筋肉の深層部まで圧が届いている。 「あぁ……」 ふくらはぎの奥にあった、硬いしこりのような疲れの塊。 それが、先生の温かい手によって、バターがフライパンの上で溶けるように、液状化していく感覚。 「痛くないですか?」 「はい……全然。ただただ、気持ちいいです……」 「それは良かった。あなたの体は、もう痛みに耐える必要はないんですよ」

先生は、腫れ上がった私の膝の周りを、両手で優しく包み込んだ。 「膝は『腎』の疲れが出やすい場所です。恐れや不安、責任感。そういったものを一人で支えてきたんですね」 先生の手から、目に見えないエネルギーが膝の関節の中に注ぎ込まれていくようだ。 ギシギシと悲鳴を上げていた膝のお皿が、温かいオイルに浸されたように滑らかさを取り戻していく。 膝の裏のリンパ節を、親指の腹で優しく撫で上げられると、溜まっていた老廃物がサーッと流れ出し、足全体が軽くなる。 私は布団の上で、自分が雲の上に浮かんでいるような浮遊感を感じ始めていた。

腰をゆする。やさしいリズムでゆする

「さて、一番の頑張り屋さん。腰を楽にしてあげましょう」 先生の手が、私の仙骨(お尻の真ん中の骨)に置かれた。 そこは、体全体のエネルギーの源であり、今の私にとっては痛みの震源地でもある。

先生は、腰を強く押したり、骨を鳴らしたりはしない。 手のひらを密着させ、わずかに揺らすような、さするような動きを繰り返す。 「ゆらゆら、ゆらゆら」 まるで、揺りかごに揺られているような心地よさ。 その微細な振動が、背骨の一本一本に伝わり、固着していた関節の隙間を優しく広げていく。 「腰は『肉月(にくづき)』に『要(かなめ)』と書きます。あなたが要となって、子供たちや職場を支えてきた。でも、今はあなたが支えられる番です」

先生の親指が、背骨の横にある「脊柱起立筋」の溝に、吸い込まれるように入っていく。 ツボを突くような鋭さは微塵もない。 指の腹全体で、硬くなった筋肉を溶かし、流していく。 腰の奥深くに溜まっていた、鉛のような重だるさ。 それが、先生の手の熱と、優しいリズムによって、雪解け水のようにサラサラと流れ去っていく。

「あぁ……腰が、息をしているみたい……」 今まで、コルセットで締め付けられたように動かなかった腰が、呼吸に合わせて大きく膨らみ、沈み込むのが分かる。 血流がドッと腰に集まり、ポカポカとした温かさが全身を巡る。 背中全体に、大きな温かい手形がついたような安心感。 私は、久しぶりに体の芯から力が抜ける感覚を味わっていた。 泥のように眠りたい。でも、この心地よさをもう少しだけ味わっていたい。 意識が、覚醒と睡眠の境界線をゆらゆらと漂う。

腕の施術

「最後は、腕ですね。たくさんの命を抱きしめてきた、尊い腕です」 先生は、私の右腕をそっと持ち上げ、仰向けにさせた。 抱っこやおんぶで酷使し、内側に巻き込んでいた肩が、自然と床に降りていく。 パンパンに張った前腕(肘から手首)。 子供を落とさないように、常に力を入れ続けていた筋肉だ。

先生は、私の手首を優しく握り、肘に向かってゆっくりと筋肉を揉みほぐしていく。 「ここは、気が滞りやすい場所です。我慢して、言いたいことを飲み込んで、手だけで頑張ってしまうと、ここに邪気が溜まるんです」 先生の親指が、腕の骨と肉の間にある隙間を押し流していく。 「……っ、そこ、響きます……」 痛くはない。けれど、腕の神経を通じて、胸の奥までジーンと響くような感覚。 まるで、私の心の中に溜まっていた「辛い」「休みたい」という感情が、腕を通じて外へと解放されていくようだ。

手のひらを開かれ、先生の大きな親指が、私の手のひらの中心「労宮(ろうきゅう)」というツボをじっくりと押す。 「労宮。疲労の宮殿。ここを緩めれば、心も緩みます」 ズーンと重く、温かい刺激。 その瞬間、私の目から自然と涙がひと筋、こぼれ落ちた。 悲しいわけではない。 ただ、自分の体が「やっと分かってもらえた」と喜んでいるような、そんな安堵の涙だった。

先生は何も言わず、私の手を両手で包み込み、温め続けてくれた。 その手の温もりは、私が子供たちに与えてきた愛情そのものだった。 「ああ、私はいつも与えるばかりだったけれど、こうして誰かに包まれることが、こんなにも必要だったんだ」 腕の張りが取れると同時に、胸のつかえが取れ、呼吸が驚くほど深くなった。

軽くなったからだ

「はい、お疲れ様でした。体の中の風が、通り抜けましたよ」 先生の穏やかな声で、私は深い微睡(まどろみ)から戻ってきた。 目を開けると、部屋の空気が変わっていた。 琥珀色の光が、さらに優しく、柔らかく見える。

体を起こしてみる。 「……えっ?」 思わず声が出た。 腰に手をつかなくても、スッと起き上がれる。 あんなに痛かった膝が、油を差したように滑らかに曲がる。 肩を回すと、羽が生えたように軽い。 私の体から、数十キロの重りが消え失せてしまったようだ。

「先生、私の体じゃないみたいです。空も飛べそう」 「ふふふ、それが本来のあなたの体ですよ。重荷を降ろせば、人は誰でも軽くなれるんです」 先生は、クコの実とナツメが入った、温かい薬膳茶を出してくれた。 甘く、優しい味が、五臓六腑に染み渡る。 体の中からポカポカと温かく、指先まで血が通っているのが分かる。

帰り道、私は夜空を見上げた。 月が綺麗だ。 今までの私は、下ばかり向いて歩いていたから、月の美しさにも気づかなかった。 駅までの道のり、一歩踏み出すたびに、大地をしっかり踏みしめる感覚と、体が前に進む喜びを感じる。 腰痛も、腕の張りも、膝の痛みも、今は遠い過去の記憶のようだ。

明日、また園に行けば、「先生、抱っこ!」の嵐が待っているだろう。 でも、今の私なら大丈夫。 この温かい手の記憶が、私のお守りだ。 自分のケアを後回しにせず、辛くなったらまたここへ来ればいい。 自分を大切にすることが、子供たちを大切にすることに繋がるのだから。

「ただいま」 家に帰り、玄関を開ける。 その声は、朝出かけた時よりもずっと明るく、そして力強く響いた。

ありがとう、先生。 その達人の手技と、深い慈悲に救われました。 おやすみなさい。 今夜は、泥のように深く、そして幸せな夢が見られそうです。

😴他のマッサージのお話(小説タイプ)😴

これまで自分が受けてきたマッサージなどのリラクゼーション系の施術をヒントに、深いリラックス効果を得られるような文章を目指していけたらと思っています。

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真面目マッサージで、あなたの眠りが良いものになりますように…😴

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