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レジ打ち15年の歪みを、中華系美男子に「推拿(すいな)」で叩き直された夜。【真面目マッサージ】


私は「右から左へ」流すマシーン

48歳、スーパーのレジ担当。多分ですが体が右に傾いている。

私はパート歴15年のリーダー。

仕事はシンプル。

右のカゴから重い米袋や大根を取り出し、左へ流す。

来る日も来る日も、右から左へ一方通行。

特売日の夕方なんて地獄です。

行列ができると、無意識に右肩を怒らせて、重心を右足に乗っけたまま数時間フリーズ。

終わる頃には右肩は岩みたいにカチコチだし、足はドス黒くむくんでパンパンです。

「一回でいいから、体を真っ直ぐにして寝たい!」

そんな切実な願いで駆け込んだのが、中華街の路地裏にある「本格推拿(すいな)」のお店でした。

路地裏にいたのは、仙人じゃなくて美青年

「推拿」なんて漢字の看板だから、てっきり髭の長いお爺さん先生が出てくると思ってたんです。

でも、ガラガラッと戸を開けて出てきたのは、陶器みたいな肌の美青年でした。

名前は李(リー)さん。

20代後半くらい?

ジャニーズ系というよりは、映画に出てくるカンフーの達人みたいな、涼しげなイケメン。

でも、その腕を見てビビりました。

Tシャツの袖がパツパツになるくらい、腕の筋肉がすごいんです。

「オネエサン、体、すっごく傾いてるネ」。

李さんは私の荷物を持つなり、ニコッと笑って言いました。

「レジ? 右ばっかり使ってるデショ。これじゃあ柱もねじれちゃうヨ」。

うわ、一瞬で見抜かれた。

「今日は全部、真っ直ぐに戻すカラ。ちょっと痛いヨ、でも楽になるヨ」。

その不敵な笑顔に、「もう好きにしてください……」と身を委ねる覚悟を決めました。

【推法(すいほう)・拿法(なほう)】パンパンの脚を「雑巾絞り」される快感

「まずは足元からネ。ここが詰まってると、上も流れないカラ」。

李さんの指示でベッドにうつ伏せに。

まずは心臓から遠い脚のケアからスタートです。

【ふくらはぎを一気に押し流す(推法・すいほう)】

李さんがたっぷりのオイルを手に取って、私のふくらはぎに触れました。

「うわ、足冷たいネ。血が止まってるヨ」。

彼がやり始めたのは「推法(すいほう)」っていう、手のひら全体でグイーッと押し流す技。

アキレス腱のくぼみに彼の手の固いところ(手根っていうらしいです)がピタッとハマって、そこから膝裏に向かって、体重を乗せたまま一気に滑らせてくるんです。

グググググ……!

撫でるんじゃないんです。「中身」を絞り出してる感じ!

歯磨き粉のチューブを端っこから完璧に絞り出すみたいに、ふくらはぎの奥にある静脈血を、強制的に上へと押し上げていきます。

「痛い痛い!」

「痛いのは詰まってる証拠ネ。古いお水、全部戻すヨ」。

彼の手が通った後は、アイロンをかけた直後のシャツみたいに熱を持って、ビリビリするくらい血が巡り始めました。

【太もものねじれをリセット(拿法・なほう)】

続いて太もも。

ここは立ちっぱなしで外側に張り出してる部分です。

「ここ、ねじれてるネ」。

李さんは「拿法(なほう)」にチェンジ。

親指と他の指で、筋肉をガシッと掴んで持ち上げる技です。

彼の大きくて分厚い手が、私の太もも裏(ハムストリングス)を鷲掴みにします。

「いくヨ!」

掛け声と一緒に、掴んだ筋肉を骨から引き剥がすみたいに持ち上げて、雑巾を絞るみたいにグイッとねじって、パッと放す。

ボヨンッ!って筋肉が弾む音が聞こえそう。

掴んで、持ち上げて、放す。この繰り返しで、筋肉の繊維の間に酸素が入っていく感じ。

「先生、そこ、ちぎれますって!」

「ちぎれないヨ。筋肉が喜んでるヨ」。

李さんは涼しい顔。

太ももの外側の硬いスジ(腸脛靭帯)を親指でグリグリとほぐされると、鉛が入ってた脚が、羽が生えたみたいに軽くなりました。

【按法(あんぽう)・扳法(ばんぽう)】サビついた骨盤に油を差す

脚が軽くなったところで、いよいよ体の要、「骨盤」の修理へ。

「オネエサン、右足重心すぎ。骨盤が右上がりで、左にねじれてるヨ」。

【お尻のツボを一点突破(按法・あんぽう)】

李さんは私のお尻のえくぼ(環跳っていうツボらしい)あたりに、なんと自分の「肘」を当てました。

これが「按法(あんぽう)」。

ツボに向かって垂直に圧を入れる技だそうです。

「息吐いてー」。

ふぅーっと息を吐くと同時に、鋭い肘が、分厚いお尻のお肉を貫通して、骨盤の継ぎ目にズブリと沈み込んできました。

ズドーン……。

痛いっていうより、響く!

地中の奥深くに杭を打たれてるみたいな、重たい感覚。

「ここ、腰の疲れのゴミ箱ネ。今、空っぽにするヨ」。

じわじわと広がる熱。

カチカチに固まってた関節周りが、熱で溶けたバターみたいに緩んでいくのが分かります。

【股関節をぐるぐる回す(扳法・ばんぽう)】

「腰、動かすヨ」。

李さんは私の片足を抱え上げて、膝を曲げた状態で、股関節を大きく回し始めました。

「扳法(ばんぽう)」っていうストレッチ技の一種みたいです。

ゴリッ、ゴッキン。

股関節の中で、サビついた蝶番みたいな音が……恥ずかしい!

でも李さんはお構いなし。

「油差してるネ。滑らかになるまで回すヨ」。

遠心力を使って、詰まってた股関節の隙間を広げていきます。

何度か回されるうちに、不思議とゴリゴリ音が消えて、脚が根本からスルスル動くようになりました。

歪んでた土台が、水平に戻った瞬間です。

【滾法(こんぽう)】背中の「鉄板」を麺棒で伸ばす

ここからが本番。

レジ打ち職業病の「背中の張り」です。

「背中、鉄板入ってるネ。右側だけ盛り上がって山になってるヨ。まずは『滾法(こんぽう)』で、この鉄板を平らにするヨ」。

推拿といえばコレ!という技、滾法。

李さんは、握り拳を作って、その手首をクリクリと回転させながら、私の背中の上で転がし始めました。

これ、指圧みたいな「点」じゃないんです。

「面」の波状攻撃なんです。

【背骨のキワをローラー作戦】

ゴロゴロッ、ゴロゴロッ。

私の背骨の横の筋肉(脊柱起立筋)の上を、重たいローラーが往復してる感じ。

李さんの手首が柔らかく回転して、拳の固い骨が「グッ」と入ったかと思うと、次の瞬間には手の甲で「フワッ」と圧を逃がす。

強、弱、強、弱。

この絶え間ないリズムがすごくて、凝り固まった筋肉が「降参!」って白旗を上げるのが分かります。

「右の肩甲骨、へばりついてるネ。剥がすヨ」。

李さんは、拳を肩甲骨の内側に押し当てて、そこを支点にして手首を激しく回転させました。

ガガガガッ!

背中で工事現場みたいな振動が!

肩甲骨と背骨の間でくっついちゃってた何かが、バリバリ剥がされていく。

「痛い! 李さん、そこ骨ですって!」

「骨じゃないヨ。老廃物の塊ネ。今、砕いてる」。

彼の拳が転がるたびに、背中の鉄板が熱を持って、つきたてのお餅みたいに柔らかく伸びていくのが分かります。

【拿法(なほう)・弾撥法(だんぱつほう)】右肩に乗った「お米」を下ろす

背中全体がほぐれたところで、ついに私の右肩、僧帽筋へ。

「ここ、一番の重労働エリアネ。お米の重さ、全部ここに乗ってるヨ」。

【肩の筋肉を引き剥がす(拿法・なほう)】

再びの拿法。

でも、脚の時とは気合が違います。

李さんは、私の盛り上がった右肩を、親指と他の指で深く挟み込みました。

「掴むヨ!」

グワシッ。

筋肉の束ごと骨から引き剥がして、上に持ち上げて、中でねじって、しごく。

「うひぃ……!」

「硬いネー。岩が入ってるヨ。これじゃ頭痛もするはずダ」。

ただ揉むんじゃないんです。

筋肉の繊維を一本一本、指先で選り分けるようにして(分筋っていうらしい)、絡まった糸を解いていく感じ。

右から左へ物を動かす動作で、常に縮こまってた筋肉が、強制的にストレッチされていきます。

【スジを弾く(弾撥法・だんぱつほう)】

仕上げに、彼は筋肉の繊維に対して垂直に指を動かして、ギターの弦を弾くみたいにコリを弾きました。

ビーン、ビーン。

体の中で太いゴムが弾かれる音がする!

「ハイ、切れた。これで肩、落ちるヨ」。

その言葉通り、常に耳の近くまで上がってた右肩が、ストンと本来の位置に落下したのを感じました。

【点法(てんぽう)】目の疲れスイッチをオフにする

最後に仰向けになって、頭と目のケアです。

「目、疲れてるネ。バーコードの見過ぎヨ」。

【ツボを一点集中(点法・てんぽう)】

李さんは私の頭を両手で包み込んで、中指の先端に力を集中させました。

「点法(てんぽう)」、つまりツボ押しです。

こめかみの「太陽」、眉頭の「攅竹(さんちく)」。

彼がツボを捉えるたびに、脳の奥にツーンとした鋭い電流が走ります。

「ここ、リセットボタンネ」。

ググリ、と指先を回しながら圧を加えると、眼球の裏側に張り付いてた砂みたいな疲れが、涙と一緒にサラサラ流れていく感じ。

最後に、彼は私の首を両手で支えて、軽く引っ張ってくれました。

首の骨の隙間が広がって、圧迫されてた神経が解放される……。

スゥーッ……。

首筋にミントの風が通るような爽快感。

ねじれて、傾いて、縮こまってた私の体が、一本の真っ直ぐな柱として再建された瞬間でした。

世界が水平に戻った!

「ハイ、オワリ。お疲れ様」。

李さんが私の肩をポンと叩いて、施術終了。

恐る恐る体を起こしてみると……。

……軽い!

いつも私の右肩に乗ってた「見えない米袋」が消えてる!

立ち上がってみると、足の裏全体が、ペターンと床についてるのが分かります。

試しに、レジ打ちの動きを真似て、右から左へ腕を振ってみる。

スムーズ!

カクカクしてたロボットダンスじゃなくて、油を差したばかりの自転車みたいに滑らか!

右に傾いて見えてた世界の水平線が、ピタリと真っ直ぐに戻ってます。

「オネエサン、姿勢良くなったネ。骨組み直したカラ。でも無理しないデ。また歪んだら、直しに来るヨロシ」。

李さんは爽やかな笑顔で、ジャスミン茶を渡してくれました。

その笑顔、完全に「いい仕事したぜ」っていう職人の顔です。

お店を出て、駅への道を歩く夜風が気持ちいい。

いつもなら一刻も早く座りたくてベンチを探すのに、今は背筋を伸ばして立ってることが心地いいんです。

右から左へ、ただ物を流すだけの「部品」になってた私が、ちゃんと血の通った「人間」に戻れました。

「よし、明日の特売日も、なんとかなりそう!」

私の体は今、強固な基礎と、しなやかなバネを手に入れました。

たとえまた歪んだとしても、私にはこの「駆け込み寺」がありますから。

そう思えるだけで、明日のレジ打ちも、少しだけ背筋を伸ばして「いらっしゃいませ」って言えそうな気がします。

「謝謝(シェシェ)、李さん!」

真っ直ぐになった視線で夜空を見上げて、私はスキップしたい気分で改札を抜けました。


😴他のマッサージのお話(小説タイプ)😴

これまで自分が受けてきたマッサージなどのリラクゼーション系の施術をヒントに、深いリラックス効果を得られるような文章を目指していけたらと思っています。

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真面目マッサージで、あなたの眠りが良いものになりますように…😴

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