天才にターニングポイントなし、あるのはチャームポイントだけ。
80年代半ばにすい星のように姿を現し、巨大な衝撃と鮮烈な記憶を残したソロ・アーティストを振り返るシリーズ。尾崎豊さん、渡辺美里さんと参りまして、今回は岡村靖幸さんの2日目。
岡村ちゃんは全てにおいてずば抜け過ぎていて、凡人には「天才」以外の形容の仕方がないというのは岡村ちゃんを知る多くの人の感覚だと思いますが、個人的に一番好きなのは岡村ちゃんのダンスです。
つま先から髪の毛一本の先端に至るまで意思が全てを制御しているかのようなきめ細かなステップとしなやかな身のこなしはまさに天衣無縫、一度みてしまうともう抜け出しようがありません。
一番衝撃を受けたのは久しぶりの表舞台登場となった1996年冬の岡村ちゃん。95年の秋に先行シングルの「チャームポイント」がまず発売され、その直後ぐらいにアルバムが出て、年明けから全国ツアーがおこなわれたはず。
この時の岡村ちゃんはかなり太っていて表情からも精気が感じられなくなっていたのが最初の衝撃でした。あんなにスタイリッシュで格好よかった岡村ちゃんが。。衝撃というよりショックでしたね。
「チャームポイント」は岡村ちゃんらしいポップな仕上がりの青春ソングで発売日に購入しましたが、アルバムはすぐに購入する気にならず様子をみる感じ。
当時はロッキングオンジャパンを購読しており、また実家ではケーブル放送でスペースシャワーTVなどが視聴できたので、岡村ちゃんの動向はチェックしていましたが、ビジュアルをみるにつけ復活のワクワクよりも(大丈夫なのかな?)という体調も含めた心配の方が募っていったのを覚えています。
そして迎えたツアーの最終となる武道館公演。この模様はスぺシャで放送されたか少なくとも特集はされたはずでそれをみたと思います。ステージに登場した岡村ちゃんは見る影もないほど太り、表情も精彩を欠きどこか苦しそうにもみえましたが。。
曲が流れ、気だるそうな岡村ちゃんがステップを踏み出した、その瞬間、一気に空気が変わりました。全然、全盛期と変わらない、キレッキレでシャープなパフォーマンス。めちゃくちゃ格好いいその姿に度肝を抜かれたのを今も鮮明に思い出します。
その後2000年代に入ると岡村ちゃんは度重なる不祥事(覚せい剤所持)で世間を騒がせましたが、ファンは離れなかった気がします。離れられなかったというべきか。
凡人には「天才」としか表現できないと冒頭で書きましたが、逆に言えば「天才だ」と凡人でもわかるほど曲も歌詞の世界観もギターもダンスもパフォーマンスも全てが唯一無二で、失ってしまうともう、代わりなんかいないということ。だから岡村ちゃんの復活を待つしかなかった。
そんなファンや周囲の期待に応えて2010年以降は立ち直り見事復活。年齢を重ねるごとにダンスがキレッキレになっていくというのも天才の真骨頂なのか、体形や年齢なんかは凡人が気にするだけの話のように感じてしまうと同時に岡村ちゃんへの中毒性は今もなお強まるばかりです。
最近だとDAOKOさんとのコラボ曲「ステップアップLOVE」のMVがお気に入りでもう相当の回数見ています。普通だと一人の女性を複数の男性が追い求めるようなコンセプトになりがちなのに、このMVでは岡村ちゃんが複数の女性(ダンサー)を向こうにまわしての「俺一人で十分だ」感が最高に気持ちいいんですよね。特にダンスの切れ味が圧倒的。
バスケットボールを投げていつものスーツに眼鏡姿で踊り出すシーンが大好きで、定期的に繰り返しみてしまい、みては満足してしまいます。
他にも「ビバナミダ」や「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」のライブ映像など、「ちょっとタバコを一服」とか「コーヒー飲んでひと休み」たいな感覚で定期的にみては心を落ち着かせてくれる動画がわんさかあります。
昔、たぶん1990年代半ばのロッキングオンジャパンの吉川晃司さんのインタビューの中に出てくる岡村ちゃんの話で、岡村ちゃんが吉川さんに言ったという「俺は才能があるから何もしなくても世間の方から俺を探しに来る」というのは全くもってその通り。
これほどの才能の持ち主と同じ時代を過ごすことを出来て、またボトルをキープするように好きな時にその作品やパフォーマンスを堪能できることは幸せ以外のなにものでありません。
