読書まとめ『AI×家事』→間違いが許される家庭こそ AI の出番
『AI×家事 毎日バタバタな3児ママがAIを使ってみたら、一人で悩む時間が消えた。』宮崎 真理
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594101909
一言で言うと
間違いが許される家庭こそ AI の出番
概要
生成AI を家庭に取り込み、家事や育児に活用する方法を紹介する本です。3児の母である著者が実践・発信してきた内容で構成されており、生成AI を使った「家事・育児あるある」の攻略法が学べます。
会社と違って、家庭ではある程度の間違いは許されるのだから、生成AI を気軽に使ってみよう、というのが基本スタンス。子どものために消防車の塗り絵を AI で生成して、ディテールがおかしかったとしても問題にはなりませんよね。こういった多少の失敗が許される場面では、どんどん AI を使ってみよう、というわけです。ただし、何かの契約や医療などの重要性が高いことに関しては、生成AI の回答はあくまで参考程度に留める、という線引きは必要です。
日本では、家事・育児はすべて親がやらなければならない、みたいな考え方が強いように感じます。共働きが当たり前になりつつあるのに、手料理至上主義信仰があったり、家事代行が普及していなかったり、「全部自分でやる美徳」が根強く残っています。著者の SNS での投稿に対しても、「家事や育児を AI に任せるとは何ごとか!」的なコメントが来るとのこと。今後の人口減少を見据えると、この固定概念を壊していかないと家事・育児が成り立たなくなりそうです。
まずは、AI に任せるべき部分の見極めが必要です。AI は、入力された文字を理解しているかのように応答しますが、子どもの表情や声のトーンをリアルタイムで読み取ることはまだできません。AI が提案してきたレシピで「強火で 5分」と指示されたとしても、火が通っているかは人間が確認しなければなりません。全部を AI に任せようとするのではなく、人間がやるべき・やりたい部分を把握する必要があります。
その上で、AI 活用によって生じた余裕で何をするかを考えることも重要。例えば、AI を使って献立を考える時間を短縮し、その余裕で子ども一緒に料理をする、といった感じです。AI に任せること自体が目的ではなく、AI によって生じた余裕を自分は何に使いたいのか、まで意識することが本質だと思いました。
本稿では、AI を家事・育児に活用するための視点について、本書からの学びを 3点共有します。本書には AI の具体的な使い方が数多く紹介されていますが、本稿では抽象化した学びを挙げています。具体的な使い方が知りたい方は、本書や著者 note などを参照ください。
① AI が出すのは答えではなく判断材料
本書では、家事がしんどい原因は作業量より判断の多さと書かれています。AI は、掃除や料理の作業をしてくれるわけではありません。効率のいい掃除のやり方や、食材の在庫をもとに作る料理の提案をしてくれるものです。
作業量は有限ですが、判断が必要なシーンは無限にあります。例えば、家電を買う作業そのものは、今どきはスマホから簡単にできるようになりました。結局大変なのは、サイズや性能で「どれを買うか」、値段や保証で「どこで買うか」などを決めることです。アクセスやスペースが限定される実店舗に比べて、ECサイトには無数の商品があり、そもそも ECサイト自体も複数あります。選択肢が増えている中でたくさんの判断を重ねなければならず、人は疲れてしまいます。
AI は、判断すべきことを無限から有限に変えてくれるものだと感じました。先ほどの家電の購入の例で言えば、サイズや性能の条件、価格帯や使いたい ECサイトを伝えた上で、「候補を3つ出して」と頼めば、無限にある選択肢を数えられる量まで減らしてくれます。そもそも家電を選ぶ基準自体も無限にあるので、どういう点を比較すればよいか、から AI に聞いてみることもできます。
答えをもらうのではなく、判断材料をもらう、という姿勢で AI を使うとよさそうです。無限の選択肢の中から、AI でまずは 3つに絞ってもらい、そこから人間が 1つを選ぶ、というのが賢い使い方と言えるでしょう。最後に決めるのは、どこまでいっても人間の責任です。
② 前提をちゃんと言葉にしよう
AI との会話においては、「言わなくても伝わる」と思っていた前提を言語化する必要があります。著者のエピソードとして、冷蔵庫の食材を AI に伝えてレシピを提案させたら、せっかくの高級肉を刻んでチャーハンの具材にしよう、と言ってきたそうです。
AI は、入力された情報と一般的な情報で出力を組み立てます。冷蔵庫にあるお肉が高級品であること、お肉の旨味が感じられるような調理方法で食べたいことを伝えなければ、スーパーで買ってきたいつものお肉と同じように扱ってしまいます。
だからこそ、避けたいこと・守りたいこと・優先したいことを言葉にすることが重要です。レシピでいえば、「今日の給食がカレーだったから、カレー以外で」とか「疲れているから手間のかからない調理で」とかを伝えてあげる必要があります。まったく同じ食材が冷蔵庫にあったとしても、給食のメニューとか体調とか気温とか、他の変動要因はたくさんあります。こういった情報をちゃんと伝えてあげることで、今の状況にあった出力が期待できます。
これって、AI に対してだけでなく、人とのコミュニケーションでも同じだと感じました。冷蔵庫のお肉は高級品であること(事実)、調理方法にこだわりたいこと(価値観) を家族に伝えていなかったら、悪気なく刻んでチャーハンにされる可能性がありますよね。
事実だけでなく、それに対する自分の価値観も伝えることも重要でしょう。高級肉であることだけを伝えても、相手は「高級肉でチャーハンを作ったらおいしいはず!」と思っているかもしれません。価値観を共有し、相互理解を深めることで、想定外の行動を減らすことができるはずです。
AI との対話は、「中身がすべて」のローコンテクストな会話です。空気や行間を読むことが求められるハイコンテクストな日本語とは真逆の性質。AI はこちらの発言を急かさず待ってくれるので、「言葉にしていないこと、隠れた前提がないか?」を丁寧に確認するようにしたいと思いました。
そして、AI とのローコンテクストな会話の経験は、人間との会話にも活きてくるのではと思います。お互いの前提がズレていないかを確認する習慣がつきそうですね。むしろ、ハイコンテクストすぎて面倒になって、人間との会話をキャンセルしたくなっちゃうかも…?
③ 子どもと一緒に学ぶ姿勢で
AI を活用すると、親子の学びを「親が子どもに教える」から「親と子どもが一緒に考える」ものに変えられると感じました。
親が子どもに何かを教えようとしても、親子の関係性が前に出てしまい、素直に聞いてもらえないことが多い、と書かれていました。親は先生と違って、子どもにとっては多少のワガママを言っても許される存在ですし、親からしても言い方が雑になってしまう場面もあるでしょう。一方的に教えられる立場の子どもが反発してしまうのも仕方ないかなと思います。
AI という第三者を交えることで、親と子どもが一緒に考える姿勢を取りやすくなります。上から教えるのではなく、横で一緒に学ぶ姿勢です。「お父さんもよくわからないから、一緒に調べてみよう」、そんな姿勢の方が、子どもも自然に学べるのかもしれません。
そもそも親だって、いつでも正解を知っているわけではないですからね。社会の教科書は親世代の情報から大きく更新されていますし、国語の読解には正解がないケースもあります。
AI を使いながら、子どもと一緒に親も学ぶ。これからの時代らしい学び方だと感じました。
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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。