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リアルプロダクトを動かす技術|バリューチェーン全体を支えるシステムアーキテクト部

Antwayは、「あらゆる家庭から義務をなくす」をミッションに掲げ、手料理サブスク「ツクリオ(Tsuklio)」を提供しています。これまで主にファミリー層を対象に、4人前を中心としたサービスを展開してきました。

一方で、少人数世帯の方からは、「量が多い」「少人数でも使いたい」といった声も寄せられていました。そうしたニーズに応えるべく、新たにリリースされたのが「2人前×週3食プラン」です(以降「2人前プラン」と表記)。

一見すると「分量を半分にするだけ」のようにも思える新プランですが、その裏側では、お客様向けの注文システムから、キッチンの製造管理、食材の調達・配送、さらにはデータ活用にいたるまで、バリューチェーン全体を支えるシステム改修が行われていました。

今回は、システムアーキテクト部(以下、SA部) 部長の佐々木彬弘さんに、「2人前プラン」誕生の裏側と、Antwayならではの開発の面白さについて聞きました。

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ーAntwayが掲げる「技術SPAモデル」とはどんな特徴がありますか?また、従来の一般的なWebサービス開発と異なる部分はどのようなところがありますか?

Antwayの「技術SPAモデル」は、メニュー開発からマーケティング、食材調達、製造、配送、そしてお客様からのフィードバックをもとにした商品改善まで、一連のバリューチェーンを自社で担い、その全体をデータとシステムの力で効率化していくモデルだと捉えています。

「ツクリオ」では毎週8品または11品のメニューをパッケージにしてお届けしていますが、その裏側にある一連のサイクルにデータを活用することで、より美味しいものを、より安く、より多くのお客様に、そして安全にお届けできるようになります。事業が成長すればするほどデータが蓄積され、製造や配送のオペレーション精度がさらに向上していく。そうした循環をつくれることが、技術SPAモデルの大きな特徴です。

一般的なWebサービス開発との違いでいうと、提供しているものが「リアルプロダクト」である点が大きいですね。たとえば一般的なWeb企業では、Web上に掲載されている情報がプロダクトの中心でした。基本的には、Webやアプリの中だけで価値提供が完結します。

一方でAntwayが最終的に届けているのは、食品というリアルな商品です。Antwayの場合は、キッチンの製造キャパシティや食材調達、配送といった「物理的な制約」が常に存在します。そのため、単に「Web上でたくさん集客すれば良い」というわけにはいきません。
オンライン/オフラインを行き来しながら、事業全体をどう前に進めていくかを考える必要があります。
そこが、Antwayのシステム開発ならではの面白いところであり、大きな特徴だと感じています。

ー「バリューチェーン全体の改善を担う」という役割について、具体的に関わる部署とスコープ範囲について教えてください。

関わる部署でいうと、ほぼすべての部署が対象になります。

システムの領域としては、大きく「お客様向けの注文システム」と「生産管理システム」の二つがあります。それぞれチームは分かれていますが、扱うデータは密接につながっているため、データ活用を専門とする組織が横串で全体を統括しているような体制です。

また、生産管理などバリューチェーンに関わるシステムを内製開発している点もAntwayの特徴です。Antwayの場合、毎週異なる冷蔵の手料理をサブスクで届けるという、あまり世の中にない事業モデルなので、この業態にフィットする既存のSaaSやパッケージシステムは、なかなかありません。

創業期にはOEMで外部工場に製造を依頼する選択肢もありました。ただ、毎週違う品目をこの規模で製造することに対応できる会社は全くなく、結果として自分たちで製造体制をつくっていくことになりました。

システムも同じで、外部サービスを導入してカスタマイズするより、自社の事業に合わせて内製したほうが、スピードや柔軟性の面でメリットが大きい。バリューチェーン全体を見ながら、各部署の課題をシステムやデータでどう解決していくかを考える。それが、SA部が担っているスコープですね。

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ー組織はどのように分かれているのでしょうか?また、プロジェクトの整理や管理はどのように行っていますか?

現在、SA部の正社員は私を含めて12名。フリーランスで携わっていただいている業務委託の方や外部の開発会社の方も含めると、全体で20名ほどの組織です。

組織は大きく3つに分かれています。国内事業を担当する「プロダクト開発チーム」、海外事業を担当する「海外プロダクト開発チーム」、そして事業横断でデータ活用を担う「データプロダクトチーム」です。

プロダクト開発チームは、さらにお客様向けの注文システムを担当するチームと、製造側のシステムを担当するチームに分かれています。国内事業は一定の規模があり、関わる業務領域も深いため、それぞれの領域に応じて専門性を持ちながら開発を進めています。

一方、海外プロダクト開発チームはまだ新規事業に近いフェーズなので、領域を細かく分けず、お客様向けから製造側まで小さなチームで一体的に担当し、スピード感を持って幅広く動ける体制にしています。

データプロダクトチームは、特定のバリューチェーンに紐づくのではなく、事業全体を横断して見ている組織です。データを個別最適で管理するのではなく、全体としてどう蓄積し、活用していくかを大切にしています。

ー「2人前プラン」のリリースに向けて、SA部の取り組みはどのようなものがありましたか?

関わった領域は大きく5つです。効果検証の支援、注文・受注管理システムの構築、配送管理システムの構築、調達計画システムの改修、そして需要予測の活用です。

まず、本格リリースの前にトライアルを実施しました。Antwayでは新施策をいきなり本番展開せず、必ず検証フェーズを設けています。2人前プランは全社的にも大きな意思決定だったため、データアナリストがどのようなスキームで検証すれば展開可否を精度高く判断できるかを整理し、ROIの見通しが立ったことで、本番展開へと動き出しました。

本番展開では、複数のシステムを同時に動かす必要がありました。注文画面は、入力された郵便番号をもとにキッチンの製造キャパや配送エリアの制約を照合し、2人前プランの提供可否を動的に判定する仕組みを構築しています。受注データはキッチン側に連携され、調理・パッキング・伝票発行までがつながっています。

食材調達の面では、4人前のレシピの分量を単純に半分にすればよいわけではなく、卵のように分量をきれいに割れない食材もあります。2人前に必要な原材料を正確に算出し、調達チームへ連携する仕組みを整えることで、食材ロスや製造上のトラブルを防いでいます。

さらに、機械学習モデルによる需要予測も活用しています。お客様は週ごとに注文をお休みできるため実際の注文数は毎週変動しますが、これを事前に予測することで、食材調達や製造キャパシティの調整、集客の強弱まで判断できる体制を整えています。

ー大きな変更点や予期せぬトラブルはありましたか?また、技術的な変更点などはどのように乗り越えたのでしょうか?

大きなトラブルは、結果的にはほとんど起きませんでした。ただ、今回の「2人前プラン」は、創業以来初めての新プラン追加だったため、大なり小なり変更点はありました。

特に難しかったのは、複数のシステムが密接につながっていることです。注文画面、受注管理、生産管理、調達計画、配送連携など、バリューチェーン全体のシステムが連動しているため、個々の領域だけを見て実装すると別の領域に影響が出る可能性がありました。

それでも大きな問題なく進められたのは、プロジェクトの前段階からリスクを丁寧に洗い出し、チーム全体で共有する体制を整えていたからです。具体的には、日次・週次の定例で進捗や課題をこまめに確認しながら進めました。検知したリスクには優先度をつけて対応することで、品質・コスト・スケジュールを守りながらリリースすることができました。

この背景には、Antwayの「OPEN」というバリューがあります。全社的にどんなプロジェクトが動いているか、どんな変更がありそうかが早い段階で共有され、「これは少し危ないかも」と感じたこともフラットに相談しやすい雰囲気があります。

また、エンジニア一人ひとりの品質意識も高く、それがスムーズに乗り越えられた要因だと思います。

ー今後予定されている、海外展開や国内事業におけるSA部としての重要トピックはありますか?

大きくは、国内事業における提供価値の拡張と、海外事業の成長です。

国内事業では、まず市場を広げていくことが重要です。これまでアプローチしきれなかった二人世帯や、将来的には単身世帯やシニア世帯などあらゆる家庭にも届けていくことで、より多くのお客様にサービスを使っていただける可能性があります。

もう一つの大きなテーマが、パーソナライズです。これまでの「ツクリオ」は、決まったメニューが毎週届くモデルでした。当然のことですが、ご家庭によって食の好みは大きく異なります。これからはそれぞれの家庭ごとに最適化された商品をどう届けるかが、事業成長の大きなポイントになると考えています。

海外事業については、まずシンガポールで立ち上げた事業を成長させ、収益基盤にすることが直近のテーマです。現地法人を設立し、キッチンを構え、商品を提供するところまで進みました。

ただ、海外は国内事業の単純な横展開ではありません。日本の家庭料理を届けるというコンセプトは持ちつつも、一定のローカライズが必要で、オペレーションやシステムも国内とは切り離して現地に合わせて構築しています。ローンチ直後のフェーズだからこそ、今後は機能を高速でデリバリーしながら市場のニーズを素早く捉え、仮説検証を繰り返していくことが求められます。エンジニアとしての動き方も、国内の安定運用とは異なるスピード感と柔軟性が必要になってきます。

ー現在の国内事業において、技術的に「まだここが解けていない」「ここをハックできればもっと面白くなる」と感じている未踏のイシューは何ですか?

大きくは二つあります。一つは、お客様の「飽き」をどう解消するか。もう一つは、パーソナライズが進む中で、製造の複雑性をどうテクノロジーで支えるかです。

解約されるお客様の解約理由を見ると、「飽きてしまった」という声が少なくありません。だからこそ、そもそもなぜお客様は飽きるのか、それに対してどんな商品や体験を提供すべきなのかが、すごく重要なテーマです。

現在も「お好みメニュー変更機能」のような取り組みはありますが、ここはまだまだ進化の余地がある領域です。今後はさらに踏み込んで、お客様ごとの嗜好に合わせた提案や新商品開発につなげていく必要があります。

ただ、パーソナライズやプランの多様化を進めるほど、製造側の難易度は上がります。一般的な食品メーカーなら同じものを大量につくるほど効率は高まりますが、「ツクリオ」は毎週違うメニューを届けていて、お客様ごとに選べる内容が増えると、何をどれだけ作るべきかの予測や管理はより複雑になるからです。

お客様に合わせたカスタマイズ性と、製造の効率性・安定性・安全性。これらはトレードオフになりやすいですが、その難しさをソフトウェアやデータサイエンスでどう両立させていくかが、技術的にも事業的にもとても面白いイシューだと思っています。

ー最後に未来の仲間に一言メッセージをお願いします!

ここまでバリューチェーン全体に関わる開発を経験できる環境は、なかなかないと思います。

お客様向けの注文画面だけでなく、製造、調達、配送、マーケティングまで、事業の広い範囲にシステムが関わっているからこそ、エンジニアとしての介在余地が大きく、巨大な課題にさまざまな角度からアプローチできます。

今いるエンジニアは私含めて食品業界出身者はおらず、全員が入社後にキャッチアップしながら活躍しています。

事業全体を見ながら技術で課題を解きたい方、新しい領域に飛び込んで学び続けられる方には、すごく合う会社だと思います。ぜひ飛び込んできてください!

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