ゼロイチのシンガポール事業|海外事業のエンジニアリングマネージャーに求められること
Antwayは、「あらゆる家庭から義務をなくす」をミッションに掲げ、手料理サブスク「ツクリオ(Tsuklio)」を提供しています。
そんなAntwayがいま、国内で培ってきた食事提供の仕組みを土台に、シンガポールを起点とした海外展開を進めています。
海外展開におけるプロダクト開発の立ち上げを担ったのは、システムアーキテクト部(以下SA部)の佐々木陽太さん。2025年8月頃から要件定義やシステム基盤を構築し、2026年3月に船田洋祐さんへバトンタッチしました。現在は船田さんがプロダクト開発を専任で担当しています。
Antwayでは現在、このグローバル展開の最前線を共に走り、技術と組織の両面から事業を牽引する「海外事業のエンジニアリングマネージャー」を募集しています。
今回はお二人に、シンガポールでのゼロイチ開発の舞台裏と、このポジションの魅力について伺いました。
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ー現在、シンガポールでの事業立ち上げはどのようなフェーズにありますか?

船田さん:お客様のニーズに合わせてプロダクトを改善しているフェーズです。
まず、本格ローンチに先駆けて事前登録を開始し、その裏側で必要な機能を開発しました。そして、2026年4月、日本で主流になっている「1週間で4人前×3食プラン(12食分)」のみを、必要最小限の機能(MVP)として本格ローンチしました。
初週は好調な滑り出しを見せたものの、そこから徐々に注文数が減っていく状況が続き、少し厳しい局面もありました。
そこで、ビジネスサイドと協力しながら、お客様の声を集めるためのインタビューやアンケート機能を追加し、スクラムのフレームワークに沿って、優先度が高いと判断した施策から順に開発を進めていきました。
そのなかで見えてきたのは、金額や量についての声です。それらお客様の声をベースに新たなプランを追加するなどしたところ、徐々に注文数が増えはじめ、順次注文数の回復が実現しました。
既存のプランに加えて新たなプランを追加する開発は、企画からリリースまでわずか2〜3週間。システムだけでなく、バリューチェーン全体を巻き込んでこのスピードを実現できたことは、社内で"伝説"と呼ばれるほどでした。
毎日、お客様の数や注文数が少しずつ増えていく様子をメンバーみんなで見ながら、お客様の声をサービスへ反映し、成果につなげられていることに手応えを感じています。
ーシンガポール向けプロダクトを開発するなかで、技術的に難しかったことや、新しく挑戦したことはありましたか?
船田さん:システムとしては初めての海外運用です。毎週発生するサブスクリプション決済が正常に動くのか、重複決済が起きないかなど、稼働当初はかなり緊張感がありました。それでも、これまで重大なインシデントを起こすことなく、安定して運用できています。
佐々木さん:運用面ではそうした緊張感がありましたが、海外だからこその大きな技術的ハードルは、それほどありませんでした。バックエンドは国内構成を踏襲しつつ、データベースはFirestoreからRDBに変更するなど、改善したい部分に新しい技術を取り入れています。
船田さん:フロントエンドも、国内で使用しているNuxt.jsではなくNext.jsを採用しています。Next.jsはグローバルスタンダードでエコシステムが成熟しているため、ClaudeやCodexなどAIを活用した開発支援の恩恵を最大限に受けやすい技術であることが、理由の一つです。
佐々木さん:決済もStripeなどグローバルSaaSを使っているので、国が変わって大きく苦労したわけではありません。
ただ、PDPA(シンガポールの個人情報保護法)への対応や、お客様からどの段階で許諾を得るかについては、日本との違いもあります。そこは現地の弁護士と相談しながら設計しました。
船田さん:海外だからというより、ゼロイチだからこその難しさはありましたよね。Stripeの設定でシンガポール発行のカードが使えるか、3Dセキュアが正しく動くかなど、日本では検証しにくい部分もありました。
佐々木さん:確かにありましたね。現地へ行くメンバーやパートナーの方に、実際のカードで決済を試してもらいました。
配送についても、現地業者が扱える形にデータを設計し、システムを連携させる必要があります。
今後、第二、第三の国へ展開していくうえでは、共通のプラットフォームを持ちながら、決済や配送、メッセージ、言語などを国ごとに柔軟に切り替えられる仕組みが大切になると考えています。
ー将来の多国展開を見据え、システムはどう設計していますか?

佐々木さん:シンガポールだけで終わる仕組みではないので、特定のクラウドサービスに依存しすぎず、任意のクラウド環境へ載せられる構成を意識しています。
データベースも、現時点では共通化しながら国ごとに管理でき、将来的には必要に応じて国ごとに分離できる設計です。
すべての国でStripeが使えるとは限りませんし、今後の展開もシンガポールでの結果を見て初めてわかる部分があります。だからこそ、現時点で特定の国に最適化しすぎず、戦略の変化に対応できる柔軟性を持たせています。
設計にあたっては、エンジニアが言われたものをそのままつくるだけでは難しいんですよね。事業が将来どうなりそうかを自分たちでも考えながら、キッチンやマーケティングのメンバーとも話し合って決めてきました。
船田さん:少人数でも開発や運用ができるシンプルさも、このアーキテクチャの特徴だと思います。
立ち上げ当初は佐々木さん一人で、その後も業務委託の方との二人三脚に近い体制でした。そのため、細かな設定を一つずつ手作業で行うのではなく、コードを書けば自動的に環境へ展開されるような構成が選ばれていますよね。
佐々木さん:そうですね!
船田さん:国内サービスはLINE上で展開していますが、シンガポールでは一般的なWebアプリケーションとして構築しています。Googleやメールアドレスでログインする標準的な構成にすることで、一般的な技術ナレッジを活用しやすく、AIを使った開発とも相性のよい設計になっています。
ー今後の技術的な課題について教えてください。
船田さん:立ち上げ時に採用した構成が、実際に運用するなかで少し先進的すぎたと感じる部分がありました。
具体的には、データベースとの接続方法が一般的な構成とは少し異なり、決済のような複雑でクリティカルな処理を書く際に難しさがあります。今後は、データベース周りの構成や接続方法を調整していきたいですね。
もう一つの課題は、属人化の解消です。
現在はスクラムで開発を進めており、特定の人だけが作業や意思決定を担うのではなく、開発者の誰もが同じように開発できる状態を目指しています。
立ち上げ当初は佐々木さんにしかできないことが多く、引き継いだ後は僕にしかできない状態になっていました。その後メンバーが増え、現在は4人のチームになりましたが、依然として承認や作業が僕に集中しやすく、そこがボトルネックになっています。
そこで、現地の弁護士と相談し、PDPAに配慮しながら、問い合わせ対応や不具合調査、本番環境へのデプロイを、特定のメンバーだけに依存しない仕組みへ少しずつ改めているところです。
機能開発を進めながら、先週より今週、今週より来週と、チーム全体の生産性を高めていくことも、今取り組んでいる大切なチャレンジです!
ー現在のチーム体制と、「海外事業のエンジニアリングマネージャー」を新たに募集する背景を教えてください。

船田さん:現在は、正社員の僕と業務委託メンバー3人の、計4人体制です。
僕自身が、ビジネスサイドから求められる機能を自分で実装しながら、チームの健全性や生産性を高める施策も考えなければなりません。どうしても時間が分散し、どちらにも十分に集中しにくくなってしまうんですよね。
海外事業のエンジニアリングマネージャーには、プロダクトの成長に合わせたチーム編成や、業務委託メンバーも含めて全員が活躍できる環境づくりに、しっかり時間を使っていただきたいと考えています。
佐々木さん:今後、シンガポール事業や海外展開が拡大すれば、メンバーやチームの数も増えていきます。複数チームを横断してまとめ、中長期的な組織づくりやチームづくりを担う人が、今はまだいません。立ち上げ期はプレイングもしながらチームを理解し、徐々に組織づくりへ軸足を移していただくイメージです。
ー海外事業の初代エンジニアリングマネージャーだからこそ得られる経験や面白さはどこにあると思いますか?
船田さん:既存のルールや仕組みに縛られず、事業と組織の両方をゼロからつくっていけることだと思います。
シンガポール事業はまだ小規模で、意思決定から実行までのスピードがとても速いです。日々変化するプロダクトやチームを、どうすればより円滑に回せるのかを考え、仕組みにしていく。そうした環境を楽しめる方にとっては、かなりエキサイティングだと思います。
もちろん、事業としての手応えもあります!シンガポールでは手軽で安価な食事が身近にある一方で、揚げ物が多い、味が濃い、野菜を摂りにくいといった悩みがあります。
そのなかで、手作りの日本食は「体にやさしい」「野菜が多く、健康的」といった点で、現地のお客様にも、現地で暮らす日本人のお客様にも受け入れられています。日本食の美味しさだけでなく、健康的な食文化として世界に広げていける可能性があることも、このポジションならではの面白さですね。
ービジネスサイドやキッチンメンバーとは、どのように連携しているのでしょうか?
船田さん:キッチンメンバーと直接やり取りする機会は多くありませんが、ビジネスサイドとはかなり密にコミュニケーションを取っています。
単に「この機能をつくってほしい」という要望を受けるのではなく、なぜ必要なのか、事業がどんな状況にあるかを理解したうえで、機能の提案や要件定義を行っています。
「できました」「いいですね、やりましょう!」「では、こう変えるのはどうですか?」といったやり取りを毎日のように繰り返し、ビジネスと開発が一体となってプロダクトを育てています。
ビジネスサイドの一部はシンガポールに駐在し、現地の反応を肌で捉えています。日本との時差も1時間と少なく、また普段からフルリモートでのチャットやオンラインでのコミュニケーションに慣れているメンバーが多いため、距離や時間による難しさはあまり感じません。
こうした密な連携があるからこそ、柔軟に方針転換できる体制を保てています。
先が読みにくい立ち上げ期だからこそ、つくりすぎないことも大切にしていて、まずは必要最低限の形でお客様に届け、反応がよければ伸ばし、必要がなければやめる。最小限の工数で今もっとも価値のあるものを届けることを意識しています。
ー正解のない挑戦や、グローバル展開ならではのダイナミズムを楽しめるのは、どのような志向性を持つエンジニアだと思いますか?

佐々木さん:新規事業の立ち上げや、アジャイルな開発を心から楽しめる方には、とても面白い環境です。教科書で読んだようなアジャイルを、本当に実践できる環境があったんだと感じてもらえるかもしれません。
一方で、変化が激しく、誰も正解を持っていない環境でもあります。だからこそ、ビジネスサイドと対等に議論し、開発側からも「こうしたほうがよいのでは」と提案できることが大切です。
船田さん:ビジネスサイドから一方的に仕事を丸投げされるわけではありません。しっかり考えられた要求が届くからこそ、エンジニア側も、期待以上のボールを返したいと思えるかどうかが大切です。
「言われたものだけをつくります」という方よりも、自分なりの理想像を持ち、互いの考えを混ぜ合わせながら、よりよいものをつくりたい方が合うのではないでしょうか。エンジニアリングマネージャーには、そうしたメンバーを束ねながら、チームやプロダクト全体を俯瞰していただきたいですね。
佐々木さん:「何をつくるか」「どうつくるか」だけでなく、「なぜつくるのか」から全員で考える。それが、僕たちにとってのアジャイルです。仮説を立てて検証し、全体最適で判断できる方が、今のフェーズには合っていると思います。
ー最後に、「海外事業のエンジニアリングマネージャーに挑戦してみたい」と感じた方へメッセージをお願いします。
佐々木さん:シンガポールでの立ち上げは進んでいますが、まだできていないこともたくさんあります。今後、他の国へ展開していくうえでは、メッセージングや決済手段のローカライズも必要です。
システムだけでなく、チームづくりにも大きな裁量があります。事業がまだ小さく、既存のしがらみも少ないため、新しいことに挑戦しやすく、失敗しても学びに変えてやり直せるフェーズです。僕自身、立ち上げに携わった期間は本当に楽しかったですね!
Antwayには、お客様への価値提供を第一に考え、「どうすればみんなでプロダクトを良くできるか」という視点を持つ人が多くいます。自分の力を、前向きな挑戦に使っていただける環境だと思います。
船田さん:現在は、海外チームにエンジニアリングマネージャーがまだいません。だからこそ、「こんなチームをつくりたい」という思いを、実際の組織や仕組みに反映できる機会があります。
プロダクトやAntwayのビジョンに共感し、自分なりの理想を持っている方であれば、それを形にできる環境です。初代エンジニアリングマネージャーだからこそ、確実に大きな価値を発揮していただけると思います!
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