[安全の仕事] 作業モニタリングが活発に生まれ変わる! ギャップを埋める方法!
安全の活動には必ず「観察」というものが求められます。ある時はルール遵守の確認を求め、ある時は不安全行動の発見を求め、その行動自体に抑止力を求めることもあります。そして「観察」は、いくつかの呼称によって分類されていきます。
まず、似て非なる者3つの活動を明確に分けることから始めます。
安全パトロール:チーム巡回と位置づけました。多数の目で確認し客観的にチェックする。
モニタリング:作業の一連の流れをじっくり「観察」し、色々な角度からズレがないかを確認する。
安全巡回:現場を歩き、確認とコミュニケーションを通じて「異常」と「変化」を早期に発見する。
本稿で紹介するのは、「モニタリング」です。BPMに則った有効なモニタリングを説明していきます。
1. モニタリングの目的
モニタリングの目的は「2つのギャップを確認すること」です。標準↔現場↔最適解。
先ずは、標準(ルールや基準を含む、あるべき姿)と現場(または現物)とのギャップです。定められた通りのアウトプットやプロセスができているか?これが基本となります。
もう一つが、最適解(理想など、ありたい姿)と現場(または現場)とのギャップです。標準がズレている、追いついていない可能性があります。より良いアウトプットやプロセスが可能であれば改善を進める必要があります。
2. 多角的なモニタリング
モニタリングのジャンルは安全や品質だけではなく、生産性や改善目線など多岐に亘るでしょう。巡回とは違い、点ではなく線で見ることが醍醐味です。
(1)定量と定性
定量モニタリング(数字で測る):結果を数値で確認できれば統一した評価ができるでしょう。あらかじめ測定単位を決めておき、比較することは有効な方法です。
定性モニタリング(状態で測る):全てが数値化できる訳ではありません。そういった場合には標準を決めておき、比較する必要があります。
(2)手段
直接目視するだけでなく、ヒヤリング、モニターカメラやAIまたはビーコンなど色々な手段がありますので、目的に応じて選択することが大切です。特に時間外や休日など、普段と違う場面をモニタリングすることも大切です。
(3)BPMサイクル
モニタリングではBPMというフレームワークを使用します。(Model→Execute→Monitor→Analyze→Improve)。このフレームワークは継続的に最適を求めることに優れています。
①ギャップを測定できる標準があること。
②標準に沿って業務を実施してもらう。
③モニタリングを実行。
④モニタリング結果から見えたギャップを分析。
⑤ギャップがあれば改善。

3. 見る側の要件
モニタリングの質は、見る側の「能力」で決まります。要件を備えた「プロセスマネージャー」としての視点が求められます。
ギャップ測定能力:何に対して、どの程度のギャップがあるか測定する能力
要因判断能力:ギャップが発生する要因を正しく判断する能力
有効性判断能力:ギャップに対し是正や改善が有効か判断する能力
解像度:ギャップを分析して分類ごとに明らかにする能力
多視点:ギャップの背景や関連性など色々な角度から観察する能力
どうすれば要件を満足できるのでしょう。まずは見ている業務を理解することです。ギャップが起きる背景を理解しなければ、評価することは困難でしょう。
アウトプットだけでなく、プロセスをも理解したうえでモニタリングすることが有効性を高めます。

4. 見る側の平準化
モニタリングにおいて最も避けなければならないのは、観察者の主観による「判断のバラツキ」です。
ある人は「これくらいなら大丈夫」と見逃し、別の人は「重大な違反だ」と厳しく糾弾する。このような状態では、現場に不信感が生まれ、データとしての信頼性も失われます。
また、見る人は1人でも、対象者によって評価を変えてしまうこともありますよね。ある人には「指摘」し、別の人に対しては「注意もしない」というのでは差別と言われても仕方ありません。
そこで不可欠となるのが、「許容範囲」の明確化と、アクションレベルの設定です。ほとんどの会社ではNGは全て報告とされているでしょう。しかし、何でもかんでもNGにするわけにもいかず、見る側が独自で「さじ加減」を設けています。これが先述したような状況を作ってしまっているのです。
私たちは、現場で発生する「理想とのギャップ」を、その深刻度に応じて4つのフェーズで定義し、それぞれに取るべき行動をあらかじめ標準化しておきます。
まず、「レベル1:許容範囲」です。これは微細なギャップであり、トラブルに直結しないレベルです。ただしギャップがあるのは間違いなければ当事者には伝えるようにしましょう。伝えるとこで是正につながることになります。
次に、「レベル2:要注意」です。これは微細なギャップであるものの、トラブルの可能性があるレベルです。当事者に伝えるとともに是正方法を確認しましょう。ギャップと確認した内容を履歴に残します。次回モニタリングする際には是正を確認してください。
リスクとして扱うのが「レベル3:指摘」です。これは明確なギャップであり、トラブルの可能性が高いレベルです。速やかに当事者だけでなく管理者にも伝え、是正しましょう。これもギャップと確認した内容を履歴に残します。
そして、リスクが大きいものは「レベル4:違反」です。看過できないギャップであり、トラブルに直結するレベルです。直ちに業務を止め、管理者に伝えましょう。このレベルになると十分に対策を考えてから再開させた方が良いこと思われます。ギャップだけでなく、対策が有効であるか確認して、全てを履歴に残しましょう。
このように、見る側が一貫した「判定基準」を持つことで、モニタリングは初めて公平で建設的な改善ツールとして機能し始めるのです。

5. モニタリングから産まれるもの
古い標準、無理な手順、無駄な動作、そして守られていないルール。これらを一つずつ丁寧に炙り出し、BPMサイクルによって「今の最適解」へ書き換えていく。その積み重ねこそが、働く人を守り、生産性を高める道です。
「生きた標準」と「最適な現場」を作り続ける。それこそが、私たちが目指すモニタリング・メソッドの到達点です。
