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【鬱病】治せなくても寄り添える【自分らしく生きる】


俺は、入って驚いた。

ベットで壁にもたれかかって座っていたのは、

俺の知ってるあいつではなかった。





弱々しく虚ろな目…

今にも折れそうなほど痩せ細った体…

いつもの笑顔とはかけ離れた死んだ顔…




…まるで、“生きてる“感じがしなかった。


“生き生き“してる状態の反対が“鬱“なのだと、
俺はこの時初めて実感した。


↑前半記事
※(後半から読むのでも大丈夫です)



俺は言葉を失った。


ここまで弱っているとは想像もしてなかった。


何て声を掛ければ良いのだろう。

沈黙を作っちゃ駄目だ。
俺は10秒ほど固まっていた。

笑顔で、いつものあいつに話しかけるように。
そう思いながら何と声をかけようか考えていると、

「…驚いたか?」


小さく弱々しい声であいつは言った。

「いや、話は聞いてたから別に…」


そんなことない。


驚くというより、やっぱり信じられなかった。


現実を前にしても、
あんなに笑顔が眩しかったあいつが
こんな姿になるなんて
考えられない。



「俺はこんな姿をお前に見せたくない」



「いや別に…俺はどんな姿のお前でも良いよ。
お前がどうなっても受け入れるさ…」


「でもな…」



1番伝えたいこと。
お前は元気でいて欲しい。幸せになって欲しい。


そう言うのが恥ずかしくて、
違う言葉で伝えようと考えていると。


「今話したくないんだ。悪いけど帰ってくれるか」



ハッキリ言われた。

そう言ってあいつは、
こちらに背を向けて布団を被って寝てしまった。



「…お前らしくないな」


感情が溢れ出てきた。


「お前はたくさんの奴を励ましてきたじゃないか。
周りのムードに誰よりも気を遣ってたじゃないか。
そんな奴がここまで酷くなってて、ずっと近くで見てきた俺が見捨てられる訳がないだろ」




「…お前らしくない?」

あいつは背を向けたまま言葉を発した。



「自分らしさって何だよ。お前に俺の何が分かる」



吐き捨てるように言われた。


何故だろうか。
俺はこの言葉が頭にきた。


「そういうとこがお前らしくないんだよ!
俺は小学校からの付き合いだぞ!
お前はいつも楽しそうに過ごしてた。失敗したって、すぐ忘れるか笑い飛ばしてたじゃないか!」



「………」


「なにも頑張ることが全てじゃない。
お前が楽しそうにしてたら、周りも幸せなんだ。
お前は俺らにとって大事な存在なんだ!
部活のことは一旦忘れて学校来いよ!」

「………」


反応がない。




「とりあえず外の空気吸って飯食いに行くぞ。
ずっとこうしてたらおかしくなる」


俺は布団をひっぺがして無理矢理連れて行こうと肩を揺さぶる。


その途端、あいつは俺の腕を振り払って、
睨みつけるように言った。



「放っておいてくれ。お前は何も分かってない。
俺はこうしてるしかないんだ。もう俺に構うな」




ショックな一言だった。
俺は…何も分かってないのだろうか。

あいつの全てを理解出来てるとは言えない。


でもあいつとは長い時を一緒に過ごした。

一緒に頑張ってきた“仲間“として、
他の奴よりは分かることがある。


あいつもそれは分かってるはずなのに。
心配して来たのに俺は何も出来ないのか。



無力感、そして怒りが湧いてきた。


「…寝てたら解決するのかよ」


もう駄目だ。
冷静でいられない。



「親や皆んなが心配してんだから、少しは話を聞けよ!心を開けよ!無理なら今すぐ病院にかかれ!」



「………」

あいつは下を向いて何も言わない。


無理だと悟った俺は、

仕方がないと割り切り、突発的な行動に出た。


あいつの手を無理矢理引っ張って、
玄関まで行きドアを開け外に出す。




俺は空を見上げて、

「ほら、外の方が部屋に閉じこもってるより
良いだろ!」



そういってあいつの方を見ると、


あいつは俺のことを弱々しい目で見た後、
玄関のドアをそっと閉めて鍵を掛けた。



あっけにとられた。



仕方ない。今日は諦めよう。


俺は言いたいことを言って少し心が落ち着いていた。

そうして、母親に挨拶もしないまま自宅へと帰った。




「…俺は諦めないからな」



帰り道に呟いた。






月曜。やっぱりあいつは来ていない。


頭の中はあいつのことばかり。



土曜のあいつの言葉にはムカついた。


でも、

ムカつくのと嫌いになるのは違う。


それでも、俺はあいつの親友であることに変わりはない。



また日を置いて会いに行こう。

あいつもいつか分かってくれるかもしれない。

病院に行って症状が良くなってるかもしれない。



俺はそう自分に言い聞かせた。

しかし、それでも心配は尽きない。



そこで、
鬱の人にどういう風に接すれば良いのか、
俺は保健室の先生に相談することにした。






尋ねた俺を、先生は快く受け入れてくれた。


「先生、うつ病の人への接し方を教えてくれませんか?」

「僕の友達にうつの奴がいて…何とかしてやりたいんです」



大まかなことは先生から聞いていたらしい。
あいつが閉じこもってることを知っていた。




「悠人君は今まできっと、
学校では頑張って明るく振る舞ってたのかな」


「我慢の限界が来たのね。
でも、家で寝たきりというのがまずいわ…」


寝たきりだし、
あの虚な目。痩せ細った体。弱々しい声…

俺の心配の奥底に確実にあったのは…

あいつの“死“だった。



「とにかく怖いのは、彼の鬱が急速に進行した
こと。徐々になら打つ手はあったけど…」

「今より重症化したら危険だわ…」


やっぱりそうだ。
今すぐこの状況を何とかしないといけないんだ。
これより悪くなるあいつの姿なんて想像したくない。


「俺、今度あいつを何とか外に出してみようかと思ってるんです」

「外の空気吸ったら、気分も良くなって徐々に
学校に戻る気持ちが湧くかもしれない」

「だから、元気づけられるようなこと…
励ましになる言葉とかあれば教えて欲しいです」



「いや……」




先生の言った言葉は俺の期待してたものとは違った。


「無理に外に出すとか、復帰をせかすとかは
逆効果になることが多いわね」



(え…?)


「今の彼には外に出る体力が無い。
未来のことを考える体力も無い」


「無理に外に出したら、
自殺しようとする可能性もあるし、、」



(自殺?…あいつが?)



「『頑張れ』とか『大丈夫』とかありきたりな慰めの言葉も、今の彼には効かないと思うわ」


「単純な“落ち込み“と“うつ病“は全くの別物と
考えた方がいいわね。
気合いとか気持ちではどうしようもないことなの」





「彼にとって今必要なのは、
何よりも“休息“よ」





あぁ



俺は膝から崩れ落ちそうになる。


俺のやったことは全部間違いだったのか。



あいつのためだと思ってやったことが
あいつの治療の妨げになってたなんて…



先生は続けて言った。


「うつ病も、他の体の病気と変わらないわ…」

「1番の治療は、専門のお医者さんに
診てもらうことね…」





※(参考)

うつ病の人は、玄関へ行って靴を履く元気がない。

食事や入浴など日常生活すら難しい。

できないことを無理強いするのは暴力だろ?

今日もあなたに太陽を〜精神科ナースのダイアリー〜




そんな…
あいつが心を痛めて苦しんでるのに、
俺は何も出来ないのか…



「でも…」


先生は言った。


「あなたに何も出来ることがないわけでは無いと思う…」


俺は息を呑んで話を聞く。



「彼に何かをさせることは出来なくても、
そばにいる…味方でいることは出来るわ」


「もしかしたら、
それは彼にも大地君にとっても
安心や回復に繋がるかもしれない」


「でも、相手が拒否したら…
無理強いするのはやめてあげてね、、」




「分かりました」


俺は先生にお礼を言い、保健室を後にした。






俺はこの話を聞き終えて、
いかに自分に知らないことが多いのかが分かった。


鬱病という病気のことも、
あいつがこうなってしまった経緯・原因のことも、


そして、あいつ自身のことも。


あいつの気持ち、俺は知ろうとしてなかった。
無理矢理、自分の理想や期待を押し付けて…



(酷くなる前に出来れば聞いておきたかった、、)


後悔が残った。でも、、


【あいつの味方でい続けることは出来る】



そう先生が言ってくれた。



無理に何かさせようとせず、
そっとしておいてあげるのも“友情“だよな…



色々と考え、
友達として俺なりに頑張ることを決めた。



練習後に毎日、

あいつの家に行ってあいつの部屋の壁越しで、
学校であったことを話そう。


今は聞く気力が無いかもしれないから、
日記のようなものを書いて、
少し回復した時見れるようにしておこう。



あと…


母親に、あいつのことについて
少しずつ聞いていこう。


母親もいっぺんに話すのは疲れるだろうから、
毎日少しずつ、過去のこと・気づいたことを
教えてもらおう。







そうして俺は毎日家に行くようになった。
手紙も毎日書いて、母親に渡した。




家に行くようになって1週間後、

あいつは病院に行った。



結果、病名はやはり“鬱病“だった。


薬を処方してもらい、経過観察となった。


病院に行ってくれたと聞いて本当に安心した。





そして、

…母親から色々と話を聞いたが、

あいつは勉強の成績が伸びないことにストレスを
感じていたらしい。




あいつの兄は難関の国公立大学に通ってるらしく、

家のこともよく考えてたあいつは、
兄貴と同じように成績が伸びないことに対して
よく自分を卑下していたらしい。


「僕は頭が悪いから、部活の推薦で学費のかからない大学に行けるよう頑張るよ」


閉じこもるようになる1ヶ月程前に、
そう言ったという。


本当に俺はあいつのこと何も知らないんだな。
何でも周りの人に聞いてみるものだな、、

改めてそう思った。




それを聞いてから

俺は毎日、手紙の最後に

「お前は何者にもならなくて良いよ。
お前の幸せが周りの人にとっての幸せだよ」


この言葉を添えるようにした。




ー1ヶ月後ー


あいつの体調は随分と回復し、
休日は、俺と家周辺を散歩するようにまでなった。


平日は、お茶を出して待っててくれるようになった。

俺は何だか少し気恥ずかしかったが、
あいつは穏やかに俺を受け入れてくれた。


笑顔が少しずつ戻ってきた。



帰りながら、

(俺が来るの、あいつの励みになってるのかな)



そう思うと嬉しくて嬉しくて、
帰り道、何だか泣きそうになる。





ー3ヶ月後ー


あいつは部活を辞めた。



部員たちは悲しそうにしていたが、

俺は、あいつが決断に踏み切れたことを嬉しく思った。




ー4ヶ月後ー

学校に復帰した。


病院の先生は、
「見込みより大分速く回復した」


と言っていたらしい。




皆んながあいつの復帰を心から喜んだ。


元通りのテンションまで戻ったとは言えないが、

昔のあいつの笑顔が学校で見れて、笑い声が聞けて、
俺は本当に嬉しかった。



やっぱりあいつは、
周りを明るく、和やかにする力がある。

自分では気付いてないと思うけど、
“俺は“、それがあいつの1番の魅力だと思う。






俺がふとあいつに言った言葉。

“お前らしくない“


「自分らしさ」って何だろう?と考えた。


それは、

自分の魅力を発揮できる

ってことなのかなと俺は思った。



あいつが凄くなっても偉くなっても、
勉強出来なくても足が遅くても、


俺は気にしない。
周りも気にしない。


それよりも、もっと大切なものがあるから。




[あいつの笑顔が周りを明るくする]

[あいつの行動が周りの行動を変える]

[あいつの幸せが、あいつの家族や俺の幸せになる]




俺は家族が幸せだったら嬉しい。
俺の幸せも、家族にとっての幸せなのかな、、


あいつの鬱をきっかけに、
俺は色々と考える癖がついた。




俺ってどんな人間なんだろ。
幸せってなんだろ。




“自分らしさ“は、
うまく言葉に出来たりするものではないが、



何者になることでも、
何かをすることでも、
ましてや始めから探すものでもない。


だから、
自分がどうなろうと何をしようと構わない。


“自分の魅力が発揮できる“


それが、幸せに生きる上で
1番大切なことだと俺は思ってる。





…では、自分の魅力とは何だろう?



それは、

自分の中で大切にしていること。




…それが本人から自然に現れている時、



それがその人の魅力であり、

“自分らしさ“でもあるのかと。


だから、変化していく自分や生活は必然。

大切にしていることは、変わってく。
俺も、皆んなも。


変化に対し、「自分らしくない」という
言葉は似合わない。




また、

他人の“自分らしさ“における認識では、

相手と自分とでズレが起きることがある



それは、相手が自分の魅力に気づいていないから。


もしくは、相手の行い…存在が、
相手の思わぬ形で自分にとって魅力を生んでいることが往々にしてあるから。



(授業中大きなあくびをして怒られてる彼は、
授業の雰囲気を和やかにしてることに気付いていないだろう)


そんな時は、

相手に“隠れた魅力“、“潜在的な魅力“を
教えてあげよう。


それは、その人にとって
生きる指針になるかもしれない。






ー1年後ー

俺は、地元から遠く離れた私立大学へ進学し、
悠人は地元の公立大学に進学した。


あいつも母親も、
1発で合格出来たことを心から喜んでいた。



俺らは今でも頻繁に連絡を取り合っている。


遠く離れてても、支え合えると信じて。




(最後まで読んでくださった方ありがとうございました😊)
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※(参考)

この記事を書く上で参考にさせてもらいました。
オススメです‼️
とっっても面白かったです‼️


あおき

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