アンモニア燃料が動き出した
――蔚山港の世界初バンカリングと日本郵船の挑戦
2026年4月、世界の海運業界を揺るがすニュースが韓国から届きました。蔚山港において、船から船へのアンモニア燃料補給(Ship-to-Ship Bunkering)が世界で初めて完了したのです。約600トンのアンモニアが供給されたこの出来事は、「アンモニアは未来の燃料」という議論を「アンモニアは今日使える燃料」という現実へと塗り替える歴史的な一歩です。
1.アンモニアとはどんな燃料か
アンモニア(NH₃)は、窒素1と水素3が結合した化合物です。農業用肥料の原料として馴染み深い物質ですが、燃料としての注目度がここ数年で急速に高まっています。最大の理由は「燃焼してもCO₂を排出しない」という特性にあります。
特に、再生可能エネルギーで水を電気分解して得た水素を原料とする「グリーンアンモニア」は、製造段階でもCO₂を排出しないため、真のゼロエミッション燃料として世界から期待されています。原料となる窒素は空気中に無尽蔵に存在し、水素は水から得られる——資源の安定供給という観点でも優れた特性を持っています。

2.なぜ海運で今アンモニアなのか
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