【2026年改定】エンシュア・イノラスは原則保険外へ?栄養保持を目的とした医薬品の給付ルール厳格化と「算定できる3条件」を徹底解説
2026年度(令和8年度)の診療報酬・調剤報酬改定において、
外来患者に対する経口栄養剤(エンシュア・H、イノラス等)の保険給付ルールが大きく見直されました。
今回の改定の本質はシンプルです。
👉 「なんとなく栄養補給」の処方は、原則すべて保険外へ
本記事では、
・何が算定できなくなったのか
・例外的に算定できる条件
・現場で絶対にミスできない実務ポイント
を、一次資料ベースで分かりやすく整理します。

1. 【結論】外来の栄養剤は「原則すべて算定不可」
今回の改定により、入院患者以外(外来など)に対して、
「栄養保持を目的とした医薬品」を投薬した場合は
👉 原則として保険算定が不可
となりました。
具体的には以下が算定できません:
調剤料
処方料
薬剤料
処方箋料
調剤技術基本料
つまり、
👉 “保険で出せる前提”が完全に崩れた
というのが今回の最大のインパクトです。

2. 対象となる医薬品(ここを誤ると事故ります)
以下の3条件すべてに該当する医薬品が対象です。
薬効分類:たん白アミノ酸製剤
効能効果:手術後患者の栄養保持
用法:経口投与を含む
主な対象薬(2026年3月時点)
エンシュア・H
エンシュア・リキッド
イノラス配合経腸用液
エネーボ配合経腸用液
ツインラインNF配合経腸用液
ラコールNF配合経腸用液
👉 ポイント
「経口で飲むタイプの栄養剤」はほぼ該当すると考えてOKです。

3. 【最重要】保険算定できる“3つの例外条件”
原則NGですが、以下に該当すれば算定可能です。

① 手術後の患者
必須記載:
👉「手術後である旨」
② 経管栄養の患者
必須記載:
👉「経管栄養である旨」

③ 医師が必要と判断した場合(実務の主戦場)
以下のケース:
食事摂取が困難
栄養状態の維持が困難
その他医学的必要性あり
👉 必須:
「具体的な理由の記載」

4. 【ここで差がつく】レセプト・処方箋の記載ルール
今回の改定は、
👉 「理由を書けばOK」ではなく
👉「理由を書かないと全滅」
というルールです。
必須要件(両方必要)
処方箋への記載
レセプトへの記載

NG例(予想を含む。疑義解釈がでるのではないかと。)
「栄養補給のため」
「食欲低下」だけ
👉 抽象的な理由はほぼアウト(どこまで査定されるかはまだ未知数)

※令和8年6月2日追記※
予想どおり、近隣の診療所から理由の記載がない処方箋を受け付けました。
患者さんは10年前に下顎の手術歴があり、歯もなく、柔らかい食事しか摂取できないとのことでした。私は記載理由として「嚥下機能障害」などが考えられるのではないかと提案しましたが、返答は「栄養不良だから」というものでした。
今回求められているのは、単に「栄養不良」という結果ではなく、「なぜ栄養不良となり、なぜ経腸栄養剤が必要なのか」という背景や病態の記載だと理解しています。
制度の趣旨を共有し、適切に伝えていくことの難しさを改めて感じた事例でした。
5. 【実務チェックリスト】薬局・医療機関別
■ 医療機関(処方医)
□ 手術後 or 経管かを明記
□ それ以外は“具体的理由”を書く
□ レセプトにも同内容を反映
👉 書き漏れ=即査定リスク

■ 薬局(薬剤師)
□ 理由記載の有無を確認
□ 抽象表現なら疑義照会
□ 記載なしは原則そのまま通さない
👉 「確認しない=算定不可の巻き添え」

6. この改定の本質(なぜ厳格化されたのか)
今回の見直しは単なるルール変更ではありません。
背景にあるのは:
医療費適正化
栄養剤の“サプリ的使用”の是正
医学的妥当性の担保
つまり、
👉 「栄養剤=医薬品として扱う」への回帰
です。

7. まとめ(30秒で復習)
外来の栄養剤は原則すべて算定不可
例外は3つだけ
手術後
経管栄養
記載がなければ100%査定対象
👉 今回の改定は
「処方の中身」ではなく「記載の質」で差がつく時代への転換です。

出典:個別改定項目について
令和8年度診療報酬改定の概要 【調剤】 厚生労働省保険局医療課
医科診療報酬点数表
医科診療報酬点数表に関する事項

今回の改定は、現場感としてかなり“事故りやすい領域”です。
特に薬局側は
👉 「気づかず通してしまう」リスクが高い
ので、チェックフローの見直しは必須です。
また今回の件はQ&Aが出次第続報を出せるよう準備して参ります。
今後も、**「制度の本質×現場で使える形」**で解説していきます。
フォローしておくと、改定対応の抜け漏れを防げます。
【エンシュア・イノラス保険適用対応】
「レセプトに何を書けばいい?」で悩む方向けに、日本栄養治療学会の指針をわかりやすく整理しました。
