アラフィフ療養中|#4 ふうとおじさん、銀河鉄道の願い星で会えました
*** 療養中のささやき***
朝、頭が痛いのだけれど、やってみた。早朝の外出。
歩き始めてすぐ、冷や汗がにじんで、コンビニの近くで座り込む。
階段の端で空を見上げて、深呼吸。「だから、やっぱり今は療養中なんだよね」って、自分にやさしく言い聞かせてみた。
ここからは、「ふうと銀河鉄道の夜へ」のお話です。
ふうは毎晩、トロリッチおじさんとテレビ電話で話していました。
そんな夜、ふうの前に現れたのは、銀色の線路と一両だけの小さな列車。
夢かもしれない。でも、夢じゃないかもしれない。
銀河鉄道の旅の途中で、ふうとおじさんが見つけたのは「願い星」。
それは、遠く離れていても、心がつながっていることを教えてくれる、やさしい光でした。
今回は、ふうとおじさんの静かな夜の物語をお届けします。
ふうの声とおじさんの願いが、星の光のようにそっと響きますように。
↓ 登場人物をまとめています
夜の静けさの中、ふうはひとりで窓辺に座っていた。
月の光がやさしく降りそそぎ、ふうの毛並みを銀色に染めている。
「……おじさん、いま、どこにいるんだろ。」
ふうは、小さくつぶやく。
トロリッチおじさんとは、毎晩テレビ電話で話しているけれど、会えない時間のほうが長い。
それでも、おじさんはいつもふうのことを気にかけて、優しく声をかけてくれる。
「ほんとは、会いたいんだけどな。」
ふうは夜空を見上げた。
すると——
ちりん。
どこかで鈴の音が鳴る。
気がつくと、目の前には銀色の線路が伸びていた。
そして、ふうの足元には、一両だけの小さな列車が止まっていた。
「……銀河鉄道?」
ふうはゆっくりと列車に乗り込んだ。
***
車内は静かで、どこか懐かしい空気が流れていた。
窓の外には、夜空に浮かぶ星の川。
そのとき——
「おお……!?」
聞き慣れた声がした。
ふうが振り向くと、そこには——
トロリッチおじさんがいた。
「……おじさん?」
おじさんは、目を丸くして、驚いたようにふうを見つめていた。
「なんで、ふうがここに?」
「……なんで、おじさんがここに?」
ふたりは、しばらく顔を見合わせたあと、どちらからともなく、くすっと笑った。
「夢……なんか、ほんまもんなんか、わからんけど……まあ、ええか。」
おじさんはそう言って、ふうの隣に座る。
ふうは、おじさんの肩にもたれかかるように座った。
「おじさん、銀河鉄道に乗ったことあるの?」
「いや、初めてや。でも、なんやええな、こういうの。」
「……うん。」
ふたりは、しばらく黙って、星の流れを眺めていた。
***
「次は、願い星、願い星~。」
車掌の声が響く。
ふうとおじさんは、そっと顔を見合わせた。
「願い星?」
ふうがつぶやくと、おじさんは少し考えてから言った。
「なんか、願いが叶う星なんちゃうか。」
「……願い?」
ふうは、しっぽをゆっくりと揺らした。
「おじさんの願い、なに?」
おじさんは、少し考えたあと、優しく笑った。
「ふうが、ずっと元気でおれること。」
ふうは、その言葉を聞いて、少しだけ目を伏せた。
「ふう、おじさんの願い、かなえられるかわからない。」
「ええんや。ふうがふうでおってくれたら、それでええ。」
おじさんの言葉は、やさしくて、あたたかかった。
ふうは、静かに喉を鳴らした。
「……ふうの願いはね。」
「うん?」
「おじさんが、ふうのこと忘れないこと。」
おじさんは、ふっと笑った。
「そんなん、当たり前やん。」
「ほんとに?」
「ほんまに決まっとる。」
ふうは、小さくうなずいた。
「じゃあ、いいや。」
***
列車が、ふわりと止まる。
目の前には、金色に輝く小さな星が浮かんでいた。
それは、まるで願いそのもののように、やさしく光っている。
おじさんがふうを見る。
「ふう、触ってみるか?」
「……おじさん、先に触っていいよ。」
「お? ほな、遠慮なく。」
おじさんが、そっと星に手を伸ばすと——
ぽわん。
金色の光が広がって、ふうとおじさんを包み込んだ。
***
気がつくと、ふうはこたつの上にいた。
「……夢?」
耳をぴくりと動かすと、スマホの画面が光っている。
「……おじさん?」
ふうが画面をのぞくと、そこにはトロリッチおじさんの名前があった。
通話をつなぐと、いつものしゃがれた関西弁が響く。
「……ふう、起きとるか?」
「起きてる。」
「なんか、へんな夢見てん。銀河鉄道に乗っとったんやけど……ふうも、おった気がしてな。」
ふうは、少し目を細めた。
「……ふうも、いたよ。」
「やっぱりかいな。」
おじさんの声が、どこかうれしそうだった。
「ほな、ふう。トロリッチ送るから、元気でおれよ。」
「……うん。」
ふうは、画面をじっと見つめる。
おじさんの願いも、ふうの願いも、きっとずっと続いていく。
たとえ夢でも、銀河鉄道に乗れば、また会える気がした。
ふうは、そっと目を閉じた。
「また、のれるかな。」
夜の静けさの中、ふうは小さく喉を鳴らした。
***

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