災害発生後、安心して過ごすために〜家族と備える避難所生活のポイント
甚大な自然災害が発生し、もしも避難所生活が必要になったとき、災害時要援護者の方が安心して過ごせるかどうかは大きな心配事です。感染症やプライバシーの課題、コミュニティの崩壊、孤立、そして災害関連死など、避難所特有のリスクもあります。今回は、災害支援に参加したことがあるケアマネジャー(災害支援CM)のひとりとして、避難所での生活を安心・安全なものにするための準備や工夫を、少しでもお伝えできればと思います。
1. 感染症対策:清潔な環境づくりを日頃から意識する
避難所は多くの人が密集するため、風邪やインフルエンザ、ノロウイルス、新型コロナウイルスなどの感染リスクが高まります。
事前の準備ポイント
消毒グッズ:アルコール消毒液・ウェットティッシュ・使い捨て手袋
個人用マスク:洗えるもの+使い捨てマスクを複数用意
避難所での行動確認:感染症対策のルールを家族で共有
災害支援CMの視点:
高齢者は免疫力が低下しているため、避難所のトイレや共有スペースの衛生状態を定期的に確認し、必要ならスタッフに相談することも大切です。
2. プライバシーの確保:心身の健康を守るために
避難所の課題のひとつが「プライバシーの欠如」です。大勢の方々が一緒に生活する中で、特に高齢者や女性にとって、心身に負担を感じる場面が少ないと思われます。
対策のポイント
簡易間仕切りやカーテン:ホームセンターで手に入る折りたたみ式パーテーションを用意
着替えスペースの確認:男女別の更衣室やトイレの位置を事前に確認
女性専用スペースの活用:避難所には女性専用の物干し場や授乳室が設置される場合もあります
災害支援CMの視点:
避難所のレイアウトに不安があれば、自治体が作成する「避難所運営マニュアル」などを事前に確認し、家族で話し合っておくことをお勧めします。
3. コミュニティの崩壊と孤立を防ぐために
災害時には、慣れ親しんだ地域コミュニティが機能しにくくなることがあります。特に高齢者は「知っている人がいない」「話し相手がいない」と感じ、心身の健康に影響が出ることもあります。
事前の備え
地域の防災イベントに参加:顔見知りが増えることで、避難所でも安心感が得られる
近隣住民との連携:連絡先を交換し、避難時に声を掛け合える関係を築く
「見守り役」をつくる:家族が安心できる人に「避難時、声をかけてほしい」とお願いしておく
災害支援CMの視点:
避難所内では積極的にスタッフや周囲に声をかけるように心掛けて、「孤立しない、させない環境づくり」を意識することが重要です。
4. 災害関連死を防ぐために:避難所での健康管理
災害関連死は、直接的な災害被害ではなく、避難生活での心身の健康悪化が原因で発生します。特に高齢者は、血栓症(エコノミークラス症候群)や持病の悪化に注意が必要です。
健康管理のポイント
こまめな水分補給:高齢者は喉の渇きを感じにくいため、定期的に声掛けを
軽いストレッチ:足を動かす体操で血流を促進
服薬管理:持病の薬は1週間分以上を持参し、薬の名前や用量をメモしておく
災害支援CMの視点:
避難所で医療支援が必要な場合、早めに福祉避難所への移動を相談する検討を行うことが肝要です。
5. 男女共同参画の視点から考える:家族みんなで防災を
内閣府男女共同参画局によると、避難所での生活には男女双方の視点を取り入れた環境づくりが必要 だとされています【内閣府男女共同参画局,2024】。特に、ご高齢の女性が「介護役」や「世話役」を担うことで、心身に過度な負担がかかるケースも少なくないようです。
日頃の話し合いのポイント
役割分担の確認:介護や支援を家族全員でシェアする
男性家族の防災参加:防災訓練には性別問わず参加する
女性用アメニティの確認:生理用品・防犯ブザー・授乳室の有無などを事前確認
災害支援CMの視点:
「防災は家族全員で取り組むもの」という意識を持つことが、避難所生活の負担軽減につながると思います。
参考:内閣府男女共同参画局「防災・復興の男女共同参画」
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/index.html
まとめ:避難所生活の安心は、事前の備えから
避難所での高齢の家族の安全と安心を守るために、次のポイントを押さえておきましょう。
感染症対策:マスクや消毒グッズの準備と衛生習慣
プライバシーの確保:簡易間仕切りや女性専用スペースの確認
コミュニティの維持:地域のつながりを平時からつくる
健康管理:ストレッチ・服薬・水分補給を忘れずに
男女共同参画の視点:家族みんなで防災計画を共有
高齢の家族が安心して避難生活を送るためには、家族での備えと話し合いが大切です。私自身、幾たびか災害支援に参加し、支援を必要とする方々の不安の声を聴く機会がありました。防災の取り組みは、決して難しいことではありません。家族で「まずは防災について話してみる」ことから始めてみることがとても大事だと思います。
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