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東大CODはどんな人材を求めているのか——東大卒教育専門家が本音で語る

著者:小山輝明(東京大学卒 / アークカレッジ運営)


※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに執筆しています。詳細は最新情報をご確認ください。


2027年9月、東京大学に約70年ぶりとなる新学部「UTokyo College of Design(CoD)」が開設されます。全授業英語・5年一貫・定員100名・約半数を留学生という、これまでの東大にはなかった構造を持つこの学部に、受験生・保護者の注目が集まっています。

では結局、どんな人を欲しているのか?

アドミッションポリシーや募集要項、カリキュラム設計、学部長メッセージを徹底的に読み込んだ上で、アークカレッジなりの結論をお話しさせていただきます。


Q1. CoDが言う「デザイン」って、グラフィックとかプロダクトデザインのこと?


全く違います。
学部長予定者のマイルス・ペニントン教授は、Dean’s Messageの中でこう言っています。

「UTokyo College of Designでは、プロダクトデザインなどの狭い意味でのデザイナーを育成するのではありません。デザインとは何か、そして誰のためにあるのかを問い直し、その概念を広げていきます。」

では、CoDが言うデザインとは何か。我々はこう理解しています。

人の行動が変わるためには、その人が生きている「社会の仕組み」そのものが変わらなければならない。制度・テクノロジー・都市・コミュニティ・教育——これらは全て人間によってデザインされており、そのデザインが人々の選択肢や行動を規定している。

「誰のためのデザイン」という問いは、デザインの古典として知られるドン・ノーマンの名著から来ていますが、あの本が書かれたのは数十年前です。当時は「機械やシステムを人間に合わせろ」という話でした。

現代はあまりに複雑になり、もうその数歩先に来ています。

社会システムがどうあるべきかを問うためには、
そもそも「どんな問いを立てるべきか」を設計できなければならない。

CoDが言うデザインは:

  • 物・サービスのデザイン(ノーマンの時代)

  • 社会システムのデザイン(制度・構造・仕組みを作る)

  • 問い自体のデザイン(何を問うべきかを問う)

この三層構造の、一番奥まで届く人材を求めています。


Q2. アドミッションポリシーに書いてある5つの資質、具体的にはどういう意味?

公式には次の5つが挙げられています。

  1. 知力と学習能力

  2. 優れたコミュニケーション能力及び英語力

  3. 論理的思考力に加えて創造的思考力

  4. 責任感・社会正義感・包摂性

  5. 自主性に加えて協調性

そこまで奇を衒ったことが書いていないのが難しいところです。

これらは「こういう人が欲しい」ではなく、
「このカリキュラムを生き抜くための最低条件」として読むべきだと考えています。

カリキュラムと照合するとそれがよく分かります。

①知力と学習能力
——1年次のInterdisciplinary Foundations(IF)では、東大が持つ9つの学問分野すべてを必修で学びます。理系・文系の枠をまたいで、1年間で複数の専門家の思考様式を習得する必要がある。これは相当な「学ぶ力」がなければ機能しません。

②コミュニケーション能力・英語力
——全授業が英語で行われ、寮も留学生と混在。日常的に異なるバックグラウンドを持つ人間と協働するには、英語力だけでなく「異なる専門家の言語で対話できる力」が不可欠です。

③論理的+創造的思考力
——2年次以降のChange Maker Design Projectsでは「正解のない問題」に取り組みます。正解がないからこそ、論理で問いを立て、創造で答えを試す両方が必要です。

④責任感・社会正義感・包摂性
——ここが最も重要だと我々は思っています。テーマが気候変動・ガバナンス・公正・コミュニティと、社会課題を中心に設計されている。デザインの力は「使い方次第で害にもなる」という認識を持ち、倫理的に考えられる人でなければ、CoDの学びは成立しません。

⑤自主性+協調性
——4年次の長期インターン、5年次のCapstoneは、一人では絶対に完結しないプロジェクトです。自分で動きながら、他者と協働できる人間でないと機能しないというわけです。


Q3. エッセイとビデオ課題では何が問われるの?

正直なところ、正式な課題内容は現時点では公開されていません。

ただ、我々なりの仮説を語ります。

エッセイで問われるであろうこと:

  • あなたが取り組みたい社会課題は何か

  • それをどの学問的視点から捉えているか

  • 「デザイン」というアプローチで何をしたいか

  • その問いに至った自分自身の経験・文脈

注目すべきは、8つのDesign Tracksのひとつに「Critical Design(批判的設計)」があることです。
これは「社会やシステム、科学技術を批判的に捉え、前提を問い直し、人々に新たな視点を提供するデザイン」と説明されています。

エッセイは「正解を提案する」より、「問いを深く立てられているか」を見ている可能性が高い。答えよりも、問いの質が評価される試験だと思います。

ビデオで問われるであろうこと:
8つのDesign Tracksには「Storytelling(物語としてのデザイン)」も含まれています。CoDが重視するのは、複雑なアイデアを他者に伝えられる力です。

  • 英語でリアルタイムに思考を言語化できるか

  • 複雑なことを分かりやすく伝えられるか

  • 「この人と一緒にプロジェクトをしたい」と思わせられるか

ビデオは知識の確認より、人物としての印象と思考のプロセスを見る場になると予想しています。


Q4. 結局、どんな人がCoDに向いているの?

一言で言うなら:

「特定の答えを持っている人」ではなく、「問い続けることを恐れない人」

CoDの公式サイトには「See the World Through Design. Then Change It.(デザインを通して世界を見つめ、そして変える)」とあります。

「変える」前に「見つめる」が来ている点が重要です。

見つめる力——つまり、複雑な現実を複数の視点から観察し、「なぜこうなっているのか」を問い続ける力。これがCoDの求める人材の核心だと思います。

さらに言えば、「当事者意識をもって世界の課題に取り組む覚悟があるか」が最終的に問われます。アドミッション担当者のコメントには「世界の課題に当事者意識をもって取り組む覚悟があるかが問われます」と明記されています。

秀才であることは必要条件に過ぎない。

その上で、何かに本気で向き合ってきた人間かどうか——そこがCoDが選ぶ基準になると考えています。


まとめ

CoDは「良い成績を取れる優等生」を求めていない。「まだ存在しない未来を想像し、形にしたい」という意志を持つ人間を求めています。受験生の皆さんには、そこを軸に自分の経験と言葉を整理してほしいと思います。


アーク・カレッジ運営 / 東京大学卒 小山輝明執筆

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