ただ今展示中①重要文化財《埴輪 盛装女子》古墳時代 6世紀 東京国立博物館

この記事では、現在、東京国立博物館で観ることができる、重要文化財の貴重な《埴輪 盛装女子》についてご紹介します。

この像は、粘土を素焼きして作った埴輪で、女性が立派な衣装を身に着けて、正面を向いた姿を表現しています。
高さは126.5㎝と、大きめのサイズで作られています。

着飾った女性の姿を全身像で表すこのような埴輪は、比較的珍しい作例であると指摘されます。
さて、この像は足の部分が丸い筒の形に造形されており、しっかりと安定した状態で地面の上に立てるように作られています。

この足の部分により、他の埴輪と同様に、古墳の上に並べるなどして用いられていたと考えられます。

(長野県千曲市・森将軍塚古墳)
その後、群馬県の伊勢崎市の豊城町横塚から出土しています。

まず《埴輪 盛装女子》の頭部―特に髪型から顔のパーツ、アクセサリーの表現―に注目します。

この女性の額の上の高さには、帯状の鉢巻きが締められています。
その鉢巻きの上では、髪の毛は「古墳島田」と称される髷を結い上げています。

後ろから見ると、髷の部分は比較的平たく作られています。
一方で後ろ側には穴が開いており、中が中空となっているらしいことが分かります。

続いて顔の表現を確認します。

すると、盛り上がる眉の下の左右の目と、その下の口とは、水平方向に伸びる穴をあけて表しています。
目の方が広く穴を穿ち、目頭と目じりはすぼまるように表現されています。
鼻の下部を見ると、ちゃんと鼻の穴も開いています。

この女性はジュエリーの類も身に着けています。
宝飾品は、耳の飾りと首の飾りに用いられています。
その身に帯びられた装身具は、丸い粘土の造形を並べて表現されています。
これは、玉を連ねた製品を再現的に形作った結果であるようです。

加えて耳には、太くて大きなサイズの、輪っかの形の飾りもついています。

上半身には、裾が広がる上着を身に着けています。
胸の箇所には乳房を表すふくらみが左右に表されていて、これにより女性がかたどられていることが分かります。

この上着には、腕を広く覆う、筒形に伸びる長袖がついています。
その袖に通した短い腕と、腕の先の小さな手が、可愛らしさを醸しています。

この上着の表面をよく見ると、文様が刻まれています。
この文様は、弧を描く鱗状の形が繰り返されて構成されています。

下半身の衣装は、スカートの形を呈しています。
これは「裳」という、腰から下の下半身を一周して覆うタイプの、古代の日本において女子が着用した衣装です。

この裳には、垂直方向に長く伸びる、短冊状の文様が放射状に刻まれています。

また、今では目立たなくなってしまっていますが、調査結果の報告によるとこの埴輪には彩色が施されており、赤や白が用いられていました👇
この像の装いも、高松塚古墳の壁画の女子たちと同様に、目を引く色彩で古代のおしゃれを再現していたのかもしれません。

右:《女子群像》高松塚古墳壁画西壁、藤原京時代(694-710年)
この埴輪は、立派な衣装を身にまとって、静かに立つ姿を示しています。
そのため、重要な人物が葬られた古墳の上で執り行われる葬送の儀礼に参加する、それなりの身分の女性を表しているのかもしれません。

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