見出し画像

ただ今展示中⑪《埴輪 頭巾を被る男子》古墳時代・6世紀、東京国立博物館

この記事では、現在、東京国立博物館でることができる《埴輪 頭巾を被る男子》についてご紹介します👇

《埴輪 頭巾を被る男子》埼玉県桶川市川田谷出土
古墳時代・6世紀、土製、東京国立博物館

本作は、古墳時代の6世紀に制作され、埼玉県の桶川市川田谷おけがわしかわたやの地で出土した人物埴輪です👇

まず、比較的大きく作られ、作中でも最上部に位置して存在感を強く示す、頭部の表現内容から確認したいと思います👇

この埴輪は、頭にはシンプルな造形の頭巾を被っています👇
この頭巾は、正面から見ると、下辺が狭くて、これに対し、上辺が広がる、台形のかたちの四角形をかたどっています。
頭巾の表面には、アクセサリーや文様は表されておらず、簡素な仕上がりとなっています。

続いて、頭巾の下に示されている顔にまなざしを向けます👇

すると、まず額の下では、眉毛の表現が認められます👇
この眉は、細長い粘土紐を、水平の方向に渡すように取り付けて、立体的に描写されています。

同じく三次元的に存在感を示す顔のパーツとして、鼻を挙げることができます👇
この埴輪の鼻は、わかりやすく三角錐のかたちに造形されています。

この鼻の上下に、目と口が描写されています👇
目と口の穴は、いずれも水平方向に左右に伸びるように開けられています。
これらの目と口は、穴をうがつことによって表されています。
この表現は、眉や鼻の立体的描写との間に明確な造形的コントラストを形成しています。

それから、顔の左右では頬が赤い色に彩られています👇
これは実際に当時の人々が顔の肌に施していた、入れ墨あるいは化粧を表現する彩色箇所であるとされます。

また、顔の左右には太い棒状にまとめた、髪の束が下がっています👇
これは「下げ美豆良」と称される、古墳時代の特徴的なヘアスタイルです。
耳の近くで束ねてまとめる「上げ美豆良」が、農夫をかたどる埴輪にも確認され、庶民に好まれたのに対し、この埴輪が示すような「下げ美豆良」は、社会階層内でより上位の人物がセットしたヘアスタイルであるとされます。

それから頭部から視線を下ろし、上半身に注目します👇
すると、まず上部では、左右の肩が丸く弧を描く輪郭を示しています。
一方で、この肩より先の腕と手の部分は、失われて残っていません。
腕のような飛び出た部分は、粘土製の埴輪においては損なわれやすい箇所となっています。

さて、上半身の部分の表面の造形に視線を向けます👇
すると、衣装やアクセサリーのような細部は省略されており、表されていないことがわかります。

また、下半身には足が表されず、胴体部分は円筒をかたどる台座につながるように表現されています👇
このように脚部をかたどられていない埴輪は、身分の低い人物をモデルとしているとされます。

一方で腰の周辺では、衣装や持ち物の描写はどちらかといえば積極的に行われています👇

まず、左の腰には、つばの存在を強調した刀が帯びられています👇
それから、腰には幅の広い帯を締めており、長く垂れ下がる端の部分もしっかりと造形されています。

このように武器を携帯していながらも、帯以外の衣装の表現は省略傾向を示し、脚も表されないこの埴輪は、古墳に葬られた身分の高い人物に使える従者を表していると指摘されています👇
そしておそらくは彼が仕える君主の像と、他の従者像と共にグループを形成する、群像のうちの一体として古墳に設置されていたものと想像されます。

《埴輪 頭巾を被る男子》埼玉県桶川市川田谷出土
古墳時代・6世紀、土製、東京国立博物館

👇こちらの「はにわ展」関連動画もご視聴いただけましたら幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!

毎日投稿!美術史チャンネル―文章と動画で作品解説 いただいたチップは記事作成のための資料の代金に充てたいと思います