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質点&剛体系の振動問題 -2-


まえがき

微分積分をはじめとする高等数学を踏まえて、様々な物理学に対する見方をテーマを決めて、連載形式で発信します。

今回は、前回の話題「質点と剛体の運動学」の続きで「振動問題」をテーマに取り上げます。

振動を数学的に考えると「物体が同じ経路を周期的に行き来する事象を三角関数や指数関数を組み合わせて表現すること」に行き着きます。

力学は原則的に「ニュートンの運動法則」に従うことを踏まえて、物体運動を数学的に記述する。その流れは同じです。


  1. 1質点系の単振動問題

  2. 減衰を考慮した1質点系振動 →【今回】

  3. 外力を考慮した1質点系振動

  4. 単一剛体系の振動問題


♦️前回記事(再掲)


前回は1質点系で最も簡単な単振動のバネマスモデルを扱いました。この流れが振動問題を考える基本となります。今回は追加で粘性(減衰)が存在する場合の1質点系の振動問題を考えます。

減衰振動の運動方程式

現実にある物体の振動は「単振動」とは違い、空気抵抗や摩擦などが作用するため、揺れは次第に小さくなります。これを「減衰振動」と言います。

例えば、ブランコを一度押してもいつかは止まります。これは、空気抵抗や軸の摩擦で減衰が生じるためです。今回は、この減衰をモデルに組み込んでみます。

今回取り扱うモデルは、前回と同じく1質点系のバネマスモデルです。物理定数として、新たに減衰係数cを導入します。

1次元・1質点系のバネマスモデル(減衰振動問題)

質点の質量mとバネ定数kを用いて、変位x(時間tの関数)による運動方程式を再掲します。変数xの上部にある記号(ドット)は時刻tによる微分を意味します。

$${m\frac{d^2x}{dt^2}=-kx}$$ → $${m\ddot{x}=-kx}$$

質点の速度$${v=\dot{x}}$$に比例した粘性抵抗を考えます。これが、減衰の定式化に相当します。

$${F=-c\dot{x}}$$

運動方程式は次の通りに導かれます。

$${m\ddot{x}+c\dot{x}+kx=0}$$

以上が1質点系(減衰振動)のバネマスモデルの運動方程式です。この「2階定数係数斉次常微分方程式」を解くことで、減衰振動を解明します。

減衰振動の数学的解法

微分方程式の一般解を指数関数$${x=e^{qt}}$$で仮定します。$${q}$$は定数です。

$${\dot{x}=qe^{qt}}$$ , $${\ddot{x}=q^2e^{qt}}$$

これらを微分方程式に代入すると、次の「特性方程式」が得られます。特性方程式の解は中学校で学習する2次方程式の解の公式に則ります。

$${mq^2+cq+k=0}$$ → $${q=\frac{-c\pm\sqrt{c^2-4mk}}{2m}}$$

ここで、定数$${q}$$は実数または複素数で最大2個現れます。微分方程式の一般解は、先述した仮定版の指数関数を線形結合することで得られます。

$${x=Ae^{q_1t}+Be^{q_2t}}$$

AとBは前回と同様に積分定数です。

上記の通り仮定した式を2階定数係数斉次微分方程式に代入すると、ネイピア数eを底とする指数関数の微分(導関数)は係数部分が変わるだけで関数形は変わらないため、結果的に定数qによる2次方程式(特性方程式)に着地します。

2階定数係数斉次微分方程式と特性方程式

前回と同様に、質点の初期配置を有限の値で規定し、初速度はゼロであるとします。

初期条件:$${t=0}$$で$${x=R}$$ , $${v=\dot{x}=0}$$

$${q_1>q_2}$$と仮定すると、特殊解は次の通りに導かれます。

$${x=-\frac{q_2{R}}{q_1-q_2}e^{q_1t}+\frac{q_1{R}}{q_1-q_2}e^{q_2t}}$$

なお、2次方程式の解の公式から、下記も同様に導かれます。

$${q_1-q_2=\frac{\sqrt{c^2-4mk}}{m}}$$

以上が特殊解の導出過程になります。次は特性方程式を交えることで、減衰振動の形態を俯瞰的に捉えてみます。

減衰振動の大局的分類

減衰振動の形態は、特性方程式の解の性質で決まります。高校数学の復習として、2次方程式の性質を決める判別式$${\Delta=c^2-4mk}$$を導入します。

  • $${\Delta<0}$$:定数$${q}$$は2個の複素数であり、振動時の振幅は指数関数的に減少する(弱減衰)

  • $${\Delta=0}$$:定数$${q}$$は1個の実数であり、質点は振動せず、急速に平衡点に到達する(臨海減衰)

  • $${\Delta>0}$$:定数$${q}$$は2個の実数であり、質点は振動せず、指数関数的に収束する(過減衰)

ここでは、判別式を踏まえて整理するために、無次元量である「減衰比」を導入します。

$${\zeta=\frac{c}{2\sqrt{mk}}}$$

$${\zeta=1}$$は臨海減衰を表します。この値を境に1を下回れば弱減衰、上回れば過減衰となります。

前回と同様に、角振動数$${\omega=\sqrt{k/m}}$$を導入することで、特殊解を見やすくします。

$${q_1-q_2=2\omega\sqrt{\zeta^2-1}}$$

すなわち、特殊解は次の通りになります。

$${x=\frac{R}{2\omega\sqrt{\zeta^2-1}}\Big\lbrace{q_1e^{q_2t}-q_2e^{q_1t}}\Big\rbrace}$$

減衰比は特殊解に対するパラメータです。弱減衰・臨海減衰・過減衰のそれぞれについて、変位xの時刻歴としての概略は下記の通りです。

減衰比(パラメータ)の数値に基づく減衰振動の概略図

最後に、弱減衰の性質について深掘りします。特性方程式の解について、虚数単位$${i}$$を含めて次のように表されます。

$${q=-\zeta\omega_0\pm{i}\omega_d}$$

ここで、$${\omega_0}$$は非減衰振動に対する角振動数(固有角振動数)であり、$${\omega_d}$$は減衰振動に対する角振動数です。

$${\omega_0=\sqrt{k/m}}$$ , $${\omega_d=\omega_0\sqrt{1-\zeta^2}}$$

複素数の性質を踏まえて、一般解に持ち込むと次の通りになります。

$${x=e^{-\zeta\omega_o{t}}\big\lbrace{A\textrm{cos}(\omega_d{t})+B\textrm{sin}(\omega_d{t})}\big\rbrace}$$

AとBは積分定数です。先述の初期条件を踏まえて積分定数を求めて、特殊解を導出します。

$${x=Re^{-\zeta\omega_o{t}}\big\lbrace{\textrm{cos}(\omega_d{t})+(\omega_0/\omega_d)\zeta\textrm{sin}(\omega_d{t})}\big\rbrace}$$

以上が減衰振動に関する解析解です。なお、2階定数係数斉次微分方程式の解法は複雑であるため、別途解説します。

おわりに

今回のテーマは質点と剛体の運動学の話題から派生して、振動問題について考えました。

今回は主に減衰振動を扱いました。次回は更にステップアップして、強制振動を考慮した1質点系の振動問題ついて考えます。


  1. 1質点系の単振動問題

  2. 減衰を考慮した1質点系振動

  3. 外力を考慮した1質点系振動 →【次回】

  4. 単一剛体系の振動問題


運動方程式や微分積分の背景知識については、前回の連載「質点と剛体の運動学」で説明していますので、合せて参照頂ければと思います。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事が、何か皆さんの未来を変えるキッカケになれたら幸いです。
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