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構造力学と力のつり合いの理解 -3-

まえがき

微分積分をはじめとする高等数学を踏まえて、様々な物理学に対する見方をテーマを決めて、連載形式で発信します。

今回は高校物理でお馴染みの「力のつり合い」から、構造力学の問題をテーマに取り上げます。力のつり合いを理解することで、物体(構造物)に作用する力の全容を明らかにします。


  1. 力のつり合いの定義と扱い方

  2. 構造物と自由物体図の実用例(1)

  3. 構造物と自由物体図の実用例(2)→【今回】


♦️前回記事(再掲)


前回はトラス構造の例題を取り上げ、自由物体図を書く手順について確認しました。引き続き、今回も別の例題を取り上げて、自由物体図を作成するまでの流れを確認します。

内力と外力の考え方

前回に取り上げた「トラス構造」は、部材方向に限定された「軸力」に対して「引張」「圧縮」の分類に留まりました。今回は一般論として、外力を受ける部材が内部に伝わるまでの過程も踏まえて見ていきます。

物体について、運動と変形の両方を考慮する物理モデルを「連続体」と言います。物体に何かしらの力が作用すると、物体は形状変化を指す「変形」を引き起こします。

物体(連続体)が変形に関する過程を定量的に扱う学問を「材料力学」と言います。材料力学は「軽くて丈夫な構造物を設計すること」を最たる目的としており、構造設計においてコストの制約範囲で構造物の耐久性を担保することを目指します。

材料力学に関する概要説明

高校物理では、一般的に力は「外力」を指す場面が多く、物体の内部に発生する「内力」という表現は初見と思います。これは、連続体を対象とする材料力学では、物体に外力が作用すると内部では外力に抵抗する形で内力が発生し、物体は変形を引き起こすという考え方によります。

高校物理と材料力学の考え方に関する違い

物体に外力が作用しても、何も変化が無いように見えます。これは、物体の変形過程を通じて、外力と内力は最終的につり合うためです。物体に内力が存在しないならば、物体は抵抗無しに自由に変形することになります。

構造力学においては、主に扱う内力は「引張力」「圧縮力」です。この他にも内力という意味で分類はあるのですが、ここでは割愛します。

棒状物体に作用する荷重

今回は主に垂直力(引張・圧縮)を受ける棒状物体の問題を取り上げ、前回と同じく自由物体図の作図の流れを確認します。

片側が壁面と連結した棒状物体の途中の2点に外力が作用します。前回と同様に、壁面から受ける反力と、部材の部分要素(AB・BC・CD)の負荷状態を考えます。

棒状部材に複数の外力が作用する問題(1次元)

自由物体図の作成手順は前回に示しましたが、主なポイントは「物体を切り離す」「力を書き出す」の2点でした。

今回の問題では壁面と部材の間を切り離して、壁面から受ける反力を仮定します。部材の端面Aでは仮定した反力の反作用を追記します。

棒状部材の問題の詳細化(部材の切り離し)

部材の方に注目して、力のつり合い式を立てることで、壁面から受ける反力が求めます。

$${-R_{AW}-P+2P=0}$$ → $${R_{AW}=P}$$

続けて、部材を3個の部分要素に切り分けて、各部で受ける負荷を確認します。まずは、試しにBC間の適当なところで切断し、その断面に伝わる内力を考えます。

部材の仮想的な切り離しの例(BC間)

端面に荷重が作用しているだけなので、BC間はどこを切断してもその断面に作用する荷重(断面力)は変わりません。力のつり合いから、断面に作用する力を求めます。

$${F_{SB}-R_{AW}-P=0}$$ → $${F_{SB}=2P}$$

つまり、BC間は両端に上記で示した引張荷重を受ける棒と等価な状態であると言えます。

この要領で、AB・BC・CD間の部材に掛かる荷重(断面力)をそれぞれ求めます。各境界間の適当な箇所で切断して自由物体図を書きます。複数の自由物体の間で、力のつり合い条件を満たすように内力が発生します。

複数の自由物体の力のつり合いを考える場合、分かる箇所(未知数の配置箇所が少ない箇所)から検討します。

棒状部材の問題の全容解説(手順説明)

荷重(断面力)を力のつり合いと作用・反作用の法則を利用して求めます。

  • $${F_{SA}-R_{AW}=0}$$ → $${F_{SA}=P}$$

  • $${F_{SB}-F_{SA}-P=0}$$ → $${F_{SB}=2P}$$

  • $${F_{SC}-F_{SB}-2P=0}$$ → $${F_{SC}=0}$$

材料力学では、上記のように「部材内部でどのように内力が伝わるか」を正確に把握することが大切です。この結果を踏まえて、次は各部分に働く荷重や変形を計算します。

おわりに

今回は、力のつり合いと自由物体図の全体的な流れについて、トラス構造のような剛体ではなく、連続体とした場合の流れを確認しました。

物体(構造物)は連続体として考えることは、設計の問題ではトラス構造と同程度に頻出になりますので、今回の話も重要度は高いと思います。


今回は材料力学に関する話題に触れました。概念的な詳細は「特別編」で別途掲載します。そちらもご覧ください。


構造物が受ける荷重の全体像を把握すること、構造内部の力学的な流れを把握することは、構造設計を扱う際の基本的な行程です。そういう意味で、今回はより現実的な問題に触れたテーマでもありました。

今回のテーマはこれで終わりです。このマガジンでは様々な物理的に問題を数学を交えて、伝えていきたいと考えています。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事が、何か皆さんの未来を変えるキッカケになれたら幸いです。
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