象牙からチタンに。医師のあくなき探究心が人類の新たな1歩を生み出した
まさかの象牙スタート!? 笑えて泣ける人工股関節ヒストリー
お待たせしました。(待ってない)
前回のnoteで、「次回は「人工股関節の歴史」をテーマにお届けします」と
お約束どおりのテーマで綴っていきたいと思います。
こんにちは。
人工股関節で新しい股人生(またじんせい)を歩み始めて3年の骨子です。
見た目は薄気味悪いミイラ。
でも、夜中1階にあるトイレに向かう階段でもしお化けが出たら・・・
リビングの角を曲がってもしミイラがいたら・・・
と怖くて朝までトイレに行くのを我慢してしまう、
そんなチキンな心臓とびくともしない人工骨で出来ています。。
人呼んで『震えるが勝ちのスケルトン』。
(呼ばれてない)
※「骨子って何者?」知りたい方はこちらを見てね☺️♪→私ってこんな骨です
人工股関節の歴史と聞いて、「いや、興味ないし!」って思った人。
ちょっと待ってよ、プレーバック!
これは「未来のあなたの話」かもしれないし、
何より今回は“人類の執念”が詰まった
テーマ。
いつもは暇つぶしにどうぞ、と言っている私ですが、今回は
耳の穴かっぽじいて聞いてほしいな。。
■ 哲学者もびっくり。股関節は考える関節である。
まずはじめに、、
股関節とは「足を動かす蝶番(ちょうつがい)」ではなく、
「あなたの人生を前に進めるヒンジ(hinge)」とうこと。
歩く。座る。立つ。
恋人を追いかける。
遅刻しそうになってバスに駆け込む。
そのすべてに関わるのが、股関節。
「そんなの当たり前じゃん」って?
いや、当たり前すぎて忘れてるのが、人間という生き物。
当たり前を失って初めて気づく──それが「股関節のありがたみ」。
■ 最初の人工股関節は“象牙”だった!?
さて、股関節に限らず、人間の部品はだんだんとすり減ってきます。
とくに年をとると、軟骨がすり減って股関節の場合は、
「変形性股関節症」に。
膝の軟骨がすり減ると、「変形性膝関節症」に。
まさに私も、臼蓋形成不全から変形性股関節症に。
痛い。
立てない。
歩けない。
「なんでこんなに痛いの?」
「なんで私が?」
なんで、なんでの日々でした。
でも、──ここに救世主が現れました。
その名も「人工股関節置換術」。
人工股関節の歴史をさかのぼると、
なんと19世紀後半にはもう「人工関節っぽいもの」が
考案されていました。
しかもその素材はまさかの象牙(アイボリー)。
ほかにも、ガラスやゴム、セルロイドなど、
今思うと「大丈夫かそれ?」な素材。
もちろん、今のように殺菌、抗菌技術や意識もなかったはず。
すぐに感染したり
すぐ壊れたりと、結果も散々だったはず。
きっと当時の手術はまさにSFホラー。
でも、それでも医師たちはあきらめませんでした!
(しかし、諦めない医師たちもすごいけど、
それらの素材を入れることを承諾した患者さんたちもすごい)
人間が「痛みから解放されたい」という願いは、
象牙よりも硬かったんだと思います。
■ 人工股関節を革命的に進化させた男
そんな中、1960年代に登場したのが、
イギリスの整形外科医サー・ジョン・チャーレー。
彼は人工関節の構造と素材を一から見直し、金属製のボールとポリエチレン製のカップを骨セメントで固定する方式を確立しました。
これが「チャーレー型人工股関節」。
現代の人工股関節の原型であり、
今も世界中で使われているスタンダードらしいです。
チャーレーの手術を受けた患者さんが
「痛みが消えた!」
「また歩けるようになった!」と喜ぶ姿を見て、
先生はこう言ったそうです。
「これは“技術”ではなく、“解放”だ」
さすがイギリス紳士、いいこと言います。
チャーレー先生、あなたのおかげで多くの人々が救われました。
■ 日本でも年間8万人が受けている!
さて、ここからは、現在の話をしたいと思います。
日本国内で毎年行われている人工股関節置換術の件数は、
約8万件にのぼると言われています。
毎日200人以上の方が「カチャッ」と新しい股関節で
新しい人生を再スタートしているわけです。
ちなみに患者さんの約8割は女性。
これは、女性の骨盤の構造や骨密度の問題で股関節に負担がかかりやすいからだと言われています。
■ 人類は「カチャッ」となる喜びを知る
現代の人工股関節はさらなる進化を遂げ、
素材はチタン、セラミック、超高分子ポリエチレンといったハイテク素材に。
手術の技術も向上し、「MIS(最小侵襲手術)」と呼ばれる方法では
筋肉をほとんど切らずにインプラントを装着できます。
その為、術後すぐに歩ける人も多く、以前は入院1ヶ月だったのが、
今では1週間で退院する人も。(私もサクッと一週間で退院しました。)
私も含めて股関節を人工にした骨友さん達はこう言います。
「人生が戻ってきた」
「また友達と旅行に行きたいと思います」
「若い頃より動けるかも」
──それはまるで、
壊れたピアノがもう一度音を奏でるような、
そんな奇跡。
■ “人工股関節の存在論”とは
哲学的に言えば、人工股関節は“自己”とは何かを問う存在じゃないかと
思っています。
もし、私の股関節がチタンだとして、いや、実際チタンなんですが、
──それは「私」なのか?
人工の部品を入れた私と、生身の私、どちらが“ホンモノ”?
ソクラテスもびっくりの疑問なのですが、
私は「人工股関節も、自分の人生の一部」と考えます。
それは単なる金属の部品ではなく、私自身。
お風呂に入るたびに太ももの傷口を見て、
「今この瞬間も、くるくると体内で動いてくれているんだな♪」と。
それまで痛みに耐えてきたひとつの勲章。
私は両足しているので、両足太ももに2つの勲章が残ってます。
■ 笑って歩こう。チタンでも、セラミックでも。
人工股関節を入れたある骨友さんの一人が
こう言いました。
「最初はショックだったけど、
このチタン股関節で私はもう一度“人生のランウェイ”を歩いてる」
カッコいい。
そして、人工であろうが、なかろうが、
自分の足で歩けるということが、どれだけ幸せなことか。。
私たちは誰もが、いつか「生身じゃない自分」と出会います。
その時に、それをどう受け入れ、どう笑って生きるか。
■ おわりに
この記事を読んで、「人工股関節ってすげー」「チャーレー先生すげー」と思ってくれたら嬉しいです。
「今はまだ関係ない」方、
私から見たら
「関係ないくらい健康で丈夫な足で歩いておられてすげー!」って思います。どうぞどうぞこのまま股関節が痛くならないことを応援してます!
チタンでも、セラミックでも、人生は美しい。
さて、今日は、コツコツ痛みのない足で梅シロップづくりでもしようかな。
最後まで読んでいただき本当に有り難うございます☺️
気に入ってもらえたら、
次回は人工股関節節置換術にもれなく付いてくる
「全身麻酔」についてご紹介しちゃいたいな。
世界初の全身麻酔を成功させたのは我らが誇る日本人。
その名は、華岡青州。
でも、痛くない世界を目指した男が、実験台にしたのが自分の実母と嫁だったという今じゃあ考えられないチャーレー先生も真っ青な医療ドラマを
ご紹介。

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名前も知らない、お会いしたこともない、どこの馬の骨とも分からない、ただ同じ空の下、今日というこの瞬間に生きているだけで応援していただいた「えにし」に感動します。いただいたチップは12月31 日にこのnoteで決算報告(大げさ)と活動費報告させていただく予定でございます