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「現代の神話 911の解読」 第二章

はじめに

・振り返り

 第一章では、9.11テロの不可解な点と、911という数字にまつわる象徴について述べました。ウォーミングアップ程度のDecodeでしたが、あなたが現実だと思い込んでいる世界が箱庭であると認識するには十分だったのではないでしょうか。

 一章を丸ごと使い、本題へ入る前にウォーミングアップを行ったのには理由があります。それは、これから語る「儀式」という概念に対する、あなたの偏見や先入観を取り除くためです。

 「儀式」と聞くと、多くの人はオカルトや迷信的なイメージを抱くことでしょう。しかし、これから説明するのは、そのようなものではございません。それは、歴史を通じて脈々と受け継がれてきた行為であり、事実、我々の目の前で演じられたもの。第二章からは、9.11の裏に隠された誰も語らぬ「儀式」について深く掘り下げてゆきます。

 儀式は単なる形式的な行為ではなく、人々の意識を変容させ、現実を創造する力を持ちます。その力は、古代の神殿で行われていた小規模なものとは異なり、都市全体を神殿に見立てた大規模なものへと変貌を遂げ、世界に影響を与えるほど強大になっております。

 この儀式を理解することは、世界の「大きな流れ」を知るための重要な鍵となります。それは、我々が普段目にしている現実が、いかにして構築され、操作されているのかを理解することにつながります。そして、重ねて述べますが、それらは9.11で終わった訳ではなく、今なおですし、これからもですから知るべきなのです。

これから何が起こるかを知りたければ、何が起こったかを調べるべきだ。

Niccolò Machiavelli






・儀式の概念

 儀式と聞いてあなたはどのようなものを連想しますか?

 禍々しい様相の人々が悪魔の石像を拝む景色でしょうか?それとも清らかな人々が神に祈りを捧げる場面でしょうか?気づいていないかもしれませんが、少し視点を変えれば、学校の入学式・卒業式も儀式ですし、盆暮正月も結婚式も葬式もヴァレンタインもクリスマスも儀式です。我々にとって儀式とは意外と身近なものなのです。

 しかし、911の儀式はそのいずれでもありません。911という儀式を読み解くために必要な概念は、以下の言葉に集約されております。

神話は儀式の筋書きであり、儀式はそれを実行すること

 要するに、「特定の神話の筋書きにしたがい現実世界で象徴的に演じること」が、「今回のシリーズでお伝えする儀式」というわけです。911の儀式を読み解くために必要な「儀式の概念」がこれです。


・理解の順

 911の儀式を理解するにあたり、まずは筋書きとなる神話をご説明いたします。ただ、一つの神話と現実とを架橋するだけでも大変なのですが、911の儀式には「二つの神話」が重ねられております。したがいまして、理解の順番としましては、二つの神話の理解と架橋、現実世界との架橋、そして、儀式が与えた世界への影響の三つを順に述べてまいります。

  • 二つの神話の理解と架橋

  • 現実世界との架橋

  • 世界への影響

 あなたの研いだ剣を鞘から抜いてくださいまし。

 長き智慧の旅になりますよ。


神話

911・サムソン・ヘラクレス

 ではまず神話から始めましょう。911の儀式で演じられた神話は、旧約聖書の士師記に登場する「サムソン」と、ギリシャ神話の「ヘラクレス十二の功業」の二つです。まずは、これらの二つの神話を理解し、両者に共通する象徴的な要素を抽出することから始めましょう。まずは士師記のサムソンから。物語の要所を述べてまいります。


サムソン

 サムソンは、イスラエルの士師(指導者)の一人で、生まれる前から神に選ばれたナジル人(特別に神に捧げられた者)でした(ダン族)。名前には「太陽の人」、「神に仕えるもの」という意味があるとされ、髪を切らないことにより特別な力を有しておりました。このサムソンの冒険活劇が聖書の士師記に収められております。

ダン族の紋章

 ここから物語の象徴的な部分を述べてゆきます。


誕生の預言

The Sacrifice of Manoah (1640–50) by Eustache Le Sueur

 イスラエルがペリシテ人に支配されていた時、子どもがいなかったダン族のマノアの妻に天使が現れ、サムソンの誕生を告げました。彼はナジル人(特別に神に捧げられた者)として神に仕えることが定められ、髪を切ってはならないと言われました。

あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。その頭にかみそりをあててはなりません。その子は生れた時から神にささげられたナジルびとです。彼はペリシテびとの手からイスラエルを救い始めるでしょう

士師記13章5節

超人的な力と戦い

Lucas Cranach d.Ä. - Simson bezwingt den Löwen
Samson Slays a Thousand Men with the Jawbone of an Ass (c. 1896–1902) by James Tissot

 成長したサムソンは事あるごとに主の霊が降りてきて超人的な力を発揮します。ある時は獅子を素手で引き裂き、またある時はロバの顎の骨だけで千人の敵を倒したりと。また、300匹の狐の尻尾に一つずつ松明を結び、それを放ち、ペリシテ人の土地を焼き払ったりと、徹底的にペリシテ人と戦いました。

時に主の霊が激しく彼に臨んだので、彼はあたかも子やぎを裂くようにそのししを裂いたが、手にはなんの武器も持っていなかった。しかしサムソンはそのしたことを父にも母にも告げなかった。

士師記14章6節

彼は言い終ると、その手からあご骨を投げすてた。これがためにその所は「あご骨の丘」と呼ばれた。

士師記15章17節

女の裏切り

Samson and Delilah (1887) by Jose Etxenagusia

 サムソンは二十年間、士師としてイスラエルを裁いた後、ペリシテ人の女デリラを愛しました。ペリシテ人たちは利用しようと彼女を買収し、サムソンの力の秘密を探らせました。サムソンは何度か嘘をつき誤魔化しましたが、ついに「力の秘密は髪を切らないことにある」と告白してしまいます。それを知ったデリラが彼の髪を剃るとサムソンは力を失い、ペリシテ人に捕らえられ、両目を抉り出されてしまいました。

The Blinded Samson (1912) by Lovis Corinth

彼はついにその心をことごとく打ち明けて女に言った、「わたしの頭にはかみそりを当てたことがありません。わたしは生れた時から神にささげられたナジルびとだからです。もし髪をそり落されたなら、わたしの力は去って弱くなり、ほかの人のようになるでしょう」

士師記16章17節

そこでペリシテびとは彼を捕えて、両眼をえぐり、ガザに引いて行って、青銅の足かせをかけて彼をつないだ。こうしてサムソンは獄屋の中で、うすをひいていたが、
その髪の毛はそり落された後、ふたたび伸び始めた。

士師記16章21・22節

柱の破壊

Samson in the Treadmill (1863) by Carl Bloch

 かつての英雄はペリシテ人の神殿で見せ物にされ嘲笑の対象とされていました。しかし、そんな境遇でもサムソンは諦めず神に力を戻すよう祈り、結果、超人的な力を取り戻し、ペリシテ人のダゴン神殿の柱を押し倒し、自分と共に多くのペリシテ人を道連れに死にました。このとき道連れにしたペリシテ人は、それまでサムソンが殺した人数よりも多かったといわれております。

彼らはまた心に喜んで言った、「サムソンを呼んで、われわれのために戯れ事をさせよう」。彼らは獄屋からサムソンを呼び出して、彼らの前に戯れ事をさせた。彼らがサムソンを柱のあいだに立たせると、

士師記16章25節

サムソンは主に呼ばわって言った、「ああ、主なる神よ、どうぞ、わたしを覚えてください。ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」。
そしてサムソンは、その家をささえている二つの中柱の一つを右の手に、一つを左の手にかかえて、身をそれに寄せ、
「わたしはペリシテびとと共に死のう」と言って、力をこめて身をかがめると、家はその中にいた君たちと、すべての民の上に倒れた。こうしてサムソンが死ぬときに殺したものは、生きているときに殺したものよりも多かった。

士師記16章28・29・30節

まとめ

 ここまでが士師記に書かれているサムソンのお話の要約です。この物語の象徴的な部分がヘラクレス神話と重なります。では、ヘラクレス神話へ移る前に、七つの要点をまとめておきましょう。


A monument of Samson in Wrocław, Poland
  1. 神により誕生が告げられる半神半人
    生まれる前に天使に「ナジル人となる」と告げられ、髪を切らない限り超人的な力を持つ。

  2. 始まりに蛇が印象付けられる
    サムソンの両親はダン族。その紋章は蛇。

  3. 獅子を素手で倒す
    道中で出会った獅子を素手で引き裂いた。

  4. 山を作る
    ペリシテ人をロバの顎の骨で1000人叩き殺しその場所は「あご骨の丘」と呼ばれた。

  5. 裏切りによる破滅
    ペリシテ人の娼婦デリラの誘惑に負け、力の秘密を漏らし捕らえられてしまう。

  6. 柱(建築構造)の破壊
    ダゴン神殿の二本の柱を倒し、神殿を崩壊させ、敵もろとも死ぬ。

  7. 自らの死を受け入れる
    自らの死を覚悟して神殿を倒した。

象徴的なシーン

 ではここからヘラクレス神話に……と行きたいところですが、ヘラクレス神話は「十二の功業」と題名にもあるように十二のエピソードがあり長大です。本件のように要点を抜き出しお伝えしても長き物語。よってヘラクレスのDecoodeは次週へと持ち越し、本件はこれにて締めとさせていただきます。

 あなた様の心がロバの顎の骨で打たれましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。

 続きはこちらから。



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