第1回#よちよち育児短歌【0~3歳の部】
はじめに
どうも浅乃です!
最近、わたし自身に子供が生まれたことで育児にまつわる歌を詠む事や目にする事が増えてきたのをきっかけに、実際にいろんな育児にまつわるあれこれを詠んだ歌をたくさん読みたい!と思ったのをきっかけにこのようなハッシュタグを作成してみました。
するとたくさんの方が反応を示してくれて、育児短歌自体もその数なんと48首も参加していただけました。(浅乃自身の短歌4首を除く)
ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。
選出作品について
今回、浅乃しづくが独断と偏見と愛情をもって選出させていただきました。
育児というものは可愛い、愛しい、食べちゃいたいなどのポジティブなものだけではなく時にはつらい、しんどい、食べちゃいたいというネガティブなものもあります。
十人十色の育児短歌は本当に共感するものばかりですべてに最優秀を送りたいものでした。
わたしだけが選ぶなど烏滸がましい事は重々承知しておりますが、何卒温かい目で育児のように受け入れていただけましたら幸いです。
また、それぞれの歌にコメントを添えさせていただきますが短歌というものは読み手の数だけ解釈があるものだと思っておりますので、気楽にお受け取りいただければと思います。
そして当初設ける予定であったママ賞・パパ賞でしたが歌人の方の性別が特定が難しいと判断し今回は「ママパパ賞」とひとくくりにさせていただく事といたしました。
ママが見る世界とパパが見る世界は実はとても違った景色でそこを知ってもらうために作った賞だったのですが、次回以降は歌人さんの性別も分かる様にできたらと考えております。
あと、素敵な歌が多すぎたため色々な部門を設けてみました
!
お楽しみいただければ幸いです。
ママパパ賞
孤立した家を出たくて子を抱いて月と一緒に歩いた夜道 /丹生暁子
コメント:「孤立した家」という言葉に物理的な場所だけでなく、精神的な孤独や閉塞感をたった五文字で表現しているところがすごいなと思いました。誰にも頼れない、理解者がいない状況を孤立と表現したのでしょうか。家を出たいという強い動機・決意・覚悟から始まって、後半の「月と一緒に歩いた夜道」で一気に視界が開ける構成が見事だなと!家の中の息苦しさと、外の月の光の差す夜道のコントラストが表現できる才能に嫉妬です!
本来、夜道で「月と二人きり」というのは心細いシチュエーションですが、この歌においては、誰にも頼れない孤立無援の状態だからこそ月だけが自分の歩みを肯定して照らしてくれている寄り添ってくれているような温かい歌に感じました。
また、今回丹生さんのこの歌がきっかけでたくさんの方にご参加いただけました。この場をお借りして本当にありがとうございました!
孤立した家を出たくて子を抱いて月と一緒に歩いた夜道#よちよち育児短歌
— 丹生暁子 (@akikonyuu) January 20, 2026
滑り込みで暗い歌ですみません。どなたか私の代わりに明るく楽しい育児短歌をお願いします🙏 https://t.co/sWEDqMjhnM pic.twitter.com/wEjyE5MmHo
母ひとりこぼれぬようにかき集めシリンジの中5ml /藤沢ころも
コメント:NICUを見守るお母さんにとって、その数ミリリットルは単なる液体ではなく、わが子の命を繋ぐための命そのもの。やっとの思いで絞り出し、シリンジに移す際の震えるような集中力が見事に凝縮されているなと感じました。
病室で一人、孤独に自分と向き合って作業する姿。そして、NICUにいるわが子にとって今この糧を届けられるのは「世界でわたしだけ」という、母としての覚悟と自負が「母ひとり」という言葉に凝縮されているように思いました。今精いっぱいがんばっている赤ちゃんに今最大限にできる「母」を感じとても熱く、しかしながら穏やかな気持ちになれる素敵な歌でした。
母ひとりこぼれぬようにかき集めシリンジの中5ml/藤澤ころも
— ころも/藤澤ころも (@wisteria_coromo) January 21, 2026
私の中の私の代表作です。病室からNICUにいる我が子へ初めて母乳を届けたときの歌です。短歌を再開して初めて詠んだ歌でもあります。#短歌 #tanka #よちよち育児短歌 https://t.co/MNIAeLOhvS pic.twitter.com/9uvEtHAaZN
寝入るまで吾子のつむじの原っぱの夢のひつじの番人になる /aurora/小野小乃々
コメント:つむじを原っぱに見立てた感性が素晴らしいです。赤ちゃんのつむじから広がる柔らかな産毛が風にそよぐ草原のように一目で絵が浮かびました。単に「見守る」ではなく「番人」としたことで、我が子を外敵(悪夢や不安)から守り抜こうとする、親としての密かな決意と深い愛情が読み取れる素敵な歌でした。
寝入るまで吾子のつむじの原っぱの夢のひつじの番人になる
— aurora/小野小乃々 (@aurora_konono) January 22, 2026
/小野小乃々
#よちよち育児短歌 #tanka #短歌 https://t.co/c9sSIFGEHE
ミルクだね、オムツかえるね、眠いのね。吾子専門の通訳デビュー /北野白熊
コメント:赤ちゃんの鳴き声を翻訳しようとする親のまなざしが温かく、微笑ましい一首です!!
「ミルクだね、オムツかえるね、眠いのね」という畳みかけるようなリズムがとても良く、育児の忙しさと心地よいリズム感を同時に表現していてさすがだなと!特に「吾子専門の通訳デビュー」というフレーズが最高!新米ママ・パパと言う代わりに「通訳デビュー」と表現することで、赤ちゃんのふげふげした言葉にならない欲求を一生懸命読み取ろうとするひたむきさと、育児を少し客観的に楽しもうとする余裕が感じられる楽しい歌でした!
そしてこぐまちゃんのお誕生本当におめでとうございます!
ほんとうに大変だったと思いますが、今はゆっくりしっかり休んでいただき、これからも楽しいよちよち育児短歌をたのしみにしています!!
ミルクだね、オムツかえるね、眠いのね。吾子専門の通訳デビュー/北野白熊
— 北野白熊(くまっこ) (@d23705) January 20, 2026
参加させていただきます👶🏻#よちよち育児短歌 https://t.co/RXvBzIb7rQ
ちいさないのち賞
「おににいとぽっくぽーんがおきりいに」舌っ足らずなあなたが好きよ /とのもづかさ
この上の句、中毒性がすごいですマジで。舌っ足らずな幼児語をそのまま落とし込んだリズムが、まるでお菓子の袋を開けたときのような多幸感でにまにましてしまいます!
パッと見、なんのことだかわからない気もしそうな字面なのにもかかわらず読んでみるともう納得しかない!そして声に出してしまいたくなる!!笑
そして何より挿絵がかわいい!!!
ちいさいいのちの精いっぱいの訴えってかわいいの過剰摂取になりますよね!
「おににいとぽっくぽーんがおきりいに」舌っ足らずなあなたが好きよ#tanka #短歌 #よちよち育児短歌
— とのもづかさ (@tonomozukasa) January 20, 2026
既出&父母目線ではありませんがよいでしょうか…?🫢
10歳以上離れた妹と弟を世話していたときの歌、よちよちしております💕 https://t.co/NqTXnoyKze pic.twitter.com/vkEKLrBhHt
「はちみちゅ」と三歳の子のしりとりに続いてひらく「チューリップ」の花/水川怜
こちらも同じく幼児語にまつわる一首ですね!
「はちみちゅ」という「た行」の苦手ないきものの揚げ足を取るでもなく、訂正するわけでもなくそのままチューリップと続けるやさしさとユーモアにほっこりしました!
「はちみちゅ」と三歳の子のしりとりに続いてひらく「チューリップ」の花/水川怜
— 水川怜 (@mizukawa_rei) January 20, 2026
参加させていただきます。
ありがとうございました!#よちよち育児短歌 #短歌 https://t.co/FwusMiU9SS pic.twitter.com/EoZoq59hld
何もかも姉と同じじゃ気がすまぬまだ早いってわかっていても /草流
あるある!あるんですよね!!
お姉ちゃんやお兄ちゃんと一緒は自分がおまけみたいな感覚になってしまってくやしいのでしょうね(笑)
「まだ早い」というひと言にちいさな子の対抗心だったり憧れだったり立派に一人前なんだぞ!という自立心だったりが含まれたにこやかな歌だと思いました。
#よちよち育児短歌
— 草流(そうる)☘ (@kusa2619une) January 21, 2026
何もかも姉と同じじゃ気がすまぬまだ早いってわかっていても 草流#短歌 https://t.co/GRrZ5rEgtN
浅乃しづく賞
トントンでようやく閉眼した吾子の 隣に目ぇバッキバキのメルちゃん /葉山つむぎ
もうね、これはツボでしたww
出だしで丁寧な育児短歌と思わせておいて下の句の「目ぇバッキバキのメルちゃん」という荒々しくもメルちゃんをしっている人ならだれでも容易く想像ができてしまう光景。あっぱれすぎました!
「閉眼」「吾子」とどう頑張っても同じ歌には並ばないであろう「目ぇ」「バッキバキ」を選ぶワードセンスに嫉妬です!!笑
トントンでようやく閉眼した吾子の
— 葉山つむぎ|精神科看護師・ライター (@hayama_tsumugi) January 20, 2026
隣に目ぇバッキバキのメルちゃん#よちよち育児短歌 #tanka #短歌 #つむぎ短歌 https://t.co/7HEn2SuPQ4 pic.twitter.com/H4flYevJ8d
子猫よりかわいく鳴くの君かしら どんなちゅ〜るも買ってあげるね /もしり
もう最初に見たときのにやにやが忘れられません!笑
「子猫より~君かしら?」とかわいいの代名詞である子猫を比較対象に持ち出しておいてそのかわいいには目もくれないほどのかわいいを見つけた「君」へのデレデレ溺愛っぷりがいいですよね!
なのに!!なのにですよ!?そのあとに続く「どんなちゅ~るも」という猫扱いをしている様につい笑ってしまいました!
子猫よりかわいく鳴くの君かしら どんなちゅ〜るも買ってあげるね#短歌 #tanka #よちよち育児短歌
— もしり (@moshiritanka) January 20, 2026
私が18歳のときに生まれたいとこちゃん、親戚中の末っ子だった私にはあまりにかわいかったのです https://t.co/7Md26H9O3w pic.twitter.com/bgnM21bXu8
少し祈る 子を奪われた鮭のため 私も帝王切開だったの /井倉りつ
命の重みと痛み、そして母という存在の連帯感が心に深く突き刺さる一首でした。
「少し祈る」という「人間の勝手でごめんね」という代弁と「私もそうだったからわかるよ。痛かったよね」という鮭に寄り添える大げさに嘆くわけではない控えめなやさしさがとても素敵でした。
あと、これはおそらく全然関係ないと思いますが「いくら」というお名前が鮭を際立たせていて勝手にジーンとしてしまいました。
少し祈る 子を奪われた鮭のため 私も帝王切開だったの#短歌#tanka#よちよち育児短歌 https://t.co/parUKFNfci pic.twitter.com/IkJgoY5cqY
— 井倉りつ (@uta_litz) January 23, 2026
優秀賞
こんなにも空気が軽いさんぽみち二歳になったきみが歩けば /奥 かすみ
この歌を読んだ時に、この31文字だけで寂しい気持ちと明るい清々しい気持ちとの両面を表現できるのはすごいなと感じました。
奥さんが実際にどちらの気持ちを持って詠んでいるのかは分かりかねるのですが、今まで抱っこやおんぶで共に歩いてきた道が今は自分の足で歩いているという少し寂しい感情の半面、成長をしていまや隣に並んで歩けるという嬉しさ、そして抱っこやおんぶの大変さから解放された清々しさがすべて詰まったまさに「育児」を表現した歌だなと思いました。
こんなにも空気が軽いさんぽみち二歳になったきみが歩けば/奥 かすみ
— 奥 かすみ (@okukasumi) January 21, 2026
育児詠、しかも年齢別なんて面白いアイデアすぎます!
素敵なコンテスト開催有難うございます!#よちよち育児短歌 #tanka #短歌 https://t.co/hGNevhPqDU pic.twitter.com/sZ8zjZpRck
物心つく前の日々見せたくて 「ストレージ容量不足です」/花星沙夜
本人の記憶には残らないけれど確かにそこにあった愛おしい日々。それを残してあげたいという願いが前半の柔らかな言葉から伝わってきました。
なのに!なのに!スマホの通知画面をそのまま引用したような「ストレージ容量不足です」という冷たいデジタル用語!!この情緒と無機質のギャップ!!
容量がいっぱいなのはそれだけ「消したくない瞬間」を積み重ねてきた証拠!!クラウドのアップグレードを検討する際のお子への愛とほんの少しの課金の狭間で揺れる親心が透けて見えるのも人間味が溢れていて好きです!
物心つく前の日々見せたくて 「ストレージ容量不足です」
— 花星沙夜 (@kaseisayo) January 24, 2026
#よちよち育児短歌 #tanka #短歌 #縦書き画像メーカー https://t.co/cP5OUTpnko pic.twitter.com/IhabKcpSig
第1回#よちよち育児短歌最優秀賞
「どーじょ」ってわたしてくれるのはいつもきみのちいさなたいせつなもの /三浦なつ
読み終えた瞬間ぎゅっと胸が締め付けられるような、それでいて心の奥がじんわり解けるような感覚になりました。
「きみ」が差し出してくるものは、我々大人から見ればただの石ころとか食べかけのよだれでべちょべちょのパンの端っことかちぎってしまった絵本の欠片が大半です。でも、こどもたちにとってはその時持っている世界のすべてなんですよね!!
それを「いつも」くれるというところに、お子からわたしたち親への無償の愛、言葉にならない信頼を感じて、読み手であるわたしまで「そんなに大切なものをもらっていいの!?」と誇らしいような、なんだか申し訳ないような、くすぐったい気持ちになりました。
全部ひらがなの柔らかな書き方が差し出された手のひらのやわらかさそのもののようで、世界でいちばん優しい「贈与」を見せてもらった気がします。
最近、「これは宝物だな」と特に確信した「どーじょ」の品は何でしたか?
「どーじょ」ってわたしてくれるのはいつもきみのちいさなたいせつなもの
みなさんは最近どんなどーじょをもらいましたか?
「どーじょ」ってわたしてくれるのはいつもきみのちいさなたいせつなもの/三浦なつ
— 三浦なつ(ミウラ) (@natsumiuraok) January 20, 2026
#よちよち育児短歌 https://t.co/YoRJuiyzyr pic.twitter.com/u8T2YsGfCU
さいごに
ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。
仕事以外であまり他人様の目に触れるような文章を打つことがなく、どのように書いていけばいいのか今の今でも模索しているくらい拙い文章でとても読みづらかったかと思います。
それでもこの育児に対するあったかさとかつらいこととか嬉しかったこと悲しかったことを詠んだ短歌を自分だけが独り占めするのではなくたくさんの人に届けばいいなと思い企画してみました。
そして、この後は「#よちよち育児短歌 未就学児部門」を開催しようと思っています。
少し成長して、いろいろな知恵もつけ言葉も達者になったちいさい怪獣たちを見られるのを楽しみにしています!
それではまたお会いいたしましょう。
5児の父 浅乃しづく
クレジット
丹生暁子 さおる 梅鶏(うめどり) 汐 北野白熊(くまっこ) 茶葉 結城熊雄 やすらか とのもづかさ 黒木郁 非常口ドット しんきろう 月詠 水川怜 栗子守熊 オオサワノリユキ 葉山つむぎ 春ひより アルパコ@ 千葉氏の短歌 ホワイトアスパラ すずめ 雪風みなと 小松百合華 三浦なつ(ミウラ) まろ 草流(そうる) aurora/小野小乃々 わたし 小仲翠太 紺野なつ すみれ もしり はと(Taito Hama) わたこ 水沢穂波/月岡方円 立嶋@藤岡あや 鈴木ベルキ 菊野源一 ころも/藤澤ころも ヒトコト 奥 かすみ さく/さくさくら/野ばらさく きいろい 仲野キキョウ ayapan 熊子 井倉りつ 花星沙夜 こゆびびび ume うかサナギ 水玉子 全54名(参加順)
