神社散歩#8(秩父今宮神社)
所在地
埼玉県秩父市中町16-10
主な御祭神
伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)
伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)
須佐之男大神(すさのおのおおかみ)
2023年4月上旬。
「まだ早いかな」
「どうかなー、意外とちょうどいいかも」
なんて会話を相棒と交わしていた。
なんのことはない、芝桜の話である。
一般的には4月の中旬あたりから順次見頃を迎え、5月上旬頃まで楽しめる。
羊山公園という芝桜の名所がある。
埼玉を代表する観光地と言っても過言ではない秩父地方の中でも、指折りの人気スポットだ。
満開にもなると周辺が大渋滞してしまうのはよく知られているが、やはり一度は生で見ておきたい。
せっかく秩父に行くのなら、まだ行ったことのない神社にもお参りしたい。
行き先に困ったら秩父というくらいよく訪れるのだが、市街地の神社には案外まだ行っていないところも多い。
秩父今宮神社は羊山公園からさほど遠くない所に鎮座しているので、昼ご飯の吟味も兼ねて可能なら歩いて行ってみようという事になった。
当日、天気は気持ちいいほどの快晴。
なんなら夏が来たと言わんばかりの暑さ。
少し早めに出発したことが奏功したのか、羊山公園周辺までは順調にたどり着いた。
公園付近はすでに車列が出来あがっていて進みが悪かったが、交通誘導員の方に案内された臨時駐車場に車を停めることができた。
(一日停めてOKと確認済み)
ここからは少し歩くようだ。
とはいえ公園へ向かうその小道は、長閑な農村といった風情でなんだか少し心が躍る。
公園内はやはり人が多いものの、園内が広いせいか人口密度はさほど高くないようだ。

「はえー…」と、驚きとも感動ともつかないよくわからない声が出る。
モザイクアートのような景色が一面に広がっている。


芝桜まつりの期間中だったこともあり、羊の牧場の近くではキッチンカーなどが多数出ていた。


来て良かったなぁと思いつつも、暑さがジワジワ気になり始める。
時間は正午になろうとしている。
そろそろ神社に移動しようということで、出入り口付近の係員のおじさんにどれくらいで着くか聞いてみる。
「10分くらいじゃないですか?」
ご親切に道順まで教えてくれたがどうも話が嚙み合わない。
ひょっとして…と思い、
「歩いて行くんですけど」
「え!?歩くの?」
と怪訝な顔を浮かべる。表情がやめておけと忠告していた。
察するに、どうやらそこそこ遠いらしい。
「2~3kmだと思うけど暑いから気をつけてください」
と見送っていただいた。
歩くことしばし…
………暑い。暑すぎる。
公園から出るだけでかなり歩いた気がする。
暑さと公園の広さが係のおじさんの表情を裏付ける。
よし、車で行こう。
心を折られた私たちは来た道を戻り、先ほどのおじさんに「やっぱりね」と苦笑いされるのであった。
おじさんのご説明通り、程なくして神社に辿り着いた。
市街中心部に位置するが、交通量の多い道路から一本入ったところにあるため思ったより静かだ。

神社の歴史はとても古く、有史以前から存在するらしい。
元々湧水の地として水神信仰の対象になっていたところに、イザナギ・イザナミを祀ったとのこと。
この湧水による泉は秩父最古の泉と伝えられ、龍神池として現存している。
現在傍に聳える木の洞には龍上観音という像が安置されている。

水神信仰から時代は下って西暦700年頃、修験道の開祖と言われる役小角(えんのおづぬ)によって八大龍王が八大宮に祀られた。
以後、八大龍王宮として知られるようになる。
修験道…古神道などの山岳信仰に、仏教や道教、陰陽道などの要素が加わって成立した信仰形態。自らに厳しい修行を課すことで知られる。
八大龍王…仏法を守護する八体の龍王。起源はインド。
八大宮…宮中八神(天皇を守護する8柱の神を祀る神殿、八神殿とも)と八大龍王を合祀した社。
神仏習合が進んだ西暦800年代前半、弘法大師が訪れた際に大日如来を八神殿と結びつけたことで、ほぼほぼ寺院として認識されるようになる。
1500年代に入って蔓延した疫病の根絶を願い、京都の今宮神社より牛頭天王(ごずてんのう)≒須佐之男(すさのお)が勧請された。
数多くの社寺を有し「今宮坊」と称されるが、明治元年の神仏分離令によって現在の形となる。

神橋を渡って右に手水舎。

なぜアヒル?いやかわいいけども
神橋を渡って左に龍神の住処とされる龍神木。

県指定天然記念物のケヤキ
存在感がすごい

旧社殿は同市内の聖神社に移築されている

なかなか覚えられない(汗)

ちゃんとくぐれるペットなら、その子は私より賢い
境内には、役小角を祀った役尊神祠や天満宮、弁天社などもある。
やはり水と龍にちなんだものが多かった。

宮中八神の一座、御食津神(みけつしん)の関連から
食物を司る神様を御饌津神(みけつしん)といい、三狐神(みけつしん)と字を充てることもあって狐(白狐)を神使とする。
寺だったと言われると、なるほど確かにと納得できるような涼やかで凛とした雰囲気のある神社だった。
御朱印は無骨ながらも勢いのある素敵な筆跡。質実剛健。

境内のあちこちにもこの字?が書いてある
二八そば ひらい 玄(にはちそば ひらい げん)
今宮神社を出て、近隣のパーキングへ。
そこから歩いて秩父鉄道御花畑駅の方へ。
公園から神社への道中で目星をつけておいた店へと向かう。
秩父の名物グルメといえば、豚丼、わらじカツ、ホルモン、蕎麦、かき氷、みそポテトなど多数挙げられるが、さすがに暑いので蕎麦で。
秩父はつけ汁に胡桃をすり入れた胡桃蕎麦が有名で、行こうと思っていたお店は残念ながら昼営業が終わってしまった。
いくつかの候補の中から選んだ「ひらい 玄」さんは胡桃蕎麦を出していないが、公式ブログから伝わる熱意やこだわりには期待値が上がる。
店名の「玄」は玄そばの玄からとったそうだが、黒の意味もあるらしい。
名前の通り黒と白を基調としたシックな外観だ。
大きな引き戸を開けるとモダンな店内に数組の客。
席間は広いので回転率よりも居心地を重視しているのだろうか。
パーソナルスペースの広い私にはありがたい。

かき揚げは玉ねぎと小エビ
メインの蕎麦はとても喉ごしがよく、暑い日にはうってつけの細切り。
かき揚げは心地よい歯ざわりでサクサク。
普段あまり油物を食べない私でも、あと2個は食べられると思える軽さ。
かえしも甘すぎず塩辛すぎず、蕎麦湯ともよく合う。
相棒は車の運転がないので梅酒もいただいていた。
今まで飲んだどの梅酒よりもおいしかったそうだ。
食事中なにやら外が騒がしいなと思っていると、すぐそばの御花畑駅からSLが出発した。
お店からも窓があってよく見える。
電車や列車にはあまり興味がないので、それがどのくらい珍しいものなのかわからないが、なんだか得した気分。
食後は街ブラをしつつ今宮神社の方に少し戻って矢尾百貨店へ。
矢尾百貨店は地元に愛されるローカル百貨店だ。
1Fにあるジェラート屋「SUN DOLCE」さんのジェラートを食べたくて訪れた。
秩父神社近くにも店舗があるが、帰りの都合上こちらのお店になった。
いろいろなフレーバーがある中で私のおススメは秩父の地酒「秩父錦」。
アイスの甘さよりも、日本酒らしいほんのりした米の甘さがとてもおいしい。アルコールは入っていないので未成年の方でも大丈夫。
冒頭でも言った通り、秩父は何度も訪れているので他の神社やスポットもここでいつかお伝えしていきたいと思う。
伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)
伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)
神社散歩#1(今戸神社)参照
須佐之男大神(すさのおのおおかみ)
神話に興味がない方でも名前くらいは聞いたことがあるであろう神様。
イザナギが亡くなったイザナミに逢いに黄泉の国へ行き、ケンカ別れをして帰ってきた。黄泉の穢れを落とすために禊を行ったところ、鼻をすすいだ際に産まれた。
その直前に左目からアマテラス、右目からツクヨミが産まれている。
この3柱の神様をして、三貴子(三貴神とも)と呼ぶ。
記紀の早い段階から良くも悪くも主役級の活躍をするので、短い文章では伝えきれないほどエピソードが豊富。
多種多様なエピソードと、エピソード毎の性格が別人かというくらい違いすぎるので、モデルとなった人物に複数の人物や他所の神話などを複合させて作られた存在だと私は思っている。
元は天津神だが、破天荒が過ぎて高天原(天津神が住むとされる天界のような場所)を追放されたため国津神として扱われる。
追放後も相変わらずな破天荒さを見せるが、ヤマタノオロチ伝説で英雄的な活躍をしてみたり、スウィートな和歌を詠んで知的おしゃれボーイな一面を見せてみたり、エコロジストになってみたり、お前に娘はやらん!的な恐いお父ちゃんだったり。
