【第28回3つのお題に空想のひらめきを】月影の郵便局🌕|2554字
ちょっと長くなっちゃいました。
よかった読んでください☺️
----------------------------
近所の森にある洞窟。
洞窟の天井から、月の光が差し込んだ時にだけ現れる、不思議なドアがある。
角度が合っていても月明かりが当たらないと、そのドアは現れない。
「…って、死んだじーちゃんに聞いたんだ。」
放課後、机を挟んで向かい合い、俺とカンタは話していた。
カンタが前のめりで、
「で、で、開けたらどうなんの?」
「…そっこが分かんねーんだよなぁ。」
「ぇえー!ヒビキ〜。そこ肝心なところ〜。」
仰け反るカンタ。
「小さい時に聞いたから、肝心部分が抜けててさ。」
「じゃあさ、確かめに行こうぜ。天気と月の角度調べれば、出くわす確率高いだろ?」
「でもさ、妖怪森の奥だぞ?しかも夜って家は出れないだろ?」
俺は少し怖がりだ。
「そこは上手く言えよ。お互いの家に泊まるとかって言えばよくね?」
珍しくカンタが鋭い。そして俄然やる気だ。
…って、妖怪のことは?
「今日金曜だし、天気予報で今夜は快晴だし。角度はちょいと計算してみて、とりあえず行ってみよーよ。」
んーと悩む俺をよそに、いそいそと帰り支度をするカンタ。とりあえず俺も帰路に着く。
「えー……急に?カンタ君のお家、迷惑じゃないの?」
「大丈夫。カンタのお母さんにも聞いたから。」
あまり嘘とか付かないから、不自然ではないか、すごくドキドキしていた。
急な話で、準備の手が泳ぐ。
とりあえず懐中電灯と水のほか、タオルや絆創膏、方位磁針と虫眼鏡を持った。
恐怖か、体が震えていた。
19時過ぎ、森の入り口に向かうとカンタは既に待っていた。
「おーいヒビキ。ほんなら行くか!」
日中は青々とした綺麗な森。
でも夜になると、木々の黒いシルエットが全て不気味に、かつ何か敵意を感じる。
それが俺の背面にへばりつく。
懐中電灯は照らした先しか見えない。
林の闇は、奥行きが分からずなお怖い。
「カ、カンタ。洞窟って…どこだっけ?」
「もう少しだろ?月明かりの角度も調べたらたぶんばっちりだったし、今日の今日で行けそうじゃね!?」
ランランとしているカンタ。
えー…なんでそんなに余裕なんだよ…。
道中何も起こらず、洞窟の入り口が見える所まで来た。
怖がりすぎてただけかな、と肩の力を抜いた。
「おい」
ざらりとした声が背後から聞こえた。
「ぎゃーーーーーー!!!」
カンタが叫び、ひとり走って逃げた。
えっ!!?
嘘だろ…?こ、こ、こわい…。
硬直して後ろも向けない。
息も吸えない。
「ここで何してる」
言葉が出ない。
「どうした。何か言え」
こわい…。
ぶるぶる震える右肩に手を置かれた。
「ゆっくりでいい。何か言え」
その言葉で少し息が吸えた。
「お、俺たち、洞窟のドアを見に…。」
怒られるのか喰われるのかー
心臓がいろんな方向から飛び出しそうだった。
「そうか。お前たちラッキーだ。雲が増える前に、少しならドアが出てくる」
そう言うとざらりとしたそれは、俺を追い越し洞窟へ向かった。
目を凝らすと、
オーバーオールを着た大柄の丸い体格に、長く茶色い毛むくじゃら、長いうさぎみたいな耳が両側に垂れていた。
人ではない。
カンタはどこか行ってしまったし…。
俺は恐る恐る、毛むくじゃらの後を追った。
懐中電灯で照らす天然の洞窟は、ゴツゴツ、ザラザラ、ツンツンと怪我をしそうな岩肌ばかり。
「おい、灯りはしまえ」
ささっと電気を消し、ポケットに捩じ込んだ。でも…全然見えないし…。
毛むくじゃらになんとか着いて歩くと、ふと青白い光が先の方に降りてきた。
「見ろ。あれがドアだ」
毛むくじゃらが差す先には、細い光の中だけに、金色のノブが浮いていた。
「あまり時間がない。お前が開けるんだ」
急かされるがままノブに手を掛けた。
ドアを開けると、古びた木製の大きなカウンターが正面に、両側はたくさんの小さな引き出しがついている木製の棚があった。
部屋の奥は、何やら柔らかい光がもやもや動いていて、なんだかよく分からなかった。
「ここは月影の郵便局。ドアに月明かりが当たる時だけ現れる。浄化の場所」
浄化の場所…?
何をするのか尋ねる。
「なんだお前知らないで来たのか。自分の浄化したいことを書き、月に送る。でもほとんどのやつ送らない。懺悔をしたいと、書いて引き出しに仕まう」
へぇー。
…じーちゃんはここで何かを書いたのか?
「ああマサハルか。ここに何度も来た」
指差す引き出しの中には、数十枚の封筒があった。
「親族なら見れる。ただ何が書いてるかは知らない。見ても後悔するなよ。あまり時間ないぞ」
月に送らず懺悔をしたかったこと…?
じーちゃんにそんなことがあるのか?
ひとつ手に取り開いてみた。
《直子を裏切った。謝っても謝りきれない。》
直子は亡くなったばーちゃんだ。
「裏切った」その言葉にぎくっとした。
じーちゃん何をしたのだろうー。
自分のついた嘘に、罪悪感が湧き上がる。
続きを読もうとすると、急に紙が真っ白になった。
「月明かりが陰る。次のドアが現れるまで出られなくなる。お前は浄化しないのか」
もう少し読みたい、でも時間がない。
「月明かりのインクで書け。そのインクは月明かりではないと見えないインクだ」
ほんのり淡く黄色い、少しねっとりしたインク。慣れないペンで俺は書いた。
〈今日お母さんに嘘をつきました。ごめんなさい。〉
「あとは俺がする。これは月に送るか?」
俺は頭を横に張った。
「気をつけて帰れ」
急いでドアを開けた。
途端に月明かりが陰ると、真っ暗な洞窟だけになった。
あの毛むくじゃらもいなかった。
お礼を言い忘れたなー。
懐中電灯を点け洞窟の外に出ると、コケて伸びたカンタが倒れていた。
「カンタ!大丈夫か!?」
「んへ?…っわ!!お化けは?妖怪は!?」
「どっかに行ったよ。」
「洞窟のドアは?どうなった?」
「後で話すよ。さぁ、まず帰って謝ろうぜ。」
タオルを水で濡らし、カンタの擦り傷を拭き、絆創膏を貼った。
不完全燃焼でかったるそうにするカンタ。
来た時よりも薄暗さが増した森なのに、不思議と最初の怖さがなかった。
背面に今は何もはへばりついていない。
振り返ると、手を振る毛むくじゃらがいた気がした。
お母さんには「お互いの家に行っていない、川辺でサッカーをしていた」と話した。
また嘘をついてしまったけど、心配かけたくなかったから。
怒られてる時、じーちゃんの遺影を見ると、なんだか笑ってる様に見えた。
後で聞いたが、カンタもこっぴどく叱られたそうだ。
2554文字
-------------------------
今回初めて、片桐みかんさんのお題に参加させていただきました✨
【第28回】3つのお題に空想のひらめきを
レベル1の月影の郵便局
なんか、とてつもなく長くなってしまったことに反省。
言い訳として、他のお題も書いたり本業あったりで時間がなくて…😭
でもいつも様に楽しく書かせていただきました!ありがとうございます✨
期日がわからなかったけど、投稿〜🔘
🔽他の方のお題で書いた投稿分です。
よかったら覗いてください👀✨
いいなと思ったら応援しよう!
応援お願いします📣✨
いただいたチップは、クリエイター活動費(勉強の為の本の購入、一息つく為の珈琲代等)として使用させていただきます💕