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異世界ミートリア 【第5話】③チキンと、王国を支える人たち


【前回のあらすじ】

肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。

しんりん商店の裏食堂で、ベルまめちゃん、灯ちゃん、チャラ兄さんと再会したタカーズ。和やかな空気の中、灯ちゃんから気になる話を聞く。
「ムダニクスは、これまでに十七回、世界を壊して、また作り直しているらしい」
もし本当なら、十八回目が、今なのかもしれない。
たかっち社長の言葉に、テーブルの空気が静かになった。

これまでのお話はこちらから
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第5話

③チキンと、王国を支える人たち



裏食堂のテーブルには、
まだ少しだけ静かな空気が残っていました。

「十八回目」という言葉が、
みんなの胸の中で、ゆっくりと沈んでいきます。

その静けさをほどくように、
厨房の奥から、じゅうっと肉の焼ける音が聞こえてきました。

ふわりと広がった香ばしい匂いに、
ヒロパンダの鼻がぴくりと動きます。


「……この香りは」


ヒロパンダが、まばたきもせず厨房のほうを見つめた、そのときです。


聞き覚えのある力強い声がしました。


「お待たせしましたーー!」



振り返ると、
たくましい体格の男性が料理を運んできました。


「TETSUさん!」


ヒロパンダが、
思わず立ち上がり声をあげます。


TETSUさんは、
力こぶを見せながら、にっこり笑いました。

「おう、肉友! 久しぶりだな。」

たかっち社長は、
運ばれてきた皿を見て、目を見開きました。

「……チキン? 鶏肉、ですか?」

「そうだ。鶏肉が食べられるようになったんだよ」




TETSUさんは、
焼きたてのチキンをテーブルへ置きます。

みーちゃんPが、驚いたように声をあげます。

「封印が解けてるの……!?」

「最近、少しずつ王国で食べられる肉が増えてるんだ。豚肉の封印が解けてからは、特にな」



湯気の立つチキンを前に、
ヒロパンダはごくりとのどを鳴らします。

「肉友と肉に感謝!
これは、いい流れだぞーー!」


ヒロパンダは、
久しぶりの骨付きチキンにかぶりつきました。

肉を語ることさえ忘れるほど、夢中で頬張っています。



そのとき、
裏食堂の入口の鈴が、からんと鳴りました。

「いらっしゃいませー!」

灯ちゃんが、元気よく出迎えます。

入ってきたのは、
うめこさんと、もちちゃんでした。

もちちゃんが、やさしく頭を下げました。

「こんにちは。いい香りがしますね」

「うふふ、みなさんも来てますね」

うめこさんが、
タカーズのテーブルに気付きました。



灯ちゃんは、笑顔で言いました。

「お席、相席でいいですか?」

「もちろんです!!」

ふたりは、
タカーズのテーブルに案内されました。


テーブルの上には、焼きたてのチキン、
湯気の立つほうじ茶、
そして、みんなの声が集まっていきます。


しんりんさんが、
その光景を見て、ふふっと笑いました。

「にぎやかでうれしいよ。
裏食堂は、こうして誰かの声が集まる場所だからね」

あたたかな笑い声が、
木の壁にやさしく広がります。



しんりんさんがお代わりのお茶を運んでくると、
たかっち社長が、穏やかに言いました。

「このまま、ムダニクスは消えていくのでしょうか」

「封印が勝手に解けてるのは、たしかにいいことだよ。けどね、同時にムダニクスを慕う人たちの声も、前より強くなってるよ」



チャラ兄さんが、
テーブルにそっとグラスを置きました。


「ま、みんな腹の中に抱えたまま、黙ってられんってことやな」

灯ちゃんも、小さくうなずきます。

「表の店の棚、見る人によって、ぜんぜん表情が違うんです。ほっとした顔の人もいれば、こわい顔の人もいて……」


みーちゃんPは、そっと目を伏せました。

「同じものを見ても、感じ方は違うよね」

まきマネも、静かにうなずきます。

「想いは、ひとつじゃない……よね」


ヒロパンダは、
手にしたチキンを見つめながら、いつもより真剣な顔をしました。


「肉は、戻ってほしい。
だが……取り戻し方を間違えてはならないのかもしれん」



TETSUさんは、豪快に笑いました。

「大丈夫だ。ちゃんと食べて、ちゃんと話せば、筋肉とも強く分かりあえる!心も同じだ!」

「えー! 筋肉でまとめたーー!」

まきマネが、すかさずツッコむと、
テーブルにまた笑いが広がりました。



まきマネは、
みんなに眠れない森での出来事を話しました。


ヒトちゃんが、
眠れない人たちの気持ちに気づいてくれたこと。

右近さんが、
言葉にならなかった想いを、そっと言葉にしてくれたこと。

みんなの想いが重なり、重たい石の蓋が開き、
森鹿の干し肉の封印が解けたこと。


うめこさんは、安心したように微笑みました。


「うふふ。眠れない森は、ヒトちゃんと右近さんがいるので安心ですね。
王国の人たちの健康状態も、良くなってきているんですよ」


みーちゃんPが、嬉しそうに言いました。

「うめこさんが、未病に気づいて、早めに手を打てくれたからだね」

もちちゃんも、にこっと頷きます。

「みんな、ほっとできる時間が増えたみたいです」

ベルまめちゃんは、湯のみを両手で包みながら、やさしく言いました。

「うめこさんや、もちちゃんの活動が、
王国のみなさんを安心させてくれているんです」


「……みんなすごい」

誰かが気づいてくれる。
誰かが言葉にしてくれる。
誰かが見守ってくれる。


それぞれの場所で、
王国を支えている人たちがいる。

まきマネは、思わず胸が熱くなりました。



そう思った、そのときです。

店の表から、ざわざわとした声が聞こえてきました。


しんりんさんの耳が、ぴくりと動きます。

灯ちゃんも、お盆を抱えたまま、入口のほうを見ました。

「……表のほう、なにかあったみたいです」


あたたかかった裏食堂の空気がざわめきました。

✨第5話④へつづく✨


📋️まきマネの覚書 

5話③:2,022字 
現在の物語:47,641字 

創作大賞 エンタメ原作部門
〆切まであと⏰6日!

SPECIAL THANKS
TETSUさん

熱い心と鍛え抜かれた体を持つ、頼れる炎の筋肉シェフ。
肉をていねいに焼き、人の元気を食から支える、
ミートリア王国では、しんりんさんの裏食堂で厨房の手伝いもしている。
豪快に見えて、料理にはまっすぐ。
「まずは食べよう」の気持ちで、
腹ぺこの人にも、疲れた人にも、あたたかい料理を届けてくれます。
筋肉とやさしさをあわせ持つ、王国の“元気の火種”のような存在です。

TETSUさん!骨付きチキンだよー😆✨🍖!
出演ありがとうございました💕

#創作大賞2026
#エンタメ原作部門

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#異世界ファンタジー
#連載小説
#創作




(NGイラストです)
しんりんマスターが
TOMOさんみたいになった✨


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