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「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」を解明せよ――自閉症息子くんと教員パパの言葉を超えた冒険記

【謎の呪文との出会い】ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー


「ただいま~」

仕事から帰ってきた僕は、お気に入りのソファーに座っている息子くんの目の前まで行って、ゆっくりとした口調で伝えた。

大好きなソファーでくつろぐ息子くん


まだ何を言われているか分からないのか、息子くんからは返事がこない。

だから僕は、

「おかえり~」

と、これまたゆっくりと息子くんの目の前で伝える。

すると、それを真似して

「おかえり~」

と息子くんから返事が返ってくる。

これは、僕と息子くんが毎日続けているルーティーン。
この毎日の積み重ねの先に、いつの日か「おかえり」の返事が出来るようになるって信じて、毎日取り組んでいる。

いつもはここで終わり。

だけど、この日の息子くんはまだ続きがあった。

「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」

と謎の呪文を発する。

「えっ、何それ? もう1回言って!」

僕は人さし指を大きく突き出し、「1」の指の形を息子の目の前に作って、ゆっくり伝えた。

すると息子くんは、

「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」

ニコニコでもう1回伝えてくれたんだ。

「ぽぴー、ぽぱー、ぺぱぴー、ぱー、ぷー、、、」
「ぽ、ぴー、ぽぱーぺぱ、ぴー、ぱーぷー、、、」

どこがこのコトバの区切り何だろう、、、

いや、もしかしたら1つの言葉で区切りが無いのかもしれない、、、
いやいや、もしかしたらそもそも意味なんてないのかもしれない、、、

いやいやいや、、、
ちょっと待てよ、、、
意味は必ずあるはずだ、、、

だって、このコトバを叫んでいる息子くんは
ずっと楽しそうにニコニコしているんだよ。

でもね、、、
どれだけ考えても、、、
分からない、、、

「どういう意味? わかんないや、、、ごめん」

息子くんに伝えた。

僕は職場の学校でもいつも同じ状況に陥る。

生徒たちからいろんなコトバが出てくるたびに、必死に考えるけど分からない。

だから、自分のこれからのためにも、僕はこの時に強く決心したんだ。

息子くんのこの謎のコトバを必ず解明してみせるぞって。

ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー


【はじめの第1歩】ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー


次の日も、その次の日も、息子くんは僕に謎のコトバを伝えてくる。

だけど、やっぱり意味がわからない。

なにから始めようか、、、
今僕ができること、、、

とりあえず、息子くんの気持ちをわかってあげたいと思って、必死に考えた。

思いついたアイディアは、

「聞いたままを、そのままのリズムで、そのままの抑揚で繰り返す」

という手法。

実はこれは僕がよく使う手法。

例えば、息子くんはよくこんな姿勢になる。

息子くんの得意な姿勢。どんなところでも下からモノを見上げる。

なんでこんな姿勢になるか意味が分からなかったから、僕もいったん全く同じ姿勢になってみることにした。

不思議なもので、同じ姿勢になるとなんとなく息子くんの気持ちが分かってくる。

下から見上げるモノは、どんなモノもすごい臨場感に溢れている。

息子くんはこの臨場感を楽しんでいるにちがいない。

だから、今回も同じ手法を使ってみた。

とりあえず息子くんと同じコトバを発してみて、息子くんと一緒に楽しむことにした。

「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」

おっ、またニコニコで言ってるぞ。

じゃあ僕も

「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」

って全力で息子くんに伝えてみた。

それを聞いた息子くんはとーっても大笑いしてくれた。

なんだか気持ちが通じ合ったみたいで、僕も嬉しい気持ちになった。

意味が分からなくてもこうやって通じ合える。

息子くんは、言葉を理解するよりも、もっともっと根っこの部分で大切なことを伝えてくれている気がするんだ。

とりあえず、数日間この作戦を決行した。

何回も何回も息子と繰り返しているうちに、1つ分かったことがあって、何かっていうと、、、このコトバの区切り方。

なんとなくの感覚だけど、息子くんは「ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー」という3つの区切りを作って、謎のコトバを唱えているんだ。

ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー


【あすぱら家一致団結】おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー


どうやら息子くんは、僕だけでなく、中3長女、小6次女、そして、ママにも同じことを言っているみたいだ。

このコトバについて、特に家族全体で共有はしていなかったんだけど、それぞれやっぱり息子くんのこの謎のコトバに注目していたらしい。

僕の家族はみんな息子くんのことが大好き。
だから、自然とこうやって同じコトバに注目している。

さてさて、そんな中、家族全員で出かけた日のこと。移動中の車の中で、自然と息子が発する謎のコトバの話題になったのである。

長女が
「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」
と言いながら、息子くんと遊びはじめた。

長女が
「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」
と言うと、息子くんもニコニコで、
「ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー」
と返事をする。


その光景を見て、僕は長女に伝えた。

「そのコトバ、前からパパも気になっててん。何て言ってるんやろうな?」

と聞くと、

「えっ、“おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー”やん!」

と答えてくれた。

「それどういう意味かわかる?」

って聞くと、

「分からん。でも息子くんが楽しそうやから。それだけでいいやん!!」

と返事が。

僕はこの長女の返事に少しドキッとした。

だって、確かにそれでいいじゃんってなっちゃったから。
あんまり深い意味は考えなくても良いのかもしれないなって。

長女は何回も何回も繰り返して、息子くんと遊んでいる。
そして、息子くんもまたとても楽しそうなのである。

「それだけでいいやん」

この長女の発言はとても深い。
長女には息子くんの障がいのことを具体的に話したことはない。
だからといって良いのかは分からないが、長女は弟を弟として見ている。

発達が遅れている子どもとか、、、
障がいがある子どもとか、、、
そんな見方をしていない。

素直に弟が楽しんでいるから、
長女にとってはそれで良いのである。

それでいいんだよ。
いや、むしろ、
それがいいんだよ。

何だか幸せな気持ちになれた。

でもね、僕の謎のコトバの解明への気持ちは変わらない。

だから、運転をしながら、そんな長女と息子の謎のコトバの応酬をしっかりと聞いていた。

すると、あることに気づいた。

あれっ、僕と少しちがうんじゃないか、、、

「ねぇ、何て言ってるの?」

僕は長女に確かめた。

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

えっ、、、
ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー、、、

もう一度長女に確認した。

「“ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー”じゃないん?」

すると、長女は

「ちがうよ。おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

あれっ、やっぱりちがう、、、

ということで、こうなってしまったからには、あすぱら家全員の緊急家族会議である。今回は車の中での緊急会議が開かれた。

議題は、息子くんが何と言っているか、、、

しばらく話し合って、結論が出た。
なんと僕以外のメンバーは、

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

だったのである。

これを確かめるために、長女が息子くんとまた遊び始めた。

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

と長女が言うと、

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

と息子くんは繰り返したのだ。

僕は思い込みをしてしまっていた。

息子くんの謎のコトバと出会った時、息子くんの発音もしっかりと聞かず、

「ぽぴーぽ、ぱーぺぱ、ぴーぱーぷー」

と思い込んでいたのである。

なんと、息子くんが発していたコトバは、

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

だったのだ。

こんな感じで、僕は長女や次女、ママから教えられることも多い。

息子くんが発しているコトバを理解するのに、息子くんの発音をしっかりと聞かないで、どうやって理解するんだろうか、、、

そんな当たり前のことを、僕に気づかせてくれたのである。

そしてそして、改めて感じたこともあった。

息子くんはいつも僕たちの家族の輪の中心にいてくれる。
息子くんの存在で、家族は一致団結する。
息子くんの存在が、家族に笑顔を届けてくれるんだ。

僕の家族、ステキな家族でしょう!?笑

おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー


【最大のヒント】おにーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー



長女は「楽しいからそれでいいじゃん!」ってなってたけど、僕の決意はやっぱり固かった。

どうしても息子くんが発する謎のコトバの意味を解明したい。だから、その後もずーっと息子くんを観察し続けた。

ある休日の朝のこと。

朝からいろんな本を広げで読んでいる息子くん。

息子くんが寝室からリビングに降りてきて、いつものごとくお気に入りのソファーでリラックスしながら、お気に入りの本をながめている。

そんな朝の息子くんをそーっと眺めているのが、僕の休日の朝の癒しの1つ。

息子くんの様子を見ていると、突然あのコトバを言い出した。

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

おっ、またこのコトバだ!!

「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」
「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」
「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー」

いつになく何度も何度も繰り返している。

いつもと少し様子がちがうなぁ、、、

あれっ、本を見ながら言っているぞ、、、
何の本をみているんだ?

「あいうえお」の絵本か、、、

どこのページを見てるんだ?
「お」のページかぁ、、、

たしかこのページは「お」のつく言葉として「鬼」が描かれていたよなぁ〜、、、

鬼、、、

おに、、、

おにー、、、

おちー、、、、、、

もしかして、、、

“おちー”ぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー

“おちー”って、「鬼」のことなのかもしれない!!

僕の諦めない心が、この日、ついに最大のヒントに出会わせてくれたのである。

“おにー”ぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー



【謎の呪文の解明】おにーの、パンツは、いいパンツー



最大のヒントをもらってから解明までは、意外と時間がかからなかった。

僕は早速ママに共有した。

「“おちー”って“鬼”のことじゃないかな? 今朝、鬼のページを見ながら、“おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー”って繰り返しずっと言ってたんだ」

するとママが突然、

「鬼かぁー、、、“おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー”、、、もしかして、“鬼のパンツ”ちゃうん!?」

鬼のパンツ!!
鬼のパンツだと!!!!

おちーぽ、、、
おにーの、、、


ぱーぷぱ、、、
パンツは、、、


ぴーぱーぷー、、、
いいパンツー、、、

確かに、、、
リズムも、音程も、抑揚も、、、
ピッタリ当てはまる、、、


これだ、、、!!
これだーーー!!!

ついに見つけたぞ!!!!


どうやら、息子くんが通っている児童発達支援センターでよく歌っている歌らしい。

早速YouTubeを起動して、「おにのパンツ」と検索。
息子くんの目の前で、童謡「おにのパンツ」を流してみた。

おにーの、パンツは、いいパンツー
つよいぞー、つよいぞー

息子くんはニコニコ笑っている。


そしてついに、、、


「おちーぽ、ぱーぷぱ、ぴーぱーぷー、うおいおー、うおいおー」

と歌い出したのである。

ついに、、、

ついに、、、

ついに、解明できた!!!!


おちーぽ(おにーの)、
ぱーぷぱ(パンツは)、
ぴーぱーぷー(いいパンツー)

YouTubeを見ながら、
ニコニコで、
とっても上手に息子くんは歌っている。
とっても楽しそう!!


、、、、、、


この時の僕はって?

なぜかとても感動して、、、
泣きそうになっちゃいまして、、、



息子くんが発した謎のコトバ。
「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」。

このコトバがあったから、
僕は息子くんと笑顔になれた。

このコトバがあったから、
家族みんなが笑顔で一致団結した。

このコトバがあったから、
僕は家族から新しい気づきをもらえた。

このコトバがあったから、
息子くんの大好きなことを知れた。

このコトバがあったから、
僕はもーっともーっと頑張ろうって思えた。

このコトバはね、僕にとって単なる「おにのパンツ」じゃないんだ。

障がいのこと、、、
家族のこと、、、
子育てのこと、、、
教育のこと、、、
人と向き合うっていうこと、、、

僕にいろんな大切なことを伝えてくれている魔法の呪文。息子くんはね、こうやっていつも僕を原点に戻してくれるんだよ。

では、最後に息子くんの今のお気に入りの絵本を紹介するね。

「おにのパンツ」の絵本、購入しちゃいました!笑


もちろん、「おにのパンツ」!
家の中でずーっと手放さないで持ってるよ。
息子くんらしく、下からの臨場感のあるアングルも楽しんでる。

おちーぽ、
ぱーぷぱ、
ぴーぱーぷー

うおいおー
うおいおー

今日も息子くんの声がリビングに響き渡っているんだ。



編集後記


おはようございます、こんにちは、こんばんは。 あすぱら先生です。

僕は、「知的な遅れを伴う自閉症の息子を持つパパ」であり、「特別支援学校の先生」でもあります。

名前の由来は、娘たちに 「パパってアスパラガスみたいなシルエットだね」 と言われたこと。 それが妙に気に入ってしまって、この名前で活動しています。

僕の家族は、妻・長女(中学生)・次女(小学生)、 そして2024年に自閉症スペクトラムの診断を受けた 長男(5歳)の5人家族。

息子との出会いをきっかけに、 15年間勤めた地域の公立中学校から特別支援学校へ転身。 現在38歳、新しい挑戦の真っ最中です。

僕には夢があります。

それは、

息子が将来大人になった時に、
息子が個性を輝かせて、
息子自身でお金を稼いで、
確定申告をすること。

息子と同じような境遇の子どもたちが大人になった時に、
僕たちと同じように個性を輝かせて、
僕たちと同じようにお金を稼いで、
僕たちと同じように確定申告をすること。

だから、特別支援学校という場所で息子と同じような子どもたちと過ごすことを選択しました。そして、知的な遅れを伴う自閉症児のパパとしてnote、X、Threadsで毎日僕の日常を発信しています。

今回の記事である、

「ぽぴーぽぱーぺぱぴーぱーぷー」を解明せよ
――自閉症息子くんと教員パパの言葉を超えた冒険記

は、この「アスパラガス通信」で記録してきた1つのエピソードをもとに作成しました。

このエピソードには、僕が教員として、親として、子どもたちとどう接するべきかについて大切にしていることが詰まっています。

・息子の何気ない一言に向き合う姿勢
・コトバの意味が分からなくても通じ合えるということ
・一人の息子について家族みんなで考えるということ
・息子が家族に笑顔を届けているということ
・時間はかかるけど向き合うことで、息子を理解することができるということ。

これらは障がいの有無に関わらず、全ての子どもたちにも共通して言えることですよね。

息子は、こうやっていつも僕に語りかけてくれるんです。
そして、僕を原点に戻してくれる。

知的な遅れを伴う自閉症息子くん。
僕はこれからもあなたを見つめつづけるよ。
夢を叶えるために全力でがんばるよ。
そして、あなたがいてくれて本当に幸せだよ。

ありがとう。



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あすぱら先生|自閉症児パパ×支援学校教員
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現在、各SNSで「自閉症息子とパパ先生のリアル」を発信中。 まだまだ試行錯誤の「未完成」なアカウントたちですが、一歩ずつ育てています。 ぜひ、あすぱら先生の挑戦を覗きにきてください!

息子が大人になった時に、少しでも社会が広がっていますように!!
応援よろしくお願いします!!
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