短歌まとめ①
短歌、はじめました。
最初の100首
雑踏で混ざった誰かのイヤホンに流れてほしくて選ばれた曲
香水も聞いてる曲も届かないその書き文字を忘れられない
君にしか分からない名で僕を呼ぶ呪いがほしい祈りでもいい
鴨川もきみのバ先もない世界それでも地下は圏外になる
雨降りの海を見るため集まった傘もささずに睫毛を見てる
お揃いとはしゃいだ記憶のあの街で濡れないままの泣きぼくろたち
親友が旧友になるだってほら髪の長さも知らないでしょう
新横の届かない空泳いでく新京都にも同じ三日月
西の空降りるオリオン白い息世界を明日から春と呼ばせる
今世でもソメイヨシノになれなくて愛の分だけ咲いてみたくて
自転車をみっつ並べてあか・き・あお わたしたちまだどこでも飛べる
届かずに弾けて消えた「だいすき」のその刹那だけ鳴るファンファーレ/片思い
君の部屋いつも青くて澄んでいる朝日の照らす寝顔を見てる
だいだいの君の睫毛の眩しさをたぶん西日も愛して光る
春風はこの大地さえ空にするたとえば君が許さなくとも/ネモフィラ
足跡を追って育ったふるさともかつて知らない街だった母/母
のぞみなら二駅先の君の街エスカレーター右側空ける/遠
ゆびさきで瞬き辿る物語この世界でもふたりぼっちだ/星座
こんにちはフラペチーノもない町でワンと鳴いてる着飾った犬/スタバ
この町ときみとを繋ぐ永遠のその両端に終わりがあること/線路
レジ前で一応はずす右耳がわたしを世界とひとつにさせた/イヤホン
鈍空もよく知るはずの横顔も他のだれかが染めてしまった/紫陽花
車窓から歩いてる人は見えなくて住人みんなロボットのまち/新幹線
短辺にきみを住まわせ二乗する直角ならばふたりになれた/概念
のぞみなら二時間先の新京都きみの知らない三度目の夏
太陽のあくびの分だけ逃げた夜カフェインがわりのよいミステリを
きみは今何を思って生きてるのオーケーグーグル、秘密にしてて/Google
読みたくて選ばれたはずの一冊が積まれたままでこれは救いで/本棚
青いそら天気予報は傘模様60パーで会えなくていい/%
無機物に向ける視線のやわらかさ羨ましくて喋れずにいた/ぬいぐるみ
来世ではダイヤモンドになりたくてたとえばあえて削られてみる/鉛筆
とりあえずいつも行ってたカラオケでDAMチャンネルに近況聞かす
ひとくちのチョコを残してCにする欠けた分だけふたりになった/ドーナツ
微笑みも本物なれば常闇で落とした羽根にきっと気づいた/悪魔
造られた神に仕える日常も満員電車もきっと宿命/ドラクエ
はちゅうるいぎょるいちょうるい分類のその恣意性に怒ってもいい
駅前に街灯もないこの町の寂れたイオンできみと生きたい
午後八時東京向かう自由席それぞれに待つきみ。きみ、その他。
「愛してる」がわりに届くきみの月おこがましくもこの街は雨
水色に祈りを込めたペンライトどうか届いて永遠でいて/アイドル短歌 出会い
この日まですこし遠くで光ってたきみは笑顔も上手になった/アイドル短歌 最終日
あの箱で初めて聞いて泣いた曲Spotifyしか覚えていない/アイドル短歌 思い出
来るたびに第ニ象限分からずにGoogleマップを逆さまにする/交差点
ひとまずで吊ったカーテン引きずって誰のものともまだ呼べぬ窓/カーテン
夏、紅茶、輪切りレモンを浮かばせるそのときにだけ思い出すひと/レモン
西の空ベテルギウスを見つけても向日葵畑が夢と知らせる
願わくば永遠でいて醒めないで魔法も解かす秒針、午前。/針
雨上がり家族ラインに虹の写真わたしに見せるために撮られた
マンションの窓の明かりのバラバラのそのそれぞれに住むわたし、たち
住む町の知らない家のベランダにあの子も着てるたぶんユニクロ
おとといの視力の空箱/残骸を朝と夜とにそれぞれ捨てる
あつまって戯れ言とばす横顔のふたりのときはしない横顔
五月雨のインターネットの踊り場に風が薫って西陽を揺らす
玄関にわたしのための花束と倒れたままの透明な傘
圏外で知るトンネルの長いこと LINEが止まるぼくは進んで
最寄駅知らない小道の街灯に脇役さえも許さない青/紫陽花
この夏のはじまりだった紫陽花がその浴衣にも咲いて涼風/紫陽花・鴨川左岸
梅雨晴れの西陽が愛すウエルシアきみが来るから苺のアイス
手のひらをふたつ重ねて帰る町まだひとつには馴染まなくても
二月、まだ何者にでもなれたころWALKMANだけが音楽でした/鴨川左岸
やさしさも嘘だと言ったその声の震えたことを覚えています
溶けてゆく境界線は水溜まり混ざりきらない声だけ響く
夏生まれ犬派のきみに敵わないチ、ヨ、コ、レ、イ、トと駆け上がってく/鴨川左岸
煌めきも触りたかった首筋も踏めば赦すと天は言えども
病院で16ミリのネジになる全員どこか不自然なまま/鴨川左岸
旅人の知らない光切り取ってカメラロールに一筋の雲/鴨川左岸
見えることだけを取り柄にしたタワー独占すべく建つレジデンス/鴨川左岸
徒歩圏の大垣書店の文庫二位たぶんわたしも貢献してる/鴨川左岸
切り取れるフイルムだけがない町で流れるだけでいられない川/鴨川左岸
色褪せてなお羽ばたいた万国旗かつてだれかの願いを乗せた/鴨川左岸
パブロンは苦くてちゃんと市販でも大丈夫になる、おやすみなさい/鴨川左岸
もういない人の手紙のお返事に今なら好きと書けるだろうか
水出しの薄い麦茶に慣れたときふたり暮らしはAメロになる/麦茶
ポケットでトランシーバー響かせてポケットだけが聴くメッセージ/お店屋さん・ポケット
屋上の駐車場から街を見るバレない程度の息抜き散歩/お店屋さん
すみませんそこになければと告げるときあって欲しいと祈っています/お店屋さん
大粒を噛み砕いても定時前 ラムネの残機先に尽きそう/ラムネ
この街のはじまりの日に見た「令和」取り残されてこの町で寝る/はなむけ
新しい街を光と呼ばすから新月さえも味方するひと/はなむけ
餞別に好きそうなもの選ぶとき見送る側はいつもさみしい/はなむけ
六月の三十一は空いてると笑むひと生きる七月一日
おさんぽの首輪光らせシベリアン犬にとってはお祭りの日々
生傷も勲章だった校庭で春一番が背中を押した/傷
まっすぐに帰れる光眩しくてまたねのあとに振り返らない
サングラス越しいつもより思い出の色濃い駅前なのに眩しい
街角の同じ香りで思い出す振り返っても返っても空
好きというこの信仰は滑走路やがて光となって飛び立て/アイドル
指先に視線に声に惑わされ何等星でも太陽とする/アイドル
七月のチキトントンの町を抜け弛む風ごと攫う雷鳴
車窓から眺める街の電線をのぞみの速さで駆ける幻影
満開の桜に気づかず俯いた夢見る少女を諦めた日に/Lucid Dream (明晰夢)
空まもる航空灯に惑わされ絨毯乗って会いに行きたい/Lucid Dream (明晰夢)
チェシャ猫が嗤うみたいな月を見て笑ってみても迷子のままで/Lucid Dream (明晰夢)
Bless you, まだかみさまのいる町でうわさ話もフィクションでした/Lucid Dream (明晰夢)
(鐘が鳴る)青いドレスの似合わないヒロインにさえ終電が来る/Lucid Dream (明晰夢)
歌声も愛する人も選べずに泡となるから六月は雨/Lucid Dream (明晰夢)
この夜に一番星となれるなら毒林檎さえいただきましょう/Lucid Dream (明晰夢)
しあわせの行き着く先を探すので山手線も銀河へ飛べる/Lucid Dream (明晰夢)
色欲の打ち上げ花火見下ろして摩天楼ごと消し去る贖罪/Lucid Dream (明晰夢)
眠そうで読みかけの本閉じるときハッピーエンドがありますように/Lucid Dream (明晰夢)
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