#09 子宮筋腫腹腔鏡手術当日②
前回は手術日当日の朝~術後までのお話をしました。今回は術後の目覚め~長い長い一夜のお話です。
人生初めてのナースコール
術後の目覚めはぼんやりしていた。
映画やドラマで、主人公が目覚めるシーンがある。ピントがぼやけ、だんだん焦点が合っていく演出があるが、まさにそれ。
予定通り9:00から手術が始まり、今は病室に居る。一度目が覚めたが、すぐまた眠ってしまって、夫が居る気配も無いし、今が何時だかも分からない。
後にわかったことだが、切除した筋腫の取り出しに時間がかかり、手術が終わったのが16:30で、病室に戻ってきたのが17:00だったらしい。
3~4時間ほどで終わる予定が7時間半もかかってしまったようだ。
夜明けへのカウントダウン
看護師さんが何か言ってる。
「今時刻は夜の10:00です」と聴こえた。
定期的に血圧と体温、点滴の進み具合を確認しに来てくれているようだ。
スマートフォン枕元に置いとくか聞かれたが、とても画面を見る気分では無かったので断った。
左腕には点滴、左手には痛み止め装置(痛い時に自分で押す装置)、右の手の甲にも点滴、右手にはナースコール、両足には加圧フットポンプ。
口元には酸素マスク、お腹からは管がぶら下がり、おまたからは導尿カテーテル。
寝返りをうちたかったが動けなく、目を閉じで、ただただ朝を待つしかなかった。
心配していた全身麻酔後の悪心がなかったのはよかったが、酸素マスクが息苦しい。
またしばらく眠りについていると、物凄い暑さと汗で、目が覚める。熱っぽかった。ここで思いきって人生初めてのナースコール。
「どうされましたか?」
ナースコールに繋がっている小型スピーカーから声が聞こえる。あぁ、すぐ駆けつけてくれる訳ではないんだ。喉が痛くて声が思うように出なかったが、絞り出すように声を震わす。
「あの…暑くて…」
すぐに看護師さんが来てくれて、布団を1枚剥いでくれた。それでも暑くて、弱めに冷房をつけてもらい少し楽になった。
また少しすると、血圧と体温チェックのため看護師さんが来てくれた。
あぁやっと朝がくる。水が飲めると思いながら、「おはようございます」と声を振り絞る。
「まだ寝てて大丈夫ですよ」
「時刻は夜の11:00です」
ん?11:00!!??
あれからまだ1時間しか経ってないの?嘘だ嘘だ。
私だけ時を止められたような気分だった。
途中お腹の鈍痛で3~4回くらいは痛み止のボタンを押した記憶がある。足元の「シューシュー」っていうフットポンプの定期的な音と、看護師さんの巡回もあり、度々目を覚ましていた。
ただ、起き上がることは出来ないし、水も飲むことは出来ない。これを書いていて思い出したが、どこかのタイミングで看護師さんに額を拭いてもらった記憶がある。
S字フックに掛けていたミニバックの中に、顔用の汗拭きシートがあるので、それで拭いて欲しいと伝えた記憶が蘇ってきた。
頭が痛くなってきた。きっとまだ熱がある。ぼんやりとする意識のなか、巡回に来た看護師さんに「おはようございます」と言ってみた。
「時刻は2:00です」
……絶望の返事だった。
一番辛かったのは寝返りがうてず、暑くても動けず背中ムズムズ、腰は痛くなったことかな。
赤ちゃんが、抱き上げると泣き止む気持ちを少し理解できた。私も誰かに抱き上げてもらいたい。

そのまま浅い眠りを続けていると、ほんのり外が明るくなってきてることに気がついた。
夜明けだ。
頑張れ私、もう少しの辛抱だ。希望の光だった。
巡回に来た看護師さんに声をかけた
「おはようございます」
すると柔らかい笑顔で応えてくれた
「おはようございます」
