WAIS-IVの「知能指数の高さ自体に意味はない」と言われる理由は、ボリュームゾーン外の人間の知能を正確に測定できないからだと実感した話

先日、WAIS-IVという心理検査の結果が返ってきたので、いろいろ考察していこうと思う。

※私は心理士でも医者でもなんでもない。専門外のことを素人目線で言っているという前提で、あまり真に受けずに記事を見てほしい。


筆者の話

まず、この記事を書いている人間について、簡潔に話をしていく。

私はこれまで変わり者ではあっただろうが、他の人とそんなに変わらない至って普通の人間だと思って生活していた。しかし、大人になってから、自分の集中力の高さを制御できず、それに伴い疲れを感じにくくなることによって体調を崩すなどにより、多少の生きづらさを感じていた。

この生きづらさを解決する手掛かりをつかむためにいろいろ模索をしていたところ、つい最近になって心理検査というものがあることを知った。心理検査のことを調べつつ、オンラインで受検できる多少信頼性の高めなテスト(Full Scale IQ TestMensa Norway IQ Testなど)を受検したり、高IQの特性について調べるうちに、私は普通よりもかなりIQが高いだろうことが分かった。参考に、オンラインテストの結果を以下に示す。

  • Full Scale IQ Test

    • Memory IQ: 147

    • Spatial IQ: 146

  • Mensa Norway

    • 142

どのテストもほぼ測定上限付近の値が出ている。オンライン上のテストを信頼することはできないが、それでも私が普通ではない可能性は感じられる。

また、過去の経験から考えても、私の記憶力や物事を理解する能力が相当高いことが予測できる。むしろ、そう考えないと説明がつかないことが多い。以下はその経験のうち、他人にも説明しやすい例を挙げる。

  • 中学校までは授業を真面目に聞くだけで良い成績を取っていた

    • 定期テストで平均8割前後。数学の実力テスト1位など

  • 授業を聞く以外の勉強法を知らないまま高校に行き、勉強で挫折し浪人。その後、予備校で勉強の方法から教えてもらって物事の考え方の型を理解し、それにより半年弱で筆記模試の成績が大幅に向上

    • 筆記模試で、数学・物理・化学の偏差値が65前後。(前年度の同じ時期の模試は偏差値52-3くらいだった)

また、私から見ても明らかに頭のリミッターが外れている人と知り合い、意見交換をするうちに、私自身もそちらに属する人間だということに気付くことができた。(過去記事の「社会人(3年目まで)」の章を参照)

ということで、私の知能は少なくとも普通の域を超えており、それに起因して何かしらの生きづらさを感じている状況だということは、ここまでの状況証拠により確信できるレベルにまで達していた。それを踏まえてWAIS-IVの結果を見ていく。

WAIS-IVの結果

結論から話すと、私のFSIQは125だと言われた。知覚推理は全ての下位検査を満点で終えた自信があり、時間制限のある積木模様も最大10秒程度で正答しているはず。ミスがあったとしてもパズルで1問だろうという感覚があったが、その知覚推理の値ですら128だった。

ちなみに、各下位検査の素点は公表してくれなかったので、何がどれだけ点数を取れたかは不明である。

心理検査で何が起こったのかを考えていく。

「だいたい1問ミスだった」という発言の違和感

まず大前提として、ちゃんとした資格を取得した心理士を差し置いて、素人である自分の意見の正当性を主張するつもりは毛頭ない。検査結果や採点自体に文句を言いたいわけではなく、WAIS-IVという心理検査に対する解像度を上げ、正しく理解するための考察を行なっていきたい。

私がフィードバックを受けた時、このデータは本当なのかと一応確認を取った。素点も公表してくれず、正しく検査ができてそうか確認するための判断材料を得られそうになかったが、心理士がぽろっと言った「だいたい1問ミスだった」という発言で、検査結果の全体像をある程度把握することができた。

私は心理検査を受検し終えてから、心理検査の結果を報告している記事やRedditなどを読み漁っていた。その時点である程度分かっていたことだが、ほとんどの下位検査は1問のミスの有無により、4つの知能指数のうち対応する指数の数値が大幅に変動する。特に満点と1問ミスの差は非常に大きい。今回の結果を踏まえて考えると、各下位検査1問ミス程度でも、130すら届かない場合があると推測できる。

WAIS-IVのFSIQや各知能指数の分布は、概ね正規分布になるよう調整しただけのものであり、知能が高いから知能指数が高く出るよう調整しているわけではない

時間制限のない下位検査を1問だけ間違えるケースは2パターンあると考えられる。1つはケアレスミス。もう1つは、本当に分からなかったことによるミスである。後者のミスは知能指数の差に反映されて然るべきだが、前者が知能指数の差に大きく影響を与えてしまうと、正確な知能の測定はできないことが容易に推測できる。

時間制限のある下位検査では、物理的にほぼ不可能な時間設定にすることで、点数獲得を制限しているケースが考えられる。例えば、WAIS-IVでは廃止されているとの情報もあるが、積木模様で10秒以内に解くと追加得点があるという話もある。仮にそれが本当だとして、私が11秒で最後の問題を解いた場合、たった1秒差で追加得点がもらえず、19点満点の素点で18点になったりする。この1秒差が知能差として表れるとは到底考えられない。

上記の考察からわかることは、知能指数が100付近というボリュームゾーンから大きく離れた領域では、正確に知能指数を測定する気が全く感じられない検査内容だということである。物理的にほぼ不可能な難易度設定にすることで正答確率を調整するという、知能の高さに依存しない方法によって、高得点を取れる人間の割合を減らしている。時間制限がない場合でも、たった1問のケアレスミスにより、特に高IQ帯で、4つの知能指数のうち1つが10程度変動するようになっている可能性も考えられる。

WAIS-IVはボリュームゾーンから離れた知能の差を測定する機能を有していない

WAIS-IVという検査は、以下のこと以外は何も分からないものと考えて良いだろう。

  • 知能指数100前後のボリュームゾーンから比較して知能が高いか低いか

  • 4つの知能指数を比較し、極端なバランスになっているかどうか

  • 各知能指数の性質と数値、指数間のバランスから推測できる受検者の特性

多くの記事では、FSIQの高低は知能の優劣を決められるものではないと書かれている。私はこう言われている理由が、倫理的な配慮によるものと、知能のごく一部しか測定できないという検査の性質から来るものだと思っていた。もちろんこれらも理由の一部であることは間違いないのだが、どうやらそれらが一番の理由ではない。

そもそもWAIS-IVは、ボリュームゾーンから離れた知能の差を測定する機能を有していない可能性が極めて高い。それにより、FSIQの値で知能差を語ること自体が無意味であると考えると、全て納得がいく。

高IQという概念自体が非常に馬鹿げた話だということに気付けて良かった

ここからは感想になる。

元々、過集中が生きづらさを感じる原因なのかもしれないと思い、心理検査を受検した。WAIS-IVと同時に受検した発達障害の検査でも、細部への関心だけは飛びぬけて高かったものの、発達障害の特性は見られなかった。また、過集中だと長年思っていたものは実は違っていて、認知能力の高さに起因する高い集中力とその持続力によって疲れがたまりやすくなっていることも分かった。心理検査を受けた本来の目的は十分すぎるほど達成しているので、高い金を払って心理検査を受検した価値はあったと思う。

しかし、自分の異常性がどの程度あるのかという、ついでに気になっていた関心ごとについては、何一つ有益な情報を得られなかった。WAIS-IVが測定できるFSIQの上限は160と言われているが、だからといって160まで正確に知能差を測定できるわけでは全くない。FSIQが正規分布に従うことは事実だろうが、それは知能差によって値を振り分けているわけではなく、正答率を物理的な難易度で無理やり調整して作られている、知能以外の依存性を注入されたある意味いびつな正規分布である。ボリュームゾーンを測定する時は問題が生じないかもしれないが、そこから離れたところになると、途端に知能以外の依存度合いが大きくなる。これを知能指数と呼ぶには無理がある。

正直な話、知覚推理は確実に150を超えていると思っていたし、それによってFSIQも最低145前後はあると思っていた。しかし、実際はそうではなかった。130台が出て中途半端な結果になるより、笑い話にできる分まだマシな結果なのだが、結果を聞いた時の落胆具合はかなりのものだった。

ちなみに、ワーキングメモリについても結構自信があったが、追加で調べたところ算数は時間制限があることが新たに分かった。これによって結構減点された可能性が高い。時間制限があると検査時に心理士から言われてなかったので、ゆっくり正確に答えていたのだが、これが減点対象になったと考えると、やはりWAIS-IVで知能の高さを測ろうとする試み自体が馬鹿げたことだったんだろうと思わざるを得ない。

知覚推理やワーキングメモリの能力の高さを測るという目的であれば、WAIS-IVよりもMensa NorwayやFull Scale IQ Testというオンラインテストを受ける方がまだマシだとすら思う。それほどまでに、WAIS-IVという心理検査が、高IQ帯の能力差を測るために設計されていないことが良く分かった。あくまで、生きづらさの原因を知る目的のためにWAIS-IVを受けるべきである。

どの程度高IQか確かめたいだけの人は、数値化すること自体を諦めたほうが良い

単純に高IQかどうかを測りたい人がいるのであれば、少なくともWAIS-IVの受検はおすすめしない。

人間の知能については1800年代から研究が始まっているようで、多くの研究が行われたようであるが、100年以上経った今でも、自分の知能がボリュームゾーンと比較して上か下かくらいのことしかわからない検査が、世界で一番有名な心理検査になっている。

知能の数値化がそもそも不可能であるため、測定しようとすること自体が無意味である。倫理的な配慮とか、知能のごく一部しか測れないとか、そういう類のこじつけ論ではない。心理検査というものは、本当に知能の差を測定できない代物なのである。

ちなみに、これまでの経験から、私の記憶力と理解力はかなり高い方だと実感しているが、そんな私でもWAIS-IVの総評で「物事の背景や文脈、言葉の意図を読み解くのに躓きやすい傾向がある」という評価を下されたことは明記しておきたい。WAIS-IVの検査というのはその程度のものなのである。そんな特徴が本当に私にあるのであれば、こんな考察記事は書けないだろう。

自分の知能によって生きづらさを感じる場合は、心理検査を受けるほうが良いだろう。実際に私自身も良いフィードバックを受けることができた。しかし、知能がどの程度高いかを調べるような用途で利用するものではない。ちゃんとした目的で心理検査を受ける方が幸せになれる。

余談だが、FSIQの数値自体に意味はないという趣旨の記事を書きながら、その一方でMENSAに入るための診断書を出すビジネスも同時にされている所が多数見受けられる。そのようなしょうもない商売によって、WAIS-IVのFSIQの高さが有能の証明になるという良くないバイアスを生んでいることは、容易に想像がつく。WAIS-IVのような心理検査を受検するのであれば、まともな医療機関で行うことをおすすめする。

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