旅シリーズ3 旅する死体
旅する死体なんておどろおどろしいタイトルだけれど、本当におどろおどろしかったのだよ、ははは……
私は「小銭を持たない教団」の熱烈な信者、もとい教祖と言って過言ではないほど、小銭が出現すると即ATM貯金をするのだ。そう、この記事を読んでいるアナタが知らないうちに教祖誕生したわけだ。
今日もまたキラと光る500円玉を、仄暗い水の底から、ではなくバッグの底から発見。
今夏、冷房ガンガン、扇風機パーピュー、そんな場所で過ごしまくって「なまった体に丁度いいじゃん、ダイエットじゃん」とばかりに、ひと駅歩いてATMまで行った……のが、運の尽き。
舐めてたね、うん、舐めてた。ナーメテーター。
31度を舐めてた。ほぼ天気予報でしか知らない「34度」「35度」を避けていた私は、31度を舐めてたね。摂氏31度、日射熱を勘案すると華氏911度、サウナのロウリュウかよ? と見紛うほどの、日本の夏を舐めてたね。
もう太陽に灼かれて、もはや殺人狂時代だね。汗ですっかりワタクシめの薄化粧も落ちて、東海道四谷怪談状態、死体状態、ゾンビ状態、我が人生最悪の時……ベニスに死す……
かと思われたそのとき! 味方が現れたのであーる。心地よい風が、ささやく木陰が……思わず、私は風に向かって最敬礼した。日陰に向かって斎戒沐浴してからのスライディング土下座した。
が、そんな都合よく自然はできはいない、街は作られていない。風や日陰が続くわけもなく、容赦なくダイハードな牙を剥く。あゝ無情。
私は太陽に腹を立て、怒りのデスロードを歩き、狂い咲きサンダーロードを通り抜け、ようやく目的のATMにたどり着いたときには、血と砂にまみれたような、びしょびしょ昼下がりの団地妻。
汗で身体にまとわりつくシャツをどうにもできず、500円玉をイン。

ようやく、「小銭を持たない教団」の教義を教祖自ら達成した……のも束の間。
私の血が沸々と沸騰し、「汗をかいた後はビール教団」の教祖が誕生したのである。
つーわけで、16時台からホイッ!

ゴク、ゴクリ!

帰りはすっかり酔歩する男ならぬ、酔歩する身体になって、A列車で行こうとばかりに地下鉄に飛び込んだ。
ふう……弱冷房かい!
それにしたって、ビール代プラス地下鉄代で500円が……ああ、太陽に復讐したい。復讐するは我にあり。
つか、セミよ。少し黙っててくれはしないかい?
あ、さてさて。この記事には、映画のタイトルが散りばめられていることにお気づきかな? 幾つあるか数えてもムダだよ。なぜなら、どんどん書き加えてゆくから。
こちらシリーズ4
文:王ケイ
