ガラスのうつわのシリーズ“Letters”のご紹介【プレート編】
イラストレーター兼ガラス作家のアワモトです。
今回は、ガラス作家として今展開しているシリーズについて紹介したいと思います。
以前ここまでの紆余曲折な道のりについても書いておりますので、読んでもらえたらより理解ができるかと思います。
“Letters”シリーズとは

言葉、気持ち、メッセージの要素をちょこんと添えた、ガラスウェアのシリーズです。
ラブレターのようなハートのパーツを溶着した“Love”
一言メッセージのパーツを溶着した“Letter”
2種類があります。
一点一点異なる色合わせや、お皿に書かれた言葉を楽しんで頂き、あなた宛ての手紙を見つけて貰えたら幸いです。
吹きガラスではなく、電気炉で焼成する技法を用いています。
あまり一般的には知られていませんが、原型から石膏型をとり、ガラス粒を詰めて焼成するパート・ド・ヴェール技法をやっています。
ルーツは古代からありますが、一度吹きガラスの登場により消滅し、アール・ヌーヴォー時代にヨーロッパで復活しました。日本で普及してからもまだ歴史が浅いです。
あらゆるうつわの中でも、プレートと小さなステムウェアに絞っています。
単純に佇まいの美しさが好きだからです。
あれもこれも作ろうとすると生産体制が整わないというのもありますが。
ここからは、プレートの自分的なこだわりポイントをご紹介します。
①自分で鋳造した板ガラスを使う
ガラスの原料はいろいろな形状で売られています。
板、粒、棒、パウダーなど。
キルンワークでプレートを作ろうと思うと、
・板ガラスを型に沿わせて曲げる(フュージング)
・お皿の外型に粒状のガラスを敷き詰めて流れない程度の温度で焼成する(モールドフュージング)
・パートドヴェールでお皿の原型から外型と内型を作りプレスする
大体この方法になるのではないかと思います
私のやりたい仕上がりにできるのは前者の方法でした。
板ガラスはステンドグラスで使われているものと同じようなものが簡単に手に入りますが、結構かなり高いのと、色と厚みが決まってしまっています。
色々試した結果、パート・ド・ヴェール技法で鋳造した板をプレート型に曲げることにしました。
パート・ド・ヴェール技法で出来上がるガラスの一番の特徴は、溶け合ったガラス粒の質感だと思います。
不透明に見えるものでも実は不透明ではなくて、パウダー状まで細かく砕いた透明のガラス同士に気泡が入り、その気泡が白く見えているのです。

手に取った時に手が透けて驚かれる方もいます。
下に置くものの色も反映します。

透明度が高いものも作っています。
並べた時に、透明と不透明のものが一緒にあるといかにもガラスらしくて可愛いと思います。

②なにかひとつ自分のデザインと分かるものを取り入れる
自分の好みとしては、作家性が際立つうつわよりは、シンプルで素材美なうつわが好きです。
とはいえ、そのようなうつわはあらゆるガラス作家が既にやり尽くしていて、今更自分がやることなのかなと悩みました。
それこそ最初はシンプルなうつわを作っていたのですが、なんとなくハートを載せてみたら結構可愛かったのでそれを続けているという感じです。
そう、最初に述べたコンセプトは全部後付けです。。
最初からコンセプトを一生懸命考えたわけではなく、これは違うからこうするしかない、と積み重ねてきたものがたまたま自分が表現したいものとリンクしてきて、今に至ったという感じです。
結果的に、自分のデザインとひと目で分かるし、自分で自分のうつわが好きだと思えるので良かったです。
文字を入れるのもどうやって思いついたのか忘れてしまったけど、
イラストレーションの方で積極的に文字や言葉を取り入れていたので、自然とそこは繋がったような気がしています。

ちなみに、絵付けの顔料は低め温度で焼成する必要があるので、余計にもう一度焼成しています。
なので、文字を書く時間も含めてハートよりも手間がかかっています。

言葉のチョイスは、完成したうつわのイメージから、いいなと思ったら書き留めている言葉たちを見てピックアップしています。
季節や販売場所のことも意識しています。
大量生産品とは違って、たった1人のために作られるうつわです。この作品は自分のために作られたのかな、と思ってもらえたら嬉しいなと思います。
③色合わせを楽しむ
ガラスの色味は基本的に自分で調合しているので、同じような色の作品は作りますが、実は微妙に変えています。
色の濃度、透明度、気泡の量がある程度コントロールできます。
絵の具を混ぜて色を作っているような気持ちです。
いつもワクワクするのは、プレートとパーツどれを組み合わせるか考えている時です。
パート・ド・ヴェールをはじめた初期から使っている大好きな黄色があって、それがとても好きです。

④つやつやの飴のような質感
パート・ド・ヴェールのうつわは、石膏型に触れている部分はザラザラのトゲトゲに焼き上がるのですが、そこから研磨をしてマットな仕上げにすることが多いです。
砂糖菓子のような見た目としっとりサラッとした質感が特徴で、いつ見ても可愛いなと思います。

しかしプレートに限っては、再びガラスが溶けたままの状態に戻し、飴のようなツヤツヤに仕上げています。
自分自身が最初にガラスを好きになったきっかけが、ツヤツヤでカラフルなところだったので、どうしてもそれが捨てきれませんでした。
一年くらい試行錯誤を重ねてやっと上手くいくようになりました。
自分で見ていてとにかく愛おしいです。笑
特にツヤツヤのハートはグミみたい。

⑤高台をつける
これはうつわを作っている人しか気づかないポイントなのですが、プレートの裏面に高台がついているものもあります。
一般的にベタ底よりも底上げがされている方が安定性が高いと言われていて、百均のうつわでもペットボトルでも、必ず少し底が上がっています。
しかし、ガラス作家全員が必ず底上げをしているわけではないと思います。
吹きガラスだと、底面を作っているうちに自然と真空状態になり真ん中がへこんでいい感じになりますが、フュージング技法で底上げをしようと思うと、技術的に色々と難しいです。
時間と手間がかかると、その分コストに転嫁せざるをえず、手の届きにくいうつわにしたくないという気持ちもありました。
特注の型を作ってもらうことで、技術面もコスト面も実現することができました。
プレートは接地面積が広いので、高台がないからといって安定性を欠くわけではなく問題ないと思っています。
けれどあった方が、真ん中が上がっている分少し立体感が出て、のっぺりした感じがなくなり見た目が良い感じがします。

ここまで読んでくださり有難うございました!
表参道のアートセンターSpiral様にて開催される、SICFに出展いたします。
いよいよ今週末からはじまります。
後半のB日程のため、あと1週間ありますが制作も大詰め。
是非実物を見に来てもらえたら嬉しいです。
次回はステムウェアの方のご紹介をします!
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SICF26
MARKET部門 ブースNo.24
B日程/5月5日(月)〜5月7日(水) 11:00〜19:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
〒107−0062 東京都港区南青山5−6−23
入場無料
お問い合わせ先:nono.works.blessing@gmail.com
またはWebサイトのContactまで
*全日在廊します(お昼休憩等のタイミングを除く)
