カステラの常識をひっくり返した【長崎カステラ】おみやげと思い出
【父のおみやげ】
私が小学校くらいのころ
父は大宮に単身赴任していた。
父がいない生活。
父が帰ってくるときは
いつもお土産を買ってきてくれた。
よく覚えているのは
川越で買ったというお土産。
そこで初めて【川越】という地を知った。
芋大福に芋饅頭。
大きな栗の甘納豆もあった。
他にもいろいろなお芋のお菓子。

父が買ってきてくれるお土産は
どれも魅力的で
父が帰ってくるのが待ち遠しかった。
父がいないこと
より
珍しいお土産がもらえること
のほうが小学生の私には大切だった。
父が帰る=お土産がくる
物欲にまみれてはいるけれど、
小学生の記憶なんてそんなもの。
特に食べものの魅力は強烈に残る。
離れてはいても、
父の存在は大きかった。
お土産がそれを後押ししてくれていたとしても。

その頃の
「父との思い出」が「お土産」だったとしても、
今、
【川越】と聞いて思い出すのは
【父】の記憶。
川越=父がくれた美味しいお芋のお菓子があるところ
川越→父の思い出
川越には父の記憶がくっついてくる。
川越と聞くと父のことを思い出す。
(まだ生きているけど)
お土産はその【土地と人】とを
記憶の中で結びつける力を持っている。

自分の中の楽しかった記憶を思いだすためのきっかけ
でもあるし
自分の存在を思い出してもらうためのきっかけ
にもなる。
お土産をあげること
お土産は誰かに
自分という存在を植え付ける
ためのきっかけ作りなのかしもれない。
○○をみるとあの人を思い出す。
もの=人
パターンもあれば、今回のように
場所=人
という記憶の残り方があるということ。
特にお土産のインパクトが大きいほど
その記憶は強烈に残る。
その頃の父との思い出は少ないけれど、
父は
「娘が父を思い出すスイッチ」
を植え付けることには成功した。
川越は私にとって父との思い出の地になったのだ。
それは今もなお続いているし
今後もずっとそうなのだ。

【長崎は未開の地】
これまで日本全国いろいろなところに行ったが
九州は福岡だけしか行ったことがない。
私にとって長崎は未開の地だった。

そんな長崎に主人が出張に行ったことがある。
子どもが二人いると父親がいない2日間
というのはなかなか大変。
(出張なんてなければいいのに)
と思ったのだが、
主人が大きな荷物を抱えて出張から帰ってくる頃には
子どもと一緒に目をキラキラ輝かせている私がいた。

主人が持ち帰った紙袋には
たくさんの見慣れないお菓子たちがひしめき合っていた。
長崎という地は知らないけれど
長崎のお菓子は
私の記憶の中に強烈にインプットされた。
長崎=お土産=主人
またもや「土地と人」がつながった瞬間。
そんな中
最も私に衝撃を与えるお土産が現れた。
それは
【福砂屋のカステラ】

長崎といえばカステラ。
とはいえカステラはどこでも買える時代。
正直そんなに期待していなかった。
けれど一口食べてみたら
一気に世界が変わった。

カステラはカステラにあらず
今まで私が食べてきたカステラは
カステラではなかったのだ。
これぞ本当のカステラ。
真のカステイラに出会った瞬間だった。

それまでのカステラの常識を覆すカステラ。
真のカステイラの魅力にノックダウンされた。
ふわふわとした心地の中
たまごの香りがふんわり口の中に広がる
決してパサつかず
柔らかくしっとりとした弾力
底にあるザラメがさらに美味しさを引き立てる・・・
ひとつひとつのカステラが、永い時を経て会得した【手わざ】によるもの。
寛永元年(1624)の創業以来、一貫して不変のものがあります。手づくりによる製法です。…永い時の積み重ねのうちに鍛えぬいて会得した技術ともいえるものです。
ひとりの職人が最後まで仕上げる責任
卵の手割り、泡立て、混合、攪拌、焼き上げまで、一人の職人がつきっきりで仕上げていきます
長崎カステラ独特の風味を今に守り伝える
量産はできませんが、この長崎カステラ独特の感触、懐かしい風味を福砂屋だけが守り続けています 福砂屋リーフレットより
カステラとはこんなに美味しいものだったのか・・・
長年生きてきたのに
これまでその事実を知らなかった自分を悔やんだ。
あまりに好きになりすぎて【カステラロス】の日々が続く。
そして調べているうちに私が住む新潟でも
【福砂屋のカステラ】が買えることがわかった。
(伊勢丹さんありがとう。)
私にはもう邪魔するものは何もない。
福砂屋のカステラにまた会えるのだ。
長崎にいかなくても・・・
まだ行ったことがない長崎。
でも長崎は私にとって大切な地に変わっていた。
カステラというお土産がきっかけで。
お土産は「土地と人」をつなぐ。
作り手の想いもお土産に乗って遠い地まで運ばれていく。
そして喜びと共に誰かの記憶に残るのだ。
そうやって誰かの想いは誰かに届く。
しあわせの連鎖。
今は旅行にはいけないけれど
どこかにいったときはその土地の誰かの想いを
身近な誰かにお届けしよう
そう思った。
そしてまた【福砂屋のカステラ】に思いをはせるのだった。
またあなたに会いたい。
遠くて近いあなたに。

綺麗道(きれいどう)
はじめましての方はこちら↓
【自己紹介】はじめまして綺麗道(きれいどう)です。
私目指していること↓
【食医】私がやりたいことが少しずつ見えてきた
いいなと思ったら応援しよう!
サポートしてくれなんて滅相もありません。
もしそんな奇特な殿方・ご婦人がいらっしゃった場合は、感謝しすぎて鼻血が出ることでしょう。(出なかったらすみません)
そして大切なお気持ちは ”恩送り” に使わせていただきます。愉しくて温かい ”和” が広がりますように。