台湾めし① 【薬膳】人蔘枸杞雞湯
台湾・桃園地景藝術節の作品制作で、現場から毎日通っているスープの店がある。
高麗人参とクコの実と手羽元を、じっくり蒸し煮した薬膳スープ。

作品制作で年間の半分ほどを台湾各地で過ごす生活を10年近く続けているけど、その中でも、これがいちばん好きな味かも。現場から車で10分ほど。制作の合間に、ほとんど毎日のように足を運んでいる。
張家燉品屋 GoogleMap↓
レンゲですくって口に運ぶと、濃厚な高麗人参の香りと、なんともいえない甘苦く滋味深い薬膳味がしっかり効いていて、飲み込むたびに身体に染み入る。
おもわず「ゔおぉ」と声が出ちゃう。肉体労働をしているのもあって、もうこれなしではいられない身体になってしまった。
気づけば、「今日も行くか」と暗黙の了解のように通いつめる日々。
いまは、桃園地景藝術節の制作で、新屋の石滬群の浜にいる。
見渡す限り石の浜で、ひたすら石を運んでは積み上げる。杉原くんとふたりで、黒々と日焼けしながら汗を流す、かなりの肉体労働だ。

ひとつ、ひとつ石を運んでは積みあげていく作業は、本当に地道。蟻になったみたい。
しかも、波のかかるぎりぎりまでつくっているので、翌朝来ると形が変わっていることも。苦労して積んだ石が、波の圧倒的な力でさらわれていたり。
三途の河原の石積みみたいだな、とふと思う。
あれは自然現象を鬼に置き換えて、どうにか積み上げてきた日々の暮らしが理不尽に崩されても、めげずに積み上げ続けるということの人生のもどきを、親より先に亡くなった子供に体験させているってことなのかも、なんて思ってみたり。
それでもまた、石をはこび積んでいく。

そんな現場。しっかり食べることが本当に大事。
この店のスープは、そのための“回復装置”みたいな存在。
台湾の飲食店でよく見かける、ステンレスの引き出し型の大きな蒸し器。このなかでは、陶器の蓋つきの器ごとスープが蒸されている。
注文すると、その引き出しを開けて、熱々を器ごと取り出してくれる。

煮崩れもなく、具も味も偏らず、どこをすくっても同じ濃さで、蒸し煮でしっかりと素材の味が引き出されている。
この蒸し器がある店はだいたいスープが美味しいんだけど、ここはその中でも格別。
手羽元は骨の髄まで味が出ていて、軟骨はもちろん骨も柔らかくなっていて、1/3くらいは骨まで食べてしまう。そして何と言っても、ケチらず豪快に入った高麗人参の量たるや。こんなに食べて大丈夫デスカ?と思わず聞きたくなるほどの本数。
これが80元なので、日本円で400円くらい。たっぷり入っているので、いつも1杯をふたりで飲んでいる。
薬膳って、やっぱりすごい。食べ終わるころには、さっきまでの疲れが少しだけ遠のく。
明日もまた石を運んでは積んで、この店に来る。
あと2ヶ月程は、このスープに支えられてやっていくことになりそう。
