桃園地景藝術節2026 / 制作日誌② 満ち引きのあわいに
台湾の桃園にて。
桃園地景藝術節 Taoyuan Land Art Festiva の作品制作中の杉原くんの制作補助に入っています
ここは台湾の桃園にある新屋百年石滬群という、伝統的な漁労のための石垣群です。
ここに暮らす人々の先祖たちが、海岸の石を手作業で積み上げて築いたもので、現在も地域の人々が集まって月に6回の補修作業を行うことで、今なお漁獲機能が維持されています。
波によって石垣は常に壊れては直しの繰り返しなので、海の満ち干きを繰り返す浅瀬のなかに何百メートルもの石垣を組み、それを維持し続けてきたことの尋常ならざる凄さを感じます。

ここで作品制作をしていると、干潮時には網やバケツを手に地元の人々が石滬を歩き、魚を収穫する姿が毎日見られます。
海に弧を描いた石垣が潮の干満によって、現れたり水底に沈んだりを繰り返し、その景色のなかを毎日辿るように人が歩く様子は、はるか昔から、かわらずにある生活のなかの文化の遺産であり、本当にうつくしい光景です。
ただ、このエリアからすこし車で走ると海沿いに大きな工場がたくさんあり、桃園はいまやかなりの工業地帯でもあるので昔ほどは魚もとれなくなったそう。

桃園以外にも、台湾の離島である澎湖諸島にも石滬の文化があり、世界のなかで最も石滬がたくさんある土地なのだそう。澎湖のハート型に組まれた石滬もぜひ見てみたい。
石滬の文化は台湾だけでなく、日本では九州や沖縄に。オーストラリアやポリネシアにも広く分布しています。
人と自然との境目が、潮の干満で揺れ動き続ける場に、こんなにうつくしい形で築かれていることに心打たれる。
そんな場所のすぐそばの岸辺での作品制作。
杉原くんが黙々と石を抱いては運び積み上げていると、朝からお孫さんと散歩にきていた葉さんが一緒に作業をてつだってくれた。

ありがとうございます。
