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キリング・ミー・ソフトリー【小説】73_TRACES...


斯くなる上はやむを得ない、自暴自棄で父に思いの丈をぶつけた。
「すげー好きだったんだわ。勇気出したんだけど、多分もう会えませんってヤツ。」
「そうでもないよ。僕、眞紀ちゃんと会う度に何万回も告白して毎回ばっさりフラれてたもの。」
台所からスナック菓子を残らず全部纏めて運び、内緒だよと笑う。


「眞紀ちゃんね、凄い才女って有名だったんだ。それに比べて僕は底辺。ちっとも相手にされなかったけど、僕らが実は裏で付き合ってて眞紀ちゃんが在学中に妊娠した時はみーんな驚いた。」
「お爺ちゃんにガチで怒られたっしょ?」


「うん、まともなリアクションだよね。眞紀子はこれからの日本を背負って立つ娘なのによくも貴様は、ふざけるな……この先はちょっと伏せとく。ボッコボコ。挙げ句の果てに眞紀ちゃんは大学中退したから。とか言ってなんだかんだ期待してた初孫が男の子で、密かに考えてた名前そのまま使いなさいって。それが〈ちはる〉。あっくんの時もそう〈ちあき〉。余程、気に食わなかったんだろうね。お義母さんは喜んでくれてずーっと優しいけど、僕はお義父さんには逆らえないよ。めちゃくちゃ怖い。」


こちらに対しては全くそのような素振りも見せず孫にやたら甘い祖父だが、クソジジイという単語が頭を過ぎる。可愛らしいファーストネームのおかげでどれだけ苦労させられたか。


化け物が次々と人を殺す雑なストーリーの映画を平然と観つつ、だからさ、と父が結論に至る。
「あっくんも諦めたり、無理に忘れたりする必要ないんじゃないかな?」


「うーん。父さんは叶ったからいいけど今の時代、完璧ストーカー案件じゃね?でもなんかありがと。精神的にちょびっとマシになったかも。」
うっかり口を滑らせて知る由もなかった有意義な話を父から聞き、思いがけなく良い方向へ進む。


例え、丁度テレビで流れているのが目を覆いたくなるようなグロテスクな場面だとしても。



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