外国人技能実習生は来日半年の試験に受からなければ強制帰国
こんにちは。
先日インドネシアの実習生Cから、
「夜分に失礼します。突然ですが洗濯機が壊れました」
そんな聞きたくない報告と共に、ピーピー鳴りながらエラーコードが出てる、残念な洗濯機の動画が送られてきた。
はぁ
ガス台の次は洗濯機かぁ
やれやれと思いながらも、洗濯機はリサイクルショップで買ったものだから仕方ない。とりあえず、3人を近くのコインランドリーに連れていって、初めての場所でキャッキャしてたのが、なんだかちょっと可愛かったw
修理か交換を検討しなきゃと思いつつ、どちらにしても私が対応しないといけない。日程をどうしようかと考えていたら、翌日Rから、画像と共に「洗濯機直しました」という驚きのLINEがきた。

凄くない?
R曰く、
「インドネシアでは自分で直しまーす」との事。
なんとも頼もしいです。はい
*
8月のお盆明けに、実習生達にとって最初の関門である技能試験が立ちはだかっている。落ちたら容赦なく強制帰国となるので、それぞれに緊張感が走っている。
普段から勉強に余念がないRは、自信があるのか余裕が見える。聞く所によると、Rは試験の知らせを受けてすぐに、YouTubeで試験の動画を探し出し、何度も繰り返し見て予習済みとの事。さすがです。
Rは最近また日本語能力が向上し、今ではすっかり通訳のような存在になっている。真面目で努力家の Rは、学科と実技両方で高い得点が期待できるだろう。
Cについては、なんだかんだとすったもんだはあったけど、彼は職人として類稀なるセンスがある。試験の練習を見ても、テキパキと動き、ササッと立ち回り、作業も早く、仕上がりもとても綺麗。恐らくこの先変な問題さえ起こさなければ、彼は立派な職人になるだろう。それは間違いない。試験も楽々スルーできるはずだ。
問題は最年長26歳のA
彼は最近髪を金髪に染め、愛知県のオニギリ工場に勤める彼女と遠距離恋愛中で、夏休みに会う事ばかり考えて浮かれポンチだった。
私は生活面において、Aがたまにトンチンカンな事を言ったり、トンチンカンな行動を取ったりしていたけど、愛嬌があって憎めない子だから、特に問題視してなかった。
しかしながら、試験の実技練習に立ち会った時に、これはヤベーなと思った。
社長である兄は、
「俺が直々に教えるから落ちるはずがない」
と言っている。一応兄は職人として難易度の高い資格を持っていて、そこは一級のプライドが許さないのだろう。いや、そんなこと言ったら、私の泣き祖父は伝説の職人と呼ばれた人だったから、ここはジッチャンの名にかけて、3人共絶対に合格して貰わないと困る。彼らの作業着の胸に、祖父の苗字であり、私の旧姓が書かれた会社名の刺繍がある限り、合格して貰わないと困るんだよ。
たった半年で強制帰国なんてなったら、会社としても大赤字だし、本人達も多額の借金をして来てるのだから、しっかり3年間は働いて貰わないと意味が無いんだよ。
まあでも、そこまでビビる事は無いだろうと思って、管理団体の担当者であるモリちゃんに聞いてみた。
「大丈夫ですよ。うちの機構の実習生は99%受かってますから」
「え?100%じゃないの?」
「は、はい、、、実は最近、落ちて強制帰国した子がいるんですよ、、、」
「えー!!!やっぱり落ちるの?一体何をしたら落ちるの?」
試験は実技と学科のそれぞれ1時間程度で、そこまで恐れるほど難しいものではない。学科については、ひらがなが読めて意味がわかれば大丈夫との事で、過去問を見せて貰ったが特に問題は無さそうだ。
落ちた子の詳細を聞くと、実技試験で緊張し過ぎて、時間を大幅にオーバーしてしまったらしい。1回落ちても2回目の再試験があるので、1回目の失敗を踏まえて、早々に30分で切り上げたとの事だが、時間を気にし過ぎた結果寸法等がめちゃくちゃであえなく不合格、強制帰国となった。
こ、怖ぇぇ
Aやべーよ
練習では、Aは段取りが悪く時間もかかり、仕上がりもグチャグチャで、このままだと本気でヤバいことになる。社長である兄も、思わず声を荒げてしまう事もしかりで、最早一級のプライドもジッチャンの名にかけてもない。
そんな訳で、Aは例のオニギリ工場の彼女と会うのを延期した。彼女も9月に同様の試験があるから当然の成り行きで、そりゃそうだ、どっちかが落ちて(もしくは両方)帰国になったら、結婚は夢のまた夢になる。2人で日本で頑張って2年半後に帰国して、インドネシアで豪華な結婚式を挙げないといけない。私もその日を楽しみにしている。
そんなこんなでここ一ヶ月、私は毎週末実習生達の練習に付き合っている。倉庫での作業だから暑いんだよこれが。しかも社長である兄は、ゴルフ、ゴルフ、ゴルフで、完全に私にお任せ状態になってて、何が一級のプライドだよコンチキショー
それでもなんでも、私はAを絶対に帰国させる訳にはいかないんだよ。だって私は約束したんだから。
先日私の50歳の誕生日に、Aがプレゼントを渡しに来てくれた。
「私の母もエイコさんと同じ年です。母を思い出します」
お母さんの写真を見せて貰うと、
とても綺麗な人だった
完全に負けたわよwww
たしかAのお父さんは、Aが日本に来る少し前に病気で亡くなったと聞いていた。
「私は母を楽にさせたいです。だから今、インドネシアに帰るわけにはいかないです」
そうだよね、綺麗なお母さんを楽させたいよね。
「エイコさん一緒に写真撮ってください。母に送ります」
と言われて、私はAの横でピースサインをした。
この時私は心の中で思ったんだ。
Aのお母さん
私がしっかりAのことを見てますから
絶対に試験に受からせますから
2年半後の結婚式で会うのを楽しみにしています
試験まであと1か月、私もなんだかんだで相当緊張している。
