短歌集『覚悟そろえて好きって言って』

知ってます? あなたのことが好きでした
なんと私もいま知りました
僕の名は四季といいます
建前や口実にぜひ使ってください
ひとりでも恋は勝手にできるって
聞いていたけど大嘘でした
初めて、に立ち会えなかった僕だけど
君の初めては他にもあるんだ

過去さえもライバルだと憎んでたけど
未来は味方よ、と気づいた朝
スカートのプリーツに恋をした君は
脱いでも笑っていてくれますか
ねえ私、贅沢だから愛されて孤独じゃなくなるのが淋しい

君のこと時々誰だっけと思う
“好き”が関係しているみたいだ
明け方に[除湿]をピと押し君が寝る
たちまち乾く 終わるなよ今日
契っても噛み千切っても君は君
混ざれないから今夜も踊る

やぶれてもなお与えるのが愛なら
まだ僕には早いです、先生
数日もあれば痩せるし髪も切る
自分でも忘れちゃうし見ててね
酒なんてこんなもんかと知った日に
落とした安い指輪を偲ぶ
色褪せた学習机の引き出しの
不意のプリクラに救われるなど

宝石に時折例えられますが
貴方の為にはきらめきません
麻痺させてやり過ごすには人生は
長すぎるから涙があるの
世界中あなたと住めば都よ、と
言える女になりたかったな
恋に負け名義を曲げた人生は
光るでしょうか 抱けるでしょうか

憂鬱を埋める男と憂鬱を生む男とが同じ喜悲劇
歪めても成り下がっても愛してた
いやそんなのは愛じゃなかった
捨てるたび 夢を憎いとさえ思う
それでも光れ これが私と
悲しさをお酒で割って薄めても
涙の量がただ増えただけ

君がいま泣いている気がしたもので
星に頼んだ「光強めで」
10代で心に打ったモルヒネが
何故だか切れて生き返す今日
脳内で何度も殺した今日なのに
武器も持たずに生き延びている
麻痺させてやり過ごすには
人生は長すぎるから涙があるの

