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蕎麦の実デビューしてみ谷豊

「ハリマオって知っているか?」
そう問われても、多くの人は首を傾げることでしょう。
私よりも少し年上の世代ならテレビドラマの『快傑ハリマオ』を思い出すかもしれない。
そんなハリマオの虚実を妄想しながら、蕎麦の実を料理してみた記録。

蕎麦食推進クラブ「さざれ石」に参加していますが、こちらで最近、よく見掛ける食材が『蕎麦の実』
特にgingamomさんがよく蕎麦の実料理を披露しておられます。↓

直売所で蕎麦の実を発見。どういう料理法があるのかもよく考えずに購入。取り合えず調理開始。


材料

大根    1/3
人参    1/3
蕎麦の実  100g
塩麹    大匙4
胡椒    少々
オリーブ油 適量
炒り子   7,8匹

明治四十四年(1911)福岡県に誕生した谷豊が後のマレーの虎ことハリマオ。
豊が二歳の頃。理髪店を営んでいた一家は英国領だったマレーシアに移住。
教育は日本で受けさせたいという父の意向で一時歸國。
尋常小学校卒業後、再びマレーシアへ。
マレー人達と交友。
徴兵検査のために歸國したが、丙種合格。これは現役ではなく予備役。軍國日本では恥とされたが、当人はさして氣にせず。
日本で就職したが馴染めずにいた頃、マレーシアでとんでもない事件発生。


炒り子を5,6時間付けて出汁取り。

時は昭和初期、満州事変発生。これに怒った華僑の暴徒が日本人襲撃。豊の妹が殺害された。
豊は単身、マレーシアへ。
犯人は捕まらず、マレーシアを支配している英國も本気で捜査する風もない。周囲の日本人も諦めろという始末。
怒りに燃える豊はマレー人やタイ人の仲間達と盗賊団を結成。
英國役人や富裕な華僑を襲い、金品強奪。奪った金品は搾取されて貧しいマレー人に分け与えた。
捕まったタイ人の仲間を救うために豊は出頭してタイ警察に逮捕。刑務所へ。


蕎麦の実を茹でる。

二ヶ月の収監生活。そこに訪ねて來た人物。
神本利夫(かもととしお)日本の諜報員つまりスパイ。
神本が保釈金を払って豊は出獄。
「私は日本陸軍のために働いている。イギリスをマレー半島から追い払うために君に協力して欲しい」
当時の日本はABCD包囲網と呼ばれる経済封鎖により、追い込まれ開戰止む無しという風潮。
AMERICA(アメリカ)BRITAIN(イギリス)CHINA(中國)DUTCH(オランダ)がABCD包囲網。
「俺はマレー人だ。日本に協力する義理はない」
豊は拒否。
「妹が殺された時、日本人は諦めろと言った」
「日本に協力することはマレーシアのためにもなる」
神本が言うには、自分達は欧米の植民地支配から亜細亜諸國を解放するために戰っている。
英國は百五十年に渡ってマレーシアを支配してきた。マレー人だけでこれを跳ねのけるのは難しいが日本軍がマレー半島の英國軍を攻めて、現地のマレー人が協力してくれれば英國を追い払える。
神本の説得で豊は協力を承諾。
豊率いる盗賊団を味方に引き入れる工作は『ハリマオ作戰』と陸軍で呼ばれていた。
ハリマオとはマレー語で虎の意味。豊自身もそう名乗っていた。

細かく刻んだ野菜を出汁で茹でる。

昭和十六年(1941)十二月八日、日本海軍の真珠湾攻撃で対米開戰。それとほぼ同時期に陸軍はマレーシア攻略を目指していた。
ハリマオ盗賊団は後方支援。
ジットラという湿地帯に英國は陣地を構築中。この妨害工作をハリマオ一団は担った。
工事に駆り出されている現地人を説得してサポタージュを扇動。建設資材を強奪、廃棄等々。
タイ方面から南下して來た山下泰文率いる日本陸軍は未完成のジットラ陣地を一日で攻略。
完成していれば三ヶ月は日本軍を足止め出來ると英國は踏んでいたが、とんだ誤算。
怒涛の勢いでマレー半島の先にあるシンガポールへと進軍。
ハリマオ率いる一団も諜報活動や爆弾撤去などで協力。
そんな中、豊はマラリア感染。
昭和二十一年(1942)三十歳で世を去った。
功績を認められたハリマオこと谷豊は軍属として、靖国神社へ合祀。


塩麹と茹でた蕎麦の実投入。

大戰が続いていた昭和十八年(1943)に『マライの虎』という映画公開。
これは豊を主人公にした戰意高揚映画。
戰後の昭和三十五年(1960)には宣弘社が製作した子供向けテレビドラマ『快傑ハリマオ』が日本テレビで放送。
これらの映画やドラマは私は見ていませんが、平成元年(1989)公開、和田勉監督、陣内孝則主演の『ハリマオ』は見ました。
戰意高揚とか子供向けとかを排した人間、谷豊を脚色を交えて描いた映画。
根底には『平和を守るために存在しているようだが、一面では平氣で人を利用して斬り捨てる國家の論理』
「ハリマオって知っているか?」
冒頭に引用したセリフは、劇中では神本に相当する役割の城ケ崎少佐の言葉。
山崎努演じる城ケ崎の存在が、『國家の論理』という映画のテーマを體現。
和田勉は同じ俳優は二度使わないというポリシーの持主だったが、山崎努は例外として何度も自身が演出したドラマに起用。


蕎麦の実デビューしてみ谷豊

オリーブ油を回し掛けて完成。
塩麹の甘さを胡椒が引き締める。
大根の白、大根葉の緑、人参の赤と色鮮やか。
下茹でした蕎麦の実は、それでも少し弾力が残る。
一晩置いた翌朝には水を吸って蕎麦の実はかなり柔らかくなっていた。
根菜から食物繊維。蕎麦の実にも食物繊維。更にルチンは血流改善、血管強化。タンパク質も豊富。

『ハリマオ』を監督した和田勉はNHKのディレクター時代に演出したドラマが数多く芸術祭で受賞したことから『芸術祭男』の異名を取った。
大河ドラマ『竜馬がゆく』や『ザ・商社』『阿修羅のごとく』等が代表作。
退局後はダジャレ連発の面白いオジサンというキャラでタレント活動。
晩年、セクハラ騒動で訴えられ、表舞台から消えていった。
何者かの意図で陥れられたのではないかと妄想。

原因は『ハリマオ』
大東亜戰争は亜細亜解放のための聖戰だった。戰勝國の論理で日本は一方的に惡者にされた。日本は惡い國だったんだという戦戰國による洗脳、ウォーギルトインフォメーションプログラムから日本國民は目覺めよ。そんな話がチラホラと出回り始めたのが21世紀に入った頃からだったように思う。和田勉がセクハラ訴訟に晒された頃。
『ハリマオ』は本当に近い所を描いていたのではないか。
聖戰などではない目的達成のために個人を利用して、その死までも利用。
都合が惡いので作り手の和田を貶めることで顧みられないように仕向けた。

「君自身には何の得もないが、現地人のために命をかけて戰ってくれ」
そう言われて、現場の兵士が命懸けになるか?
右寄りの人が言う亜細亜解放のために日本は戰ったというのは虚飾。
左寄りな人が言う亜細亜侵略のために日本は戰ったというのも虚偽。
資源獲得の大義名分が『植民地解放』
欧米のように現地人を酷使して搾取ではなく、その地に眠る資源を頂く。それが日本が行っていたこと。
今も昔も都合の惡いことについて考える人が増えないように、大衆はコントロールされている。そのために谷豊も和田勉も消された。そんな妄想をしながら、蕎麦の実デビューしてみ谷豊をご馳走様でした。


#創作大賞2025

#フード部門

#蕎麦食推進クラブさざれ石

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