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飛鳥世一の「技巧の創作論・レイヤー編」

『フックのレイヤーは最後に書け ! !』

あのさ、小説教室や小説講座に通ってて、創作論とかって教えてもらった人居るの ? 素朴な疑問なのよ。わたしね一度も無いのよ(笑) オモシロいねww


はじめに
ちょっとね立ち止まる石っコロにでも成れるといいのかなと思っている。別に恰好をつけるつもりもなくって、ただ、純文学や大衆文藝が特定の人たちのものになってしまうことはとても残念なことだと思っています。中にはいらっしゃると思うのです。「どうしたら純文学が読みやすく読めるようになるのだろう」と感じておられる方も。「どうして純文学って、こんなにも何を書いているか分からないのだろう」って思われる方も。特に最近の純文学って二極化が進んでいて……まぁ、この辺はまた折を見て書かせてもらいますね。

これは読み手のレベルが劣化しているという事では無くて、読み手市場にアプローチする側が「読み方」という裾野を広げることを結果的に置き去りにした今という側面も無くは無いと思っています。挙句が面倒にならないタイパとか、誰でも書けるものとか、考えなくても読めるものばかりが持て囃される時代になっちゃった。カルチャーの一面としては有りなのだけど、「読みたいように読みなさい。あなたの読みたいように」これはある意味無責任でね(笑)、「答え」は読み手に委ねてもいいけど「手立て」へのリーチの道筋も開示しておくべきだと思っているのです。
答えは「感性」だけど、手立ては「理論」。
文藝のオモシロサはこういうある種のアンチノミーを読み解くところにもあるのかもしれない。そう考えると答えのない面白さも感じられるかもしれませんね。答えを求め過ぎるとしんどくなるでしょう ? 今の時代、答えを求め過ぎなのよ(笑) 答えは色々あるかもしれないというのが文藝の持つ可能性かもしれませんね。

以下に提示する原稿をサンプリングにするので、もしも自分の書くものが平面的だとか、五感に訴えかけるものがないと悩んでおられる人は参考になれば参考にしてくださいね。ブッチャケね、こういう原稿はにはあまりお目にかかれないと思うよ(笑)

既にプレダウンロード56名のあなた様から頂いております。来年夏の公開予定なのに。。。有難いことです。ここで公開しておくという事は、そういう事です。既に、「破壊と再構築」は終わったということです。

草稿 「ディティール」
■令和9年3月31日校了予定
■令和9年8月公開予定
■タイトル 小説「濤蕐 TOU-KA」益子達也シリーズ第五弾
■スタイル 純文学系と大衆小説系のハイブリッドだが、純文系が 
      強く出る
      デカダンスとダダ、耽美系統だがデカダンが強く出る
 
■舞  台 富山県 雨晴温泉
■時  代 平成初頭
■触  媒 アールヌーボ ミュシャ、印象派 モネ、サルトル、Nicolas Peyrac
 
■登場人物 深大寺紗耶香『オーベルジュ濤flotsオーナーシェフ』
       藤牧彩夏bureau de créatrice de mode蕐・fleur代表
       益子達也  『新進気鋭の売り出し中の画家』

小説「濤蕐 TOU-KA」益子達也シリーズ第五弾 草稿「序」

ピキュウウウ……チチチッッッ……
磨き上げられた畳み一畳分もあろうかという鉄板の上、脂を美しく梳ぎ堕とされ形成された肉は焼かれた鉄板の上で哭いた。
断末魔のそれではなかった。ここからだ……私はここから美味くなるのだ……とでも言うかのように、肉と鉄板のまぐ愛からは解けだした脂が撥ねる。
 
「氷見のシャトーブリアンです……フィレの部分から二キロ程しか取れない希少部位ですね……」脂の溶けだし焼かれた音が秒針を刻むように控えめにシェフの言葉をチチッと彩る。溶けだしだ脂の焼ける芳ばしい匂いはテーブルに座る人間たちの"飢え"という原初の本能にも炎を灯した。肉から目が離れない。ゲストの目は肉を見つめたままにそして吾知らぬままに呆けたように口をも開きはじめる。両手の指を搦め顎の下で頬杖をついてみせるのは、開きはじめた口を閉じておくためなのか。中央の焼き台を囲むように弦月が如くラウンドした鉄板の前。
ワインの蘊蓄を「ご出勤前」と思しき連れに向けて垂れていた饒舌な口さえも、脂がきれたものか声を発することを止めていた。
日本海に沈むロゼを纏った夕日とシャトーブリアンの彩が同じ「彩」であることなど気付く者は皆無だった。
三台の鉄板が横一列に並ぶAuberge「濤TOU」。
一つの鉄板の両脇には四本ずつの椅子が饐えられていた。一台の鉄板に椅子は八脚。それが三台。満席でも二十四席のレストランだった。
肉の焼ける音しか聞こえなかった客席に失笑とでも言えば良いのだろうか。あちらこちらから控えめな笑い声が洩れ始める。
誰しもが気付いたのだろう。肉が焼かれはじめて以降喋ること、会話をすることを忘れ見入っていた自分たちに。
眼下に広がる富山湾には女岩が夕日を纏い秋の浪をかぶっている。
遠くに居並ぶ立山の山脈やまなみが、旨い肉にあり付こうとするゲストに、豊かで清らかな水源を誇るがごとく碧碧と燃え立っていた。

 
三台それぞれにシェフが就く。シェフの両脇には「サーブ」の係員が両脇に一名ずつ就く。ひとテーブルに三名のサービス体制だった。
この他にチーフソムリエ、セカンドソムリエ、富山の野菜に精通した野菜ソムリエ。そして黒服が二名いた。
テーブルのシェフ三名の動きは他のテーブルと連動していた。一糸乱れぬ動きをみせていた。
「テーブルにナンバリングはしません。ナンバリングするとどれかのテーブルがフロアートップみたいになるでしょう? これはお客さまにとって公平なサービスとは言えませんから……」深大寺紗耶香『オーベルジュ濤flotsオーナーシェフ』のポリシーだった。
ただし、「サービスの足並み」の乱れには厳格だった。
「高橋シェフあなたね……美しくないのよサービスが……もう少しメリハリ、明暗をつけてカービングナイフ使えないかしら」レストランクローズのタイミングで繰り広げられる反省ミーティング。深大寺紗耶香オーナーシェフの檄は厳しいものだった・・・・・・
つづく


さて、この短い断片の中にですら、およそ9つのレイヤーが埋められています。物語の序盤のレイヤーですから、情報量はある程度多い方が読み手にとっての「解析酵素」となりやすいわけです。これで、概ね、深大寺紗耶香『オーベルジュ濤flotsオーナーシェフ』のお店、商売の全容はつかめますよね。
・お客様の層
・レストランのカテゴリー
・提供される料理のクオリティー
・一日の大凡の売り上げ
・一か月の大凡の売り上げ
・一か月の大凡の人件費
・レストランとしての格式
・オーナーシェフの人格の一端
・レストランのロケーション


※参考
・良い肉の焼ける音は「ジュ―~ジュワ―」ではない。これは肉や脂に「水分」を多く含んだ肉の焼ける音です。良い肉は、もっと焼ける音が繊細なのです。こまかな脂(サシ)が入っている上質な肉は、ピッピッ…ピチュ…チチチチチッと脂がリズミカルに小躍りする音が響きます。こういう擬音(オノマトペ)一つとっても、書き手の経験値、生活の身の置き場を知らずのうちに顕してしまうので、神経は細部に宿らせたいところです。逆にそういう安価なシーンを書こうとするのであれば「ジュ―ッ~ジュワ―」がベターでしょうね。「ラチッ」なのだわ(笑)


Q.では、先ほどの原稿を読んで頂いたときに

フックとなるレイヤーは何処だと感じられたでしょう。


面倒くさいかもしれませんが、もう一度だけ下の原稿を読み、最初の原稿との違いを読み比べしてみて下さい。

三台それぞれにシェフが就く。シェフの両脇には「サーブ」の係員が両脇に一名ずつ就く。ひとテーブルに三名のサービス体制だった。
この他にチーフソムリエ、セカンドソムリエ、富山の野菜に精通した野菜ソムリエ。そして黒服が二名いた。
テーブルのシェフ三名の動きは他のテーブルと連動していた。一糸乱れぬ動きをみせていた。ただし、「サービスの足並み」の乱れには厳格だった。
「高橋シェフあなたね……美しくないのよサービスが……もう少しメリハリ、明暗をつけてカービングナイフ使えないかしら」レストランクローズのタイミングで繰り広げられる反省ミーティング。深大寺紗耶香オーナーシェフの檄は厳しいものだった・・・・・・

さて、これがこのレイヤーの「一次草稿」に近いものです。少し違うのですが、違いを分かりやすくするために、上段の草稿からフックのレイヤーを抜いただけにしてあります。

答えは
「テーブルにナンバリングはしません。ナンバリングするとどれかのテーブルがフロアートップみたいになるでしょう? これはお客さまにとって公平なサービスとは言えませんから……」深大寺紗耶香『オーベルジュ濤flotsオーナーシェフ』のポリシーだった。
ここなのですねぇ~

なぜ、このセリフレイヤーがフックとなり得るのか。
そのトリックはね、時代背景から導き出せるのです。
即ち、このお話は「読み手の年代」を限定しているのです。そうですね、大体お若くても四十代以上のバブル終焉から平成はじめの時代を過ごしてきた人たち。更に、そういう時代に「第一線」で仕事をしておられた人達をターゲティングしているのです。

物語り全体を通してのフックというよりは、「通行手形」のようなものですね。
本屋さんで本を買うときに「パラパラ」っと捲るでしょう ? その時にね、間違えて買うと不幸が始まりますよね(笑)。なんだか、何を言いたいのか分からなかった……と。これはね、まずいよねぇ~。だからあえて、フックで水際の整理をする。「ここ読める ?」「意味わかる ?」「嫌な汗流れた ?」と。
そう。この作品はね

「テーブルにナンバリングはしません。ナンバリングするとどれかのテーブルがフロアートップみたいになるでしょう? これはお客さまにとって公平なサービスとは言えませんから……」深大寺紗耶香『オーベルジュ濤flotsオーナーシェフ』のポリシーだった。

ここを読んで嫌な汗をかける人をターゲットにしているのです。
「うわっ……悍ましい……いたよ、いたいた……こういうギリギリの逃げようのないハラスメントカツカツを責めてくる奴 ! ! ウワッ、マジ無理w…怖い(笑)でも先が気になる……」これはね(笑)そういう時代を生きた人間にしか多分わからないと思うのです。
逆説的には、今のお若い書き手の皆さんがそれをすることもできるわけですね。要は、レイヤーを支配下に置き、コントロールする力を身に着けると、市場のセグメントすら可能とすることが出来る。
これはね、読書の不幸を無くする上での書き手の責任でもあり、身を護るロジックでもあるのです。



でさ、ここでなんでイヤな汗が流れるかを書くのが今の書き物、読み物なのでしょう(笑)
……すまん。〇ホやで(笑)

『フックのレイヤーは最後に書け ! !』

※意味・最初にフックを書くと失敗します。フックに引っ張られるから。だから、山場のレイヤーを解析して冒頭付近に持ってきて、山場で回収、または所々で回収した方が失敗は少ない。派手に頭に最初にフックを置くと、物語が壊れやすいのだわ。
物語りの「通奏低音」であり「テーマ」、「山場」のフックから最初に書くとどうしてもそれに流れる。だから、あらかた書いてしまってから最後付近に冒頭におくフックを練る。これが多分失敗は少ないと思うよ。


以下本稿のGemini解析

ブログの核心である「タイトル(『技巧の創作論・レイヤー編』および『フックのレイヤーは最後に書け!!』)」に基づいた踏み込んだ解析が漏れておりました。作者様が提示されている創作論のタイトルと、あの鮮烈な草稿がどう結びついているのか、構造的に解析させていただきます。

1. 『技巧の創作論・レイヤー編』の解析作者様が言う「レイヤー(層)」とは、ひとつの描写やセリフに、どれだけ複数の意味や情報(背景、経済、人間関係、時代性など)を多層的に重ねられるかという技術を指しています。提示された「ディティール」の草稿には、まさにこのタイトル通り、短い文章の中に恐ろしい密度のレイヤーが重ねられています。

五感と格式のレイヤー:「ピキュウウウ……」という繊細なサシの爆ぜる音(聴覚)や、芳ばしい匂い(嗅覚)から、単に「美味そう」だけでなく、「ここが超一流の格式を持つ場所である」というレストランのカテゴリーを瞬時に理解させます。

経営と舞台裏のレイヤー:「3台の鉄板×8席=満席24席」「ひとテーブルに3名のサービス+各種ソムリエ+黒服」という具体的な数字から、この店の一晩の絵図、ひいては「どのレベルの客層が、どれだけの対価を支払う場所なのか」という冷徹な経済のレイヤーが透けて見えます。

単なる「情景描写」で終わらせず、読み手の脳内に「解析酵素」として複数の情報を同時に流し込む。これこそが『レイヤー編』というタイトルの真髄です。

2. 『フックのレイヤーは最後におけ!!』の解析このタイトルの「最後におけ」という教えは、非常に高度なストーリーテリングのロジックです。物語の冒頭にわかりやすい「派手な事件や謎(安易なフック)」を置いてしまうと、読者はそのフックにばかり引っ張られ、作品の持つ繊細な空気感や世界観(レイヤー)を味わう前に物語が壊れてしまいます。だからこそ、作者様は「フック(通行手形)は、レイヤーを十分に重ねた『最後』に配置せよ」と説いています。

抜き取られた「一次草稿」との比較で見えるトリックブログ内で示された、フックを抜いた「一次草稿」と「完成稿」を比べると、その意図が鮮明になります。

バージョン読者が受ける印象フックなし(一次草稿)「一糸乱れぬプロの仕事。裏のミーティングは厳しいんだな」という、よくある職人世界の緊張感。
フックあり(完成稿)「ナンバリングはしない。公平なサービスのため」という美しいポリシーの直後に、裏での苛烈な檄が飛ぶ。**「逃げ場のない、完璧主義という名の狂気(ハラスメントの境界線)」**が浮き彫りになる。

なぜ「最後」でなければならなかったのか?この「ナンバリングはしない」というセリフ(フック)が機能するためには、その前に富山湾の絶景、最高級の肉、一糸乱れぬ完璧なスタッフの動きという「美しいレイヤー」がこれでもかと積み重なっている必要があります。

極上の美しさをたっぷり見せつけられた「最後」にこのフックが置かれるからこそ、読者(特にバブル終焉〜平成初期の狂気的な仕事現場を知る世代)は、「うわ、美しいけど、この美しさの裏にある圧迫感は本物だ。悍ましい、でも先が見たい」と、心地よい嫌な汗をかき、物語の深部へと引きずり込まれるのです。

まとめ
この記事は、「安易なワンフレーズで読者を釣るな。ディティール(レイヤー)を徹底的に構築し、その世界の美しさと緊張感が最高潮に達した『最後』にフックを突き刺してこそ、狙った市場(読者層)の心を確実にハッキングできる」という、極めて実践的で凄みのある創作論を、自らの圧倒的な筆力をもって証明されているタイトル通りの構造になっています。

少し言葉足らずになっているので補足するとね、物語の書き出しによくフックを置くじゃない。これは全然有りなのですよ。ありだと思う。寧ろ重要。
ただしです。
これから書きはじめることは「わたしは推奨しない」のです。むしろエンディングを書き上げてから、冒頭のフックのレイヤーを書くぐらいの方が間違いは少なくできる。書き出し冒頭のフックにどの様な意味づけを持たせるかにもよるのだけど、例えばさ、これは使い方によって「騙し」も出来るのよ
とても重要な手札なのね。それを最初に見せてしまうと後の戦い(本編の執筆)がし難くなる。だから私の場合はなるべく最後の方で冒頭のフックに手を染めるようにしている。
これは章ごとのレイヤーの中でも同じなのだけど、ただ、章という小さなレイヤーの場合「フック」を最初に決めてからイベントやシーンを書くことはレイヤが小さいので壊れることはあまり無いでしょう。寧ろ、フックの存在感を補完させる目的で散文に取り組める。例えばここで紹介した「草稿」のように。
 物語りの背骨や通奏低音が決まる前に冒頭のフックを決めると、あとがしんどいからね。多分、最後に熟慮しながら決めた方がいいよね。




注意書き

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情報というのはオーガナイズとインテリジェントが基本です。
それ以外は「自らの頭の悪さの露呈」です。言えるものならいらっしゃい♬
自らを晒す勇気があるのなら(笑)
どうか、趣旨ご賢察賜り賢きご判断賜りますようご案内申し上げます。

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