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【隠れた名館⑫】台東区池ノ端・横山大観記念館ってどんな場所?【横山大観・アトリエ・国指定史跡・名勝・重要文化財・木造不動明王立像】


はじめに


こんにちは。
今年も早くて6月。
あっという間に半年が経過しようとしています。

先日、天童市美術館の吉野石膏コレクションを紹介しました。
松園や大観、魁夷の名作を多数鑑賞する中で、私は「どのような環境でこの名作たちは生み出されるのか」という点がどうしても気になってしまいました。

その時、半年前に横山大観記念館を訪れたことを思い出しました。
これまで魯山人の春風萬里荘、朝倉文夫の朝倉彫塑館など、芸術家のアトリエを紹介しましたが、この館の展示も大家のセンスをうかがえる素晴らしいスポットでした。
不忍池の近くなのですが、入館者はそこまで見られず、もったいないなと感じた次第です。

そこで今回は、この横山大観記念館を紹介したいと思います。

台東区・文化施設のバーゲンセールと思いきや…

名が知れ過ぎて、もはや説明するのは野暮かもしれませんが、形式上お許しください。

台東区は、江戸から続く伝統と世界的アートが交差する、日本有数の文化・芸術の拠点。

その中心である上野恩賜公園には、世界文化遺産の「国立西洋美術館」をはじめ、「東京国立博物館」「国立科学博物館」など、日本を代表する最高峰の文化施設が集結しています。また、浅草エリアには落語や演芸を楽しめる「浅草演芸ホール」があり、歴史ある大衆文化から世界レベルの美術作品まで、多様な芸術を存分に堪能できる魅力あふれる街です。

まさに、文化施設のバーゲンセール!と思いきや、
単純な館数で見ると最も文化施設が多いのは港区だったりします。
台東区は国立施設などの館として質、そして広大な規模を持つ文化施設が多いので、銘打つならば規模と歴史の台東区といったところでしょうか。

ちなみに、日本最古の公立博物館は台東区上野・東京都美術館(旧称・東京府美術館)であり、日本最古の私立博物館は港区虎ノ門・大倉集古館です。
文化施設が集まる場所にはそれぞれの始祖とも言える館が存在しているわけです。

館の概要とアクセス

場所
〒110-0008
東京都台東区池之端1-4-24

開館時間
午前10時~午後4時(最終入館は午後3時半まで)
展示替の日は午後3時まで(入場は午後2時半まで)

休館日
月曜・火曜・水曜日
展示替え休館あり

入館料
大人 1000円 団体 900円
シニア+70 800円 団体 700円
大学生 800円 団体 700円
中高生 500円 団体 400円
小学生 無料
障がい者料金※ 各区分毎 100円引
※20名以上の利用で団体料金・ただし料金は一括支払のみ
※要証明

木金土日の開館なので、主に週末の来館になるでしょう。
さらに、15時半に最終入館となりますので、訪れるならば午前中がおすすめです。作品数は少ない方なので、気軽に館内を巡ることができると思います。数館巡るのであれば、この館をスタートにしてもいいかもしれません。
また、不忍池がすぐそばにあるので散策もおすすめです。

アクセス
東京メトロ千代田線「湯島」駅より徒歩7分
東京メトロ銀座線「上野広小路」より徒歩12分
JR「上野」駅またはJR「御徒町」駅 より徒歩15分
京成線「京成上野」駅より徒歩15分
都バス「池之端1丁目」バス停より徒歩1分

駅近というわけではなく、少々歩く必要があります。
周囲の館に寄る必要がなければ、湯島駅から向かうのが良いでしょう。
バス利用の場合は上野公園から早稲田行きに乗り、池之端1丁目で降りると楽です。


大観のアトリエ、住まいから学ぶ感性と画業


さて、先程はこちらの写真を挙げましたが、ここは旧入口です。

入館する際の入口は旧入口の右側にあるこちらになります。
周囲には目立った表示が無いのでご注意ください。

大観邸自体は生活時のままを保存しており、入館してもらいやすいように入口を新しく増設しています。
この中に受付とミュージアムショップがありますが、清潔感溢れる綺麗な内装です。最初に人目につく場所を整備する姿勢に好感が持てますね。

受付を済ませると、中庭の一部を通って館内へ案内されます。
スタッフの方がとても親切で、ここから先の展示内容など教えてくださいました。
館内はもちろん土足厳禁なので、渡された下足袋に靴を入れて上がります。
下の写真は中庭を写したものですが、館へ上がる場所は中央の小さな扉の中です。左側樹木の奥の障子ではございませんのでお気をつけください。

ここで少し、館の概略を。
この館は、大観が大正8年(1919)に買い取り、晩年までを過ごした建物になります。さらに注目すべきは、2017年に「横山大観旧宅及び庭園」として国の史跡及び名勝に指定されたことです。
都内で芸術家のアトリエが国指定の史跡・名勝に登録されたケースは、前回紹介した朝倉彫塑館とこの横山大観記念館のみです。
彼らのセンスが公的にも認められているわけですね。

館内紹介に戻りましょう。
屋敷に上がったらまずは階段を登り、2階から回ります。
ここは大観が実際に作品を描いた画室と彼について解説する映像を見ることができます。

画室に入る前の踊り場
早速、大観の富士が飾られています

扉に入ると和室2部屋分のスペースが広がっています。
下の写真は解説映像のブースです。畳の上ではありますが、座椅子に座って奥のスクリーンに投影された映像を見れます。

映像では、大観の人生や趣味嗜好のほか、この邸宅で大観がどのように過ごしたかなどを知ることができます。
大観は酒と犬が好きだったり、画家を目指す前は建築家を目指していたようですね。自分は美術にわかなので知りませんでした…。

奥には大観の等身大パネルが!
身長はそこまで大きくなかったようです

その反対側には大観の画室があります。

大観は自然光のみを用いて作品を制作したと言われています。自然光に照らされた中で色を使わないと真の色合いが出せないと考えていたようなのです。
そのため、制作に必要な太陽光を多く取り込むために、この画室の東と南に大きな窓を設けているのです。
このリノベーション力はまさに建築家を目指していた際に身に付けたものでしょう。

ここにも大観の富士画軸が掛けられています。
その下には彼が当時使用していた画材などが展示されています。
珍しい古墨なども所持していたようなので、ぜひ見てみてください。

富士の麓
濃い黒が穏やかな空間を引き締めます

2階からは大観がこだわって造園した庭園も見渡せます。
この眺めから作品のインスピレーションを得ていたのでしょうね。

壁面上部襖
取っ手部分を凹ませて作っています
これも大観のこだわり?

回り終わったら、1階へ降りていきます。
1階では大観の作品や身の回りの道具などを展示する企画展、そして客間と寝室を鑑賞することができます。
ここのフロアはガラス保護のために撮影禁止でした。

企画展はだいたい3か月のサイクルで変わるようです。四季の移り変わりに合わせて設定しているようですね。また、大観の作品のみならず、同志の菱田春草、下村観山、岡倉天心の作も展示することもあります。

寝室・客間も見事な庭園が見渡せる窓が設けられ、居心地のよい畳張りの部屋が続きます。
特に見ておきたいのは、客間の奥に安置された木造不動明王立像です。この仏像は国指定の重要文化財に認定されています。
重要文化財以前にこんな代物を大観が個人蔵で持っているあたり、やはり芸術家だなと感心させられますね。

実は館自体は1945年の東京大空襲で被害を受けており、今の建物のほとんどは戦争後に建て直されたものになります。この仏像は戦前から所持していたようなのですが、空襲の被害を避けて無事残ったようです。大観にとってもかなり大事にしていたらしく、家よりもこの仏像の方が大切だった旨の発言を残しております。
館を訪れたら、拝んでおきましょう。

1階は写真なしでしたが、いかがだったでしょうか。
ぜひ国指定史跡・名勝として登録されているこの館を一度は訪れてみてください。
合わせて朝倉彫塑館も回り、比較してみるとより面白いと思います。

なんと、公式HPではVRで館内を探索することができます!
なかなか現地へ行けない方は、スマホからアクセスしてみてください。大観にまつわるクイズも用意されています。



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吾妻圭@美術館・博物館・記念館情報 チップは全て、文化施設調査用に使わせていただきます。 当面の目標は「全国都道府県立の文化施設を周る」ことです。 周った全ての館は記事化します。 よろしければ応援していただけるとありがたいです。

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