noteで出会い、noteで再会する
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そのアイドルの事を知ったのは、noteがきっかけだった。
僕が好きだったそのnoteは、ある時期に終了した。
彼女の書く文章が何より好きだったから、いつかまたnoteをやってくれたらいいなと、ずっと思っていた。
でもその思いを、本人に伝えた事は一度もなかった。
なぜなら、noteに区切りをつけた後の彼女は、新しく始めた別のSNSを頑張っていたから。
僕もそのSNSを毎日見て楽しんでいたので、あえてまたnoteが読みたいと伝えるのもなんか違う気がして、noteの話をしないようにしていた。
そんな僕が、たった一度だけ彼女にnoteの話をした事があった。
それは僕と彼女が出会ってから一年後の日だった。
僕は元々noteで彼女の存在を知り、その文才に惹かれて「一度直接会ってみたい」と思い、ライブハウスまで会いに行ったという過去がある。
その初めて会った日からちょうど一年後に、彼女の所属するアイドルグループのライブが偶然あった。
僕は一年前と同じように、彼女に会うためライブハウスに向かった。
ライブ後の物販で「noteがきっかけで二人が出会って、実は今日でちょうど一年が経ったんだ!あのnote、今でもよく読み返してるよ!」と彼女に伝えた。
すると彼女はとても喜んでくれた。
そして帰り際、僕が背中を向けてその場から離れようとした瞬間に、彼女はこんな言葉をかけてくれた。
「ありがとう!またnote書ける機会があったら書くね!」
でも正直な話、彼女が再びnoteをやる事は全く想像できなかった。
noteをやっていた一年前とは環境もガラッと変わっていたから、あの時と同じようにnoteを書く事はできないのではないかと思っていた。
しかし、それから19日後。
信じられないような出来事が起こった。
noteがきっかけで出会ったアイドルと、僕はnoteで再会する事になる。
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2023年の夏、僕のnoteのおすすめ欄に、偶然彼女のnoteが表示されたのが全ての始まりだった。
そのnoteは「アイドルによるアイドル考察」というテーマで、現役アイドルの彼女が、現役アイドルだからこそ書ける、実体験を元にしたオリジナリティー溢れる記事を書いていた。
どの記事も論理的な文章で構成されていて、まるで論文を読んでいるかのような完成度の高い内容で「これはすごくおもしろいnoteを見つけたぞ!」と思い即フォローした。
僕が彼女のnoteを読んで一番最初にいいなと思ったのは、「動員」と「ペンライト」について書かれた記事だった。
彼女はそのnoteの中でこんな事を書いていた。
「世間一般に名前の知られている有名なアイドルグループであれば、ライブの動員は「◯万人」という単位だと思うのですが、私たち地下アイドルにとって、その単位は、「1人」です。
1人多いだけで、または1人少ないだけで、その日のライブの景色が全くの別物になる、そんな世界です。
動員の多さがグループの人気を示す大きな指標であるため、「動員」という言葉が彼女の活動にも24時間365日ついて回ってきていて、その動員が気になって、ライブができる事を楽しみにしながらも、心のどこかで少し不安を感じたりする事もあると彼女は綴っていた。
そんな不安がかき消され、明るい気持ちになれるのが、ステージ上から見える客席のペンライトだと彼女は思いを吐露し、こんな文章で記事を締めくくっていた。
十人十色の赤いペンライトを目にしたとき、その日の数字に一喜一憂してたことが、少しだけ可笑しく思えてきます。
1人、2人、3人…と無機質にカウントされていく数字だけど、その背後には、ファンの方がそれぞれの生活を送る中で私たちのライブを観に行こうと行動に起こすほどの愛があって。
この愛の形もまた、十人十色で、彩り豊かで、この上なくカラフルだと思います。
「他の大切なものを犠牲にしてでも、1秒でも長く同じ時間を共有したい」という情熱的な愛、
「週に1回必ず会いに行くことが生活の一部となっている」という安定した愛、
「他に大事な推しメンがいても、大切に想っていることに変わりはない」という温かい愛、
「ライブに行く頻度は高くなくても、選ぶ先は必ずここだ」という運命的な愛、
「貴重な休みを使って遠方から会いに行く」という時空を超えた愛、
ここに全部書き切ることが不可能なくらい、日々のライブを通して色んな形の愛と向き会うことができます。
無機質な数字に目を向け続けなければいけない世界であることに変わりはないけれど、
赤いサイリウムを振って応援して下さるファンの方一人一人の愛と向き合って、「今日もありがとう」という感謝の気持ちを抱き、伝え続けていきたいと思った1ヶ月でした。
僕はこの文章を読んで、すごく心を打たれた。
ファンがアイドルに会いに行ける頻度って、人それぞれ生活があるから、その環境によって全く異なってくると思う。
でもその通う頻度に変わりなく、どのファンにも愛情を込めて感謝の気持ちを述べたこの文章がとても素敵だなと思い、彼女の事が好きになった。
彼女は文才があり、自分の思っている言葉を上手に言語化できる人でもあるので、「noteという場所がとても似合うアイドルだな」と思った。
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それから彼女のnoteを読むのが、日常生活の大きな楽しみの一つになった。
そんな彼女に、僕が会いに行こうと思ったきっかけのnoteがある。
そのnoteは、彼女が定義した「推しメン変数」という物について書かれた記事だった。
一人の人間が、存在を全く知らなかったアイドルの事を認知してから現場に足を運ぶまでの心理的な要因を数値化して「推しメン変数」と定義し、その数値の移り変わりを考察する文章だったのだが、「なんて面白い文章を書く人なんだ」と、思わず唸ってしまった。
彼女が書いたその文章を引用するので、まずは読んでいただきたい。
【定義】
「推しメンの存在を全く知らない状態」を「0」とする。
「推しメンの存在を認知してから現場に足を運びファンになるまで」の過程を「1から100」で表す。
「推しメンのファンになってから、繰り返し現場に足を運ぶようになるまで」を「100以降」で表す。
【注意点】
どの要素がどれだけの加点になるのかは、人によって、またその時の心境や環境によって異なる。
【具体例:A男さんの場合】
●街中でフライヤーをもらい、話し方や雰囲気が好みのタイプだった。0から20へ。
●家に帰ってTwitterをフォローした。流れてくる自撮りが可愛くてより興味を持った。20から30へ。
●どうやらこの子はnoteの執筆をしているらしい。読んだ記事がとても面白かった。30から70へ。
●配信に遊びに行ったら、一度会っただけの自分のことを覚えててくれていた。なんて良い子なんだ。70から75へ。
●ちょうど公式が載せていた新曲のMVを観た。ダンスや歌声、楽曲も好みだった。75から95へ。
●どうやら近々新宿でワンマンライブがあるらしい。後方無料とは新規にも優しいなぁ。折角の機会だし足を運んでみるか。95から100へ。
【考察】
「推しメンの存在を全く知らない状態」の「0」から、「推しメンのライブへ足を運ぶ状態」の「100」まで「推しメン変数」が推移したA男さん。
A男さんは後々「あの時は特にnoteの記事が印象的で、ライブに足を運んでみたくなったんだよな。」と振り返るかもしれないけど、実際はそれ以外にも「推しメン変数」の数値を高めるの仕掛けが色々あった。
この仕掛けが1つでも欠けていたら、A男さんの「推しメン変数」が100に達さず、現場に足を運ぶまでには至らなかった可能性が大いにある。
僕もアイドルが好きでよくライブに通っているが、全く存在を知らなかったアイドルを認知してから「あの子に会いにライブハウスに行こう」となるまでには、様々な気持ちの変化が必要であり、その気持ちのゲージが溜まった時に、ライブハウスまで足を運んでいた。
そのファン心理をうまく数値化し、変数に落とし込んだ彼女の発想力と、その確かな文章力に、僕は心を奪われた。
ただ、このnoteの中で一つだけ気になる文章があった。
それは彼女が「自分的には、執筆をすればするほど、もどかしさを感じていました。 いや〜〜〜やっぱりnoteの執筆のみをきっかけに現場まで足を運んでもらうのは限界があるな〜〜〜と。」と書いていたからだ。
僕はこの一文を読んで、彼女に会いに行く事を決めた。
「noteの執筆のみをきっかけに現場まで足を運んでもらうのは限界があるな」と言っていた彼女に「noteがきっかけで好きになり、現場に来ました。」と伝えるために。
僕の推しメン変数を100まで押し上げたのは、紛れもなく彼女が書くnoteだったから。
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2024年2月10日
ジールシアター東京
僕はこの日、初めて彼女のライブを見に行った。
ライブがスタートすると、彼女がステージに登場してきた。
「この子が、あのnoteを書いている子なんだ〜」と、初めて彼女の姿を見て、僕は感動していた。
目の前で見た彼女はアイドルとしての存在感があって、誰よりも輝いて見えたし、誰よりも目立っていた。
ライブ終了後、物販で彼女の元へ行った。
「noteの文章が好きで、会いに来ました!」と、思いの丈を伝えた。
すると彼女はとても喜んでくれた。
彼女はその日の夜、Xにライブの感想を投稿したのだが、ALTに「noteがきっかけで会いに来てくれた人がいて嬉しかった」という内容の文章を書いてくれていた。
その文章を読んで「会いに行って、思いを伝えて、本当に良かったな」と心から思った。
noteの文章からは聡明で真面目なイメージを受けていたが、実際に会った彼女はとても明るい性格で親しみやすくて、「真面目な部分」と「明るい部分」を両方兼ね備えた、人間としてとても魅力的な人だった。
そんな彼女の人間性にも心を惹かれたので「これから彼女のライブに通えたらいいな」と思いながら、その日はライブハウスを後にした。
しかし、それは叶わぬ夢となってしまった。
この初対面の日から8日後。
彼女はグループから卒業する事を発表した。
卒業ライブまでの残された時間は、約1ヶ月しかなかった。
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結局、僕と彼女の関係はたった1ヶ月ほどで終わってしまった。
でも、彼女と過ごしたこの約1ヶ月間はとても濃密な時間だった。
卒業ライブの少し前に、彼女の撮影会があったので参加した。
どの場所で写真を撮ろうか二人で考えながら歩いていたら、彼女がおもむろに「ねえ!この前SNSに載せてた〇〇ってラーメン屋行ったよ!」と言ってくれた。
僕はラーメンが好きで、食べに行ったラーメンの写真をよくSNSに投稿していたのだが、なんとその写真を見て彼女が実際にお店に行ってくれていたのだ。
まさか自分のSNSを見て、そのお店に行ってくれていただなんて思ってもいなかったので、とても嬉しかったのを覚えている。
その後、写真を数枚撮らせてもらいカフェに入った。
僕はとにかく彼女の文才に心酔していたので、そんな憧れの人とじっくり会話ができて、とてもいい思い出になった。
彼女は茶目っ気のある人で、飲み物が運ばれてくると「ちょっとごめん、自撮りするね!私アイドルだからこういう写真も撮らなきゃなの!」と言って、ドリンクを片手にキメ顔で自撮り写真を撮ったりもしていた。
そんな明るい性格の彼女のおかげで、終始笑顔の絶えない楽しい時間が過ごせた。
撮影会の終了時間が近づいてきたのでカフェの会計を済ませ、スタッフさんのいる場所まで二人で歩いていた時に、僕は一つ気になっていた事があったので彼女に聞いてみた。
「卒業したらSNSとか消しちゃうの?」
「多分そうなるかも…」
「noteだけは残しておいてほしいな。素敵な文章がたくさん詰まってるんだから、消したらもったいないよ。」
こんな会話を最後にしながら、撮影会は終了した。
僕はnoteで彼女の存在を知ったから、その思い出の場所が無くなってしまうのが嫌だったのと、彼女が書いた素敵な文章の数々がこの世から消えてなくなるのは、純粋にもったいないと思っていた。
だからどうかnoteだけは残してくれたらいいなという一縷の望みを託して、彼女にそんな言葉をかけた自分がいた。
でも、きっといつかあのnoteも消えてしまうんだろうなと思いながら、その日は彼女と別れた。
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彼女が卒業を発表してから卒業ライブまでの期間、ほとんどのライブに足を運んだ。
それには大きな理由があった。
彼女はnoteの中で、アイドルの世界を表す時に「1人の存在で景色が大きく変わる世界」とよく口にしていた。
その「1人」のファンを獲得するために、彼女は情熱を燃やしながらアイドル活動をしていたのが、日々のライブを見たりnoteを読んでいて、痛いほど伝わってきていた。
例えばライブが終わった後に彼女はXで、その日にライブを見に来たファンからのコメント全てに、感謝のリプを返したりもしていた。
僕もそのリプをもらった事があるのだが、ありきたりな定型分ではなく、その日に喋った事や、普段思っている事などを、細かく文字に起こして思いを伝えてくれた。
どのファンにも、一人一人違う文章で、しかも長文で、彼女は毎回リプを返していた。
1人でも多くのファンにライブへ来てもらうために、ライブだけでなく、SNSでも全力で頑張っている彼女の姿を見ていたら、「1人」の存在で景色が大きく変わる世界の「1人」になって、彼女を最後まで応援したいと僕は思った。
そしてnoteでずっと楽しませてくれていた彼女に僕は恩があったから、なにかを返したくて、それは現場に駆けつけるのが彼女にとって一番いいのかなと思い、僕はライブに通い詰めた。
そんな彼女との思い出の中でも、特に印象に残っているエピソードがある。
その日は大塚で、昼と夜の2現場でライブがあった。
僕は昼も夜もライブに参加したのだが、昼のライブが終わった後に、大塚で好きなラーメン屋があったので食べに行ってSNSにアップした。
すると夜のライブ終了後に彼女が「ねえ!さっき投稿してたラーメン屋見たよ!この後行ってくるね!もうお腹ペコペコで早く行きたい!」と言ってくれた。
そして本当にその後お店に行ってくれて、しかもグループのメンバーまで一緒に連れて行ってくれて、SNSに写真まで投稿してくれた。
あの時は本当に嬉しくて、思わず彼女のSNSをスクショしてしまったほどだ。
彼女は優しい人で、ファン歴の浅い僕なんかに対しても、会いに行くたびにいろんな事を気にかけて接してくれた。
その一つ一つの心遣いが、本当に嬉しかった。
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2024年3月24日
そんな彼女とも、遂に別れの時がやってきた。
いよいよ迎えた卒業ライブの日。
SEが鳴って、ステージ上に姿を現した彼女はすでに号泣していた。
それは、全身全霊でアイドルをやっていたからこそ出た涙だと思った。
そんな彼女を見ていたら、僕ももらい泣きしてしまい、涙を流しながら彼女のラストステージを見届ける事になった。
たった1ヶ月ほどしか付き合いはなかったが、彼女が「アイドルにかける情熱」はnoteを通して知っていたから、感情移入してしばらく涙が止まらなかった。
最初から最後まで、心を揺さぶられっぱなしのライブだった。
それぐらい感動的な卒業ライブだった。
そんな彼女のnoteは卒業後、最後に一度だけ更新されて終了した。
しかしそれからも、僕は相変わらず彼女のnoteをよく読み返していた。
それは、僕もこうやってnoteを時々書くのだが、彼女のnoteをお手本にしていたからだ。
いい文章に触れると刺激になるし、自分にもいい影響があると思っていて、彼女のnoteからいろいろ吸収させてもらっていた。
自分がnoteを書き終えてアップする直前には、決まって彼女のnoteを読んでいた。
そして彼女のnoteと、自分のnoteのクオリティーを比較して「もう少しこだわって書いた方がいいな」と思って、自分のnoteを修正した事だって何度もあった。
彼女のnoteは、それぐらい僕に大きな影響を与えてくれた。
だから彼女は卒業してしまっても、自分がこうやって文章を書く上での生涯のお手本として、ずっと彼女の存在があるんだろうなと思いながら、日々の生活を過ごしていた。
彼女が卒業してしばらく経ったある日、彼女にお願いしていた宿題チェキが届いた。
そのチェキの裏面にはこんなメッセージが書かれていた。
noteをきっかけにこんなに大好きになってもらえて、私は本当に幸せだったよ
アイドルとして文章が書ける事はあまりメリットがないと思っていたけど、それを覆してくれたのがブーメランチャンネルでした
とても嬉しい言葉が書かれていて、僕は感動した。
彼女がこのように思ってくれた事が何より嬉しかった。
noteで出会ったアイドルからの、これがラストメッセージだった。
いや、ラストメッセージになるはずだった。
しかしそれから数ヶ月後、物語が再び動き出す事になる。
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2024年7月3日
「Palette Parade」というアイドルグループに、夏目志穂という新メンバーが加入する事が発表された。
夏目志穂とは、僕がnoteで好きになったあのアイドルの生まれ変わりだった。
新天地で、彼女が再びアイドル活動をスタートさせたのは、素直に嬉しかった。
僕は彼女のnoteを散々読み尽くしてきたので、彼女は絶対にまだアイドルとして見たかった景色や、やり残している事があると思っていた。
だからこそ、この決断には大いに賛成だったし「悔いのないようにアイドルをやり遂げてほしい」と心の底から思った。
彼女を取り巻く環境も大きく変わった。
以前所属していたグループから大きくステップアップして、大規模な会場でライブを行ったり、全国各地を遠征で駆け巡ったり、有名なアイドルイベントにも頻繁に出演するようになった。
かつて自分たちのライブの環境を「1人多いだけで、または1人少ないだけで、その日のライブの景色が全くの別物になる、そんな世界です。」と発言していた彼女だが、もうその単位は1人ではなくなった。
それぐらい多くのお客さんから見守られるなかでライブができる環境に、長年の努力が報われて彼女は辿り着いたのだ。
対バン相手も、アイドル業界の最前線で活躍する有名なグループばかりになり「すごい場所で今戦ってるんだな。頑張ってほしいな。」と、日々更新される彼女のSNSを見て、僕は陰ながら応援していた。
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2024年9月14日
渋谷WWWX
生まれ変わった彼女に、僕が初めて会いに行った日。
この日は、彼女が所属するグループのメンバーの生誕ライブだった。
会場に入ると多くのファンが集まっており、僕は会場の最後方に近い場所でライブを見る事になった。
昔はライブに行くと前の方で見られていたのだが、その頃とは違って会場が人で溢れていて、「こんなに集客力のある大きなグループに入ったんだな。志穂ちゃんすごいな。」なんて思いながら、ライブが始まるのを待っていた。
ライブがスタートすると、彼女が元気いっぱいにステージに飛び出してきた。
全身全霊でダンスする姿が輝いていて、とても眩しかった。
魂でライブをやっているような感じがして、その動きの一つ一つがダイレクトに心に伝わってきて、とにかく胸を打たれた。
そして一番印象に残ったのは、彼女の目だった。
すごくいい目をしていて、自分の夢を掴むためにステージ上で奮闘する彼女の力強い眼差しが、客席の後ろの方にいた僕にもしっかり伝わってきた。
ライブ終了後。
特典会で彼女の元へ行った。
こうやって直接対面で会うのは、およそ半年ぶりだった。
随分と大きなグループに入ったから、あの頃と変わっちゃってたら嫌だななんて思いながらチェキを撮りに行ったら、拍子抜けするぐらい何も変わっていなくて、いい意味であの頃と全く同じだった。
すごく後ろの方にいたのに、ライブ中に僕がいた事に気づいてくれたらしくて、そんな話もしてくれて嬉しかった。
その後もマシンガントークで、ずっと喋り続けてくれて「うわ〜、この感じ懐かしいな〜」と思いながら、彼女との久々の再会を楽しんだ。
そしてこの日から、また彼女のライブに通う生活が始まった。

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2025年2月9日
池袋harevutai
僕はこの日、彼女に会うためライブハウスに向かっていた。
この日から遡ること一年前の2月10日。
noteで存在を知った彼女に、僕は初めて会いに行った。
「あれからもう一年経ったんだな」なんて思いながら、会場入りした。
ライブ終了後、いつものように彼女の元へチェキを撮りに行った。
その時に、出会ってちょうど一年経った事を彼女に伝え、僕たちが知り合うきっかけとなったあのnoteを今でもよく読み返しているという事を、本人に直接話した。
そういえば彼女の前でnoteの話をしたのは、本当に久しぶりだった。
それは僕自身が彼女の前で、あえてnoteの話をしないようにしていたからだ。
当時の彼女は、noteはもうやっておらず、その代わりにTikTokを新しく始めて頑張っていた。
彼女は元々ダンス経験者でダンスがうまい子だっから、TikTokの数字もどんどん伸びていって、フォロワーの数も万単位になっていた。
僕もその動画を毎日見て楽しんでいたから、そこでまたnoteが読みたいと伝えるのもなんか違う気がして、意図的にnoteの話はしないようにしていた。
でもこの日は出会って一年の記念日だったから、僕たちが出会ったきっかけのnoteの話をしてもいいのかなと思って、noteの話をした。
一通り会話が終わった後「また来るね!」と言って列から離れようとした瞬間、彼女がこんな言葉をかけてくれた。
「ありがとう!またnote書ける機会があったら書くね!」

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でも正直な話、彼女が再びnoteをやる事はないと思っていた。
それは出会った頃と環境も大きく変わっており、あの頃と同じようにnoteを書くのは、いろいろ難しいのではないかと思っていたからだ。
「またnote書ける機会があったら書くね!」と言ってくれたのは、僕があの日にnoteの話をしたから、咄嗟に出た彼女の優しい一面が言葉として現れたものだと思っていた。
しかしそれから数週間後。
彼女がXで気になる文章をポストした。
そこには「明日の夜…ずっと書きたかったエッセイを初投稿するよ…ようやく納得いくものを書き上げられたんだ…楽しみにしてて…!!!」と書かれていた。
その翌日。
彼女がXで、そのエッセイを21時頃に公開する事を発表した。
僕はどの媒体でエッセイを公開するのかとても気になっていたのだが、ひょっとしたらnoteに帰ってくるのではないかと思い、noteを開いて「夏目志穂」で検索した。
するとそこには「夏目志穂のアイドルエッセイ」というアカウントがあった。
フォロワーがまだ0人で、本人かどうかも分からなかったけど、「彼女が文章を書くとなったら、戻ってくる場所は絶対noteだ」という妙な自信があったので、そのアカウントをフォローして21時がくるのを待っていた。
そして迎えた21時。
彼女がXで「念願のnote初投稿です!」という文章とともにnoteを投稿した。
僕が少し前に見つけたあのnoteのアカウントは、やっぱり彼女の新アカウントだったのだ。
僕は文章がきっかけで彼女のファンになったので、noteのフォロワー1番乗りができてとても嬉しかった。
初投稿された彼女のnoteの書き出しには、こんな文章が載っていた。
大変有難いことに、以前書いていたnoteを見つけて褒めていただけることが度々あり、また自分の言葉でだれかの心を豊かにできたらいいなと思ったので、もう一度筆を執ることを決意しました^_^✌🏻
彼女がまたnoteを書こうと思ってくれたのが、僕はすごく嬉しかった。
アイドルの表現方法って、歌やダンスだけではないと僕は思っていて、「文章」というジャンルもあると思っている。
なぜならそこには、アイドルとしてステージに立ち、喜びや悲しみや苦しみを味わった者にしか書けない「血の通った文章」があるからだ。
だから僕はアイドルを応援する時、歌やダンスだけでなく、彼女たちが綴る文章にも注目している。
最近はnoteで文章表現するアイドルもたくさんいて、僕はそのnoteがきっかけで好きになったアイドルも何人かいる。
歌やダンスと同じように「文章」でもファンの心を魅了する事は出来ると思っていて、それを体現しているアイドルが夏目志穂だと思っている。
僕は紛れもなく彼女の文章で心を魅了され、現場に通うようになった人間だから、そう断言できる。
だから彼女がnoteを再び始めてくれたのは、とても嬉しかった。
そして初投稿の記事がまた素晴らしい内容で、なんと「note編集部が選ぶ今日の注目記事」に選ばれていた。
noteって一日に膨大な数の記事が投稿されるから、その中から注目記事に選ばれるのって簡単な事ではないし、本当にすごい事だと思う。
その注目記事に選ばれた記事のnoteのリンクを貼っておくので、是非読んでほしい。
僕が自信を持っておすすめする、今一番更新を楽しみにしているnoteが「夏目志穂のアイドルエッセイ」だ。
そんな彼女のnoteの更新を、僕はこれからも楽しみにしている。
noteで出会ったアイドルと、noteで再会できた。
もうnoteでは会えない人だと思っていたから、こんなにも嬉しい再会はなかった。
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先日、TIFという大きなアイドルイベントに、彼女が所属するPalette Paradeの出演が決まった。
彼女はXで「TIFの出演依頼書を受け取るの、ずっと夢だったんだ…!何年も画面越しで見ていて、その度に羨ましさで気が狂いそうになったけど、今回初めて自分の手で受け取れました。」と喜びの気持ちをポストしていた。
「志穂ちゃん、夢が叶って良かったね」と彼女の文章を噛みしめながら読んでいたら、彼女が続けざまにこんなポストをしていた。
私たちが普段出演させていただいてる対バンも、それに出ることが憧れのまま終わる方がごまんといるのを身を持って知っているし、その感覚はどれだけ年月が経っても忘れたくない
初心をいつまでも忘れない彼女の心意気が僕は好きだ。
僕が彼女に初めて会いに行った時、そこは小さなライブハウスで、こんな書き方をすると失礼かもしれないが、お客さんの数もそんなに多くはなかった。
そこから大きくステップアップして現在のグループに加入した彼女は、当時では考えられないぐらい大きなアイドルイベントや、大観衆の中でステージを日々行っている。
当時夢見ていたであろう憧れの「非日常的」な対バンにも、今では「日常的」に出演している。
でも彼女は、あの頃の気持ちを今でも忘れてないんだろうなと、そのポストを見て僕は思った。
「私たちが普段出演させていただいてる対バンも、それに出ることが憧れのまま終わる方がごまんといるのを身を持って知っているし」という文章の中には、当時夢半ばで業界を去って行った身近なアイドルや、もしかしたら当時のメンバーたちの事も入っているかもしれない。
そんなアイドルを志した人間ならば、誰もが一度は立ちたいと思う「アイドル業界の第一線の対バン」に彼女は今立ち続けている。
でも、どんなに大きくなっても、どんなに売れっ子になっても、その環境を当たり前だと思わずにいられる彼女の感覚が僕は好きだ。
そういう人だから、僕は彼女の事を好きなんだろうなとあの文章を読んで改めて思った。
初めて会ったあの日、小さなライブハウスで奮闘していた彼女が、今年の夏はTIFの大舞台に出る。
一瞬一瞬を全力で生きて、夢を掴み取っていく彼女の姿を見ていると、本当にかっこいいなと思う。
彼女が昔使っていた旧noteのアカウントは、最後の更新を終えてしばらく経った後、プロフィール欄の文章が書きかえられていた。
そこには現在「また夢を叶えます」と書かれている。
彼女が夢を叶えるその過程を、僕はこれらも見守り続けたいと思う。
