【コラム】生成AIにより、「自分だけの英語」をすらすら話すための練習が可能に
日本は幕末/明治維新から昭和時代にかけて、いろいろあったにせよ激動の時代の中奇跡の成長をとげた国になったのは、私たちみんなが知るところです。
そんな中、その私たち日本人がこの150年間で一番苦戦したものといえば、確実に1つは英会話ではないでしょうか。
今でこそアジア諸国を中心に教育熱で日本を凌ぐ国もしばしば現れるほどになっているようですが、19世紀後半から20世紀いっぱいにかけては、日本の教育システムは富国強兵から戦後の経済成長を支える柱になり続けたことを否定する人は多くないでしょう。
その日本の教育システムをしても、私たち日本人はほとんど誰も英語を話せるようにはなりませんでした。
日本の英語教育システムを擁護すると、近年YouTubeやnoteを含むブログサイトを中心に世界で情報発信が進み、英語と日本語の文法構造は世界の言語の中でも一番遠い部類であり、ヨーロッパの人と日本人が一定の英会話を話せるようになるために必要な学習時間は全く異なることがより広く理解されるようになってきています。
そんな状況に風穴をあけるが如く、2000年前後になると日本にいながらネイティブ英語話者と話せる英会話教室が流行し、英会話を定期的に学習する人は増えたのではないでしょうか。
またこれが2010年前後からは、対面の英会話教室よりも大幅に安価なことがほとんどのオンライン英会話レッスンのサービスが広がりをみせ、より英会話の学習に時間をかけることが誰にでもできるものになってきました。
また、書店でみかける英会話学習のための書籍も年々内容の質があがり、バラエティも広がる一方です。
ところが、そんなトレンドがあっても帰国子女以外で英会話がぺらぺら(プレッシャーがかかる状況でも日本語で言えることの90%は英語でも自由に表現でき、話し方も流ちょう)な日本人に出会うことは今でもほとんどありません。
これまでの英会話学習方法でなんとか英語で海外の企業との商談などをこなせるようになった強者たちでも、ネイティブ英語話者はもちろんヨーロッパやアジアの英語話者とも対等に英語でやりとりできるよう、あと一歩二歩英会話を上達したいという方は少なくないのではないでしょうか。
このように、私たち日本人は150年間日本語と英語の文法構造の違いという高すぎる壁に英語がペラペラになる道をはばまれ続けてきたわけですが、この状況が、2022年末に登場したChatGPTをはじめとした生成AIをゲームチェンジャーとして変わりつつあります。
こちらのコラムでは、生成AIが私たち日本人にとって具体的に何を可能にしたのかをご紹介します。
生成AIの出現でわかった、日本人が英語を話せなかった理由は
まず生成AIの出現によりわかってきたことは、ほとんどの日本の英会話学習者が、日本語と英語の文法構造の大きな違いから迷子になってしまい、最近筆者が「サッカーがうまくなりたいのに野球を練習してしまう問題」と呼んでいる状況に陥ってしまいがちだったということです。
大前提として、どのような状況でも英語をすらすら話せるようになるにはかなりの時間を英語学習に費やさなければならないのは生成AIの出現前も後も変わっていないと思われますが、そのような中、せっかく英会話の学習のために1000時間以上も時間をとっている人が陥りがちな学習法が、
(Belligerent, abate, valorization, fling, roster のような)難解な英単語、熟語、フレーズを数千個覚える
Netflixなどで海外の英語のドラマ、映画を英語でみて表現なども学習する
などです。
もちろん難解な英単語を数千語覚えれば確実にネイティブに理解している単語数は近づきますし、海外ドラマ・映画にでてくるフレーズを理解すればやはりネイティブに理解している表現の数は近づきます。
(とくにNetflixでのドラマ・英語を用いての学習は楽しいので、筆者は否定するものではありません。また、ビジネス英会話ではなく日常英会話の引き出しを増やしたい方はNetflixは有用です。)
問題は、たとえばビジネス・シーンで英語をより話せるようになりたい場合、たいがいこれらにでてくる単語、フレーズを用いることはほとんどないことです(ビジネス英会話をサッカーとすると、英単語帳、Netflixは野球やバレーボール)。
私たちは母国語を話すときでも、たとえばヘルスケア業界にいる人、テック業界にいる人とメディア業界にいる人では使う用語や話す内容はかなり異なりますし、営業、エンジニア、経営者、交渉担当者、人事担当者でも話す内容はかなり異なります。
生成AIであれば、「テック企業のエンジニア」や「ヘルスケア業界のマーケター」のように個人個人が出会いうる状況で使うフレーズ満載のビジネス上のやり取りのモデル・スクリプトが生成可能です。
【ChatGPTでビジネス会議などのモデル・スクリプトを出力して学習する方法】
さらにそこにでてくる表現を自分が話せるかチェックしたり、それらの表現をマスターするために学習したければ、そのモデル・スクリプトを瞬間英作文にして学習することによって1文1文を自分のものにしていくことが可能です。
【ChatGPTで瞬間英作文を出力して学習する方法】
上記のような学習を行うことにより、「学習すればしただけ比例して実務でも英語を話せるようになる」に近づくことができるようになってきました。
生成AIの真髄は、「自分だけの英語」を向上させられること
ただし、上記の学習法でも「サッカーを上手くなりたいのに野球を練習してしまう問題」をすべて解決するには至りません。
生成AIがでてきてあらためて浮き彫りになってきているのは、人間は生まれてから親、家族/親戚、幼稚園~大学(前後)のクラスメイト、先生、働き始めてからの同僚、上司、取引先その他友人とのコミュニケーションの中で数十年かけて1人1人が自分なりの話し方というのを確立しており、どの人の話し方も型にはめるのは難しいということです。
日本語にせよ英語にせよ、1人1人がかなり異なる背景知識に基づいて文章を組み立てており、母国語の場合は物心つく前から覚え始めているので気になりませんが、これが英語をはじめとした外国語を話すとなるとかなりネックになります。(自分の話し方と異なる構文をいくら覚えても、なかなかそれが実際のシーンではぱっとはでてきません。)
私たちは1人1人が無意識にこのように話したいという構文をもっているのに、これまでの学習法だとそれを一言一句まで落とし込むことができず、それによって流ちょうに話せないという現象が起きていました。
これが生成AIの出現により、生成AIとQ&Aセッションを行ったりロールプレイを行いつつ自分が話した内容を生成AIによりよくする点を指摘してもらうことにより、1人1人が無意識に話したい構文を一言一句にまで落とし込むことができるようになってきています。
【ChatGPTとQ&Aセッションを行って自分の英語表現をよりよくする方法】
【ChatGPTと自分が英語で話す必要があるシチュエーションで使う英語表現を今すぐ身に付ける方法】
これらの学習をすることにより、これまで英語をすらすら話せるようになるのに1万時間かかったのが1千時間に短縮されたか?というとそこまでではないとは感じているのですが、英語をすらすら話せるようになるのに必要な学習時間は、生成AIがでてくる前のだいたい3分の1くらいにまでは短縮されたと筆者は感じています。
まとめ
日本人は世界の中でも学習熱心な方であるはずなのに、文法構造の違いという高すぎる壁にはばまれて帰国子女以外がすらすら英語を話すことは、たとえ数千時間英語を学習してもなかなか困難でした。
これが、ゲームチェンジャーとしての生成AIがあれば、日本人の学習熱心さが花開いて日本が世界一のノンネイティブ英語話者大国になる可能性もあると筆者は思っています。
一方で、生成AIの恩恵は世界のかなりの言語の人に扉が開かれています。乗り遅れたくないバスは、動き始めたかもしれません。
