第一章:高熱
本シリーズは特定の企業を批判する目的で書いているものではありません。
むしろ、あの時代に社会へ出た多くの人が
どこかで感じたかもしれない違和感の記録です。
それが個人の問題だったのか、
それとも時代の問題だったのか。
その問いを、冷静に辿っていきます。
最初の会社を辞めたあと、しばらくして私は入院することになった。
原因は、最初まったくわからなかった。
ただ熱が出る。
しかも、ただの熱ではない。
毎日のように四十二度近い熱が出る。
さすがにおかしいと思って病院に行っても、すぐには原因が判明しなかった。
検査をしても、はっきりしない。
熱は下がらず、体だけが目に見えて弱っていく。
あの時期は、時間の感覚があまりない。
ただ、熱に浮かされながら「これは少しまずいかもしれない」と思っていた記憶だけが残っている。
若い頃というのは厄介で、多少体調が悪くても無理が利いてしまう。
だから、自分の状態を正確に見誤る。
少し休めば何とかなる。
寝れば治る。
その程度に考えていた部分も、たぶんあった。
だが、現実にはそんな甘いものではなかった。
しばらくしてようやく原因が分かった。
肝臓に膿が溜まっていたのである。
病名そのものよりも、まず「肝臓に膿が溜まる」という現象の方が衝撃だった。
そんなことが現実に起きるのか、という驚きの方が先に立った気がする。
原因が分かってからの処置は早かった。
肝臓に管を通し、内部に溜まっていた膿を外へ排出する。
文字にするとそれだけのことだが、当然ながら気分のいいものではない。
ただ、その処置によって何とか事なきを得た。
今振り返れば、あれはかなり危ないところまで行っていたのだと思う。
私はそれまで、自分の体が壊れるということを、どこか現実のこととして考えていなかった。
ラグビーをやっていた頃も、首や背中を痛めることはあった。
それでも、怪我は怪我であって、「動けるか動けないか」の話だった。
今回のように、内側から静かに壊れていく感覚は、それまでほとんど経験したことがなかった。
高熱というのは不思議なもので、ただ苦しいだけではない。
思考の輪郭そのものが曖昧になる。
未来のことも、仕事のことも、うまく繋がらない。
ただ一日をやり過ごすだけで精一杯になる。
そういう意味では、あの入院は単なる体調不良ではなかった。
ひとつの生活がいったん切れた、という感覚に近い。
最初の会社を辞めて、その延長で次の仕事を考える。
本来ならそういう流れだったはずだ。
だが、実際にはその間に高熱と入院が挟まり、私は一度まるごと止められることになった。
いったん体が止まると、人間は妙に冷静になる。
無理をすれば前へ進める、という考え方は通用しない。
どれだけ先のことを考えていても、体が動かなければ話にならない。
当たり前のことだが、その当たり前を実感として理解したのは、たぶんこの時が最初だった。
もっとも、その経験を経たからといって、その後の人生が急に慎重になったわけではない。
むしろ私は、その後も相変わらず、少しおかしな環境に自分から入り込んでいくことになる。
ただ、それでもあの入院を境にして、「会社を辞めたあと、そのまま次へ移る」という単純な流れではなくなったことだけは確かだ。
一度、体の側から止められた。
それが、次の会社へ向かう前の、自分にとっての本当の意味での区切りだったのだと思う。
退院してしばらくしてから、私は改めて就職活動を始めた。
そこで出会うことになるのが、地元でデータセンターの仕事をうたっていた、ある会社だった。
第二章はこちら:第二章 看板
(公開前の場合があります)
■ 始まりの物語
ここまで書いてきた時間のさらに前に、
自分の基礎を形づくった時期があります。
大学時代、ラグビーに向き合っていた頃の記録です。
当時はただ目の前に取り組んでいただけでしたが、
今振り返れば今へ続く一本の線の上にあった出来事のようにも感じます。
興味を持っていただけた方がいれば、
その始まりの時間にも触れていただければ幸いです。
この記事を書いている人はこんな人
・・・というのがわかるような書籍を出版しています。
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難しい話や専門的な内容はほとんどありません。
むしろ、
「なんでこんなに無理してたんだろう」
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ダイエットの話をここまで読んでくださった方なら、
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