Escape from Tarkov ― 弾丸の歴史
「ごみ漁りゲーム」と弾丸の話
Escape from Tarkov を遊んでいて、
妙に印象に残った言葉がある。「ごみ漁りゲーム」という表現だ。
確かにこのゲームは、
ごみを漁り、自分の役に立つ物や売れる物を集めることで
アカウントを成長させていく側面が非常に強い。
それは、プレイヤーが使う銃の弾丸も例外ではない。
とにかく、買うか、拾うかしなければゲームが進まない。
ところが、いざ集めようとすると問題が起きる。
いつ敵に襲われるかわからない状況で、
倒した敵の持ち物にある「弾丸らしき物体」には、
PS
BT
といった謎の名前が付いている。
しかも、それらは微妙に規格が違っていて、
何が何だかわからないという状態に陥る。
今回から始めるこのシリーズでは、
自分自身の知識を整理するという意味と、
「自分が通ったこの混乱の道が、誰かの役に立つかもしれない」
という願いを込めて、書き進めていこうと思う。
なお、
先に銃から説明すべきでは?
という疑問も出てくるかもしれない。
だが、弾丸がなければ銃は単なるオブジェに過ぎない。
弾を入手できなければ、撃てない。
だからこの記事は、「弾が最重要」という視点から始めている。
まずは「規格」の話から
正直、どこから手を付けていいのかわからなかった。
そこでとりあえず ChatGPT に色々聞きながら整理してみたところ、
どうやら最初にやるべきなのは、
PS や BT という名前を覚えることではなく、
5.56×45 や 5.45×39 といった
弾の寸法(規格)を見ること
らしい、というところに行き着いた。
さらに一歩踏み込んで、
なぜ、こんなに規格が分かれているのか?
を考えてみると、
どうやら話は 現代まで連綿と続く武器の歴史に行き着くらしい。
歴史と聞いてしり込みする人もいるかもしれないが、
ここは一旦、付き合ってほしい。
西側と東側という大きな分岐
大まかに見ると、
Tarkov に登場する武器や弾丸は、
NATO 規格(西側)
旧ソ連圏の規格(東側)
という二つの流れに分けることができる。
自動小銃を例に取ると、
NATO 規格:5.56×45
旧ソ連圏:5.45×39
という対応関係になる。
これらの規格は、
第2次世界大戦中のある反省から生まれたものだ。
少し掘り下げてみよう。
自動小銃の歴史:NATO の場合
第二次世界大戦当時、
西側諸国で主に使われていたライフル弾は次のようなものだった。
7.92×57(ドイツ)
.30-06(アメリカ)
※インチ表記。メートル表記では約 7.62mm
※「06」は採用年(1906年)を示す
これらは、いわゆるフルサイズ・ライフル弾である。
戦後、ある素朴な疑問が浮かび上がった。
この弾、重すぎないか?
この弾、強すぎないか?
ついでに、反動も大きすぎないか?
戦時の経験から、
実際の戦闘は中距離での制圧戦になることが多かったにもかかわらず、
これらの弾は長距離射撃に最適化されていた。
結果として、
弾が重い
携行量が限られる
という問題が顕在化した。
中距離戦では、
「一発当たれば倒せる」よりも、
弾幕を張って敵を圧倒する方が理にかなっている。
こうした反省から生まれたのが
5.56×45 NATO 弾である。
この弾は、
そこまで遠くには飛ばない
その代わり軽い
たくさん運べる
つまり、
中距離で大量に撃って制圧することに最適化された弾
として登場した。
自動小銃の歴史:東側(旧ソ連圏)の場合
一方、東側、つまり旧ソ連圏ではどうだったのか。
こちらも話の出発点は、第2次世界大戦である。
ソ連では当時、
7.62×54R というフルサイズのライフル弾が主力だった。
この弾は現在でもスナイパーライフルなどで使われているが、
当時は歩兵用として広く使われていた。
性能面では、
威力が高い
射程が長い
という点で西側と同様だったが、
やはり同じ問題を抱えていた。
重い。
反動が強い。
兵士の練度に依存しすぎる。
特にソ連では、
大規模動員を前提とした軍隊運用が重要だったため、
誰が持っても、ある程度は同じように使える
という点が非常に重視された。
「AK」という思想
そこで登場するのが、
言わずと知れた AK シリーズである。
AK の思想は非常に割り切っている。
多少精度が悪くてもいい
多少重くてもいい
とにかく壊れない
誰でも撃てる
その思想に合わせて選ばれたのが、
7.62×39 という中間的なライフル弾だった。
この弾は、
フルサイズ弾ほど重くない
反動は抑えめ
近〜中距離で十分な威力
という性格を持ち、
AK とセットで広く普及していく。
そこから生まれた 5.45×39
さらに時代が進むと、
ソ連側でも次のような問題意識が生まれる。
もっと軽くできないか?
もっと反動を抑えられないか?
もっと制御しやすくならないか?
その答えとして生まれたのが
5.45×39 という規格だった。
方向性は NATO の 5.56×45 と似ているが、
設計思想には違いがある。
西側:分隊戦での制圧力を重視
東側:反動の少なさと撃ちやすさを重視
結果として 5.45×39 は、
反動が非常に小さい
フルオートでも制御しやすい
兵士の練度差が出にくい
という特徴を持つ弾になった。
東側の弾の考え方を一言で言うと
西側が
「役割ごとに弾を使い分ける」方向に進んだのに対し、
東側は
「誰が使っても安定して機能する」方向を突き詰めた、
と言えるかもしれない。
だからこそ、
反動が少ない
癖が少ない
大量運用に向いている
という特徴が、
5.45×39 という規格には色濃く残っている。
ここまでの整理
ここまでをまとめると、
西側:5.56×45
→ 分隊戦・制圧を意識した軽量高速弾東側:5.45×39
→ 反動の少なさと扱いやすさを重視した弾
どちらが優れている、という話ではない。
違う戦争のやり方に対する、違う答えだと考えると、
弾の名前も、少し違って見えてくる。
今回はここまでにして、
次回からはより具体的に
**NATO 弾の名前(M855 / M856 など)**について
掘り下げて考えてみようと思う。
次作はこちら: Escape from Tarkov ― NATO弾①
※ この連作で扱っている内容の背景や実際のプレイ感については、
毎週金曜日に配信している配信内でも触れています。
文章とは少し違った形での理解の助けになると思いますので、
興味があればこちらも覗いてみてください。
▶ 配信はこちら: B.K. Gaming チャンネル
▶ Twitch はこちら: kaz_the_minotaur チャンネル
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