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【バカ学辞典】社会モード

① 社会モードとは何か
社会モードとは、人間さんが他人と関わるときに、ほぼ自動で起動する基本OSである。このOSの役目は、相手が敵か味方かを判定することだ。
敵なのか。
味方なのか。
信用できるのか。
危険ではないのか。
まずこれらを評価し、その結果に応じて、その後の思考や行動を決める。そのため社会モードが起動している間は、「何を言ったか」より「誰が言ったか」が優先される。
人間さん同士が関わる場面では、社会モードはほぼ常時起動している。
一言でいうと:敵味方を判定する、人間社会の基本OS。


② 社会モードは何のために進化したのか
社会モードは、人類が集団生活を送る中で、ほぼ必然的に生まれた仕組みだと考えられる。
もし社会モードが存在せず、相手が敵か味方かを区別できなかったらどうなるだろう。
仲間と敵を同じように扱い、
誰とでも同じように協力し、
誰とでも同じように子育てをすることになる。
そんな集団は、敵対する集団との競争で生き残ることが難しいだろう。
交配すら危険になる。
毎回、
「この相手、本当に子孫を残す気ある?」
という確認が困難になり、最悪の場合、カマキリのように交尾中に食べられる世界になっていたかもしれない。
人類はそうならなかった。
仲間を優先し、家族を守り、集団を維持する仕組みを獲得した。
その中心にあるのが社会モードである。
つまり社会モードは、人類を縛るために作られたものではない。
人類という生き物を成立させるために、自然と生まれたOSなのである。


③ 社会モードが起動すると何が起こるのか
社会モードが起動すると、人間さんは意見そのものではなく、その意見の背後にある社会的な意味を見るようになる。
「誰が言ったのか。」
「どの集団の意見なのか。」
「味方に利益があるのか。」
「敵に利益があるのか。」
そんなことが気になり始める。
その結果、

  • 肩書きを気にする。

  • 学歴を気にする。

  • フォロワー数を気にする。

  • ブランドを気にする。

  • 身内をかばう。

  • 空気を読む。

  • 派閥を守る。

  • 「○○派だから反対」「○○派だから賛成」と考える。

といった行動が現れる。
つまり社会モードとは、
論理を見るモードではなく、社会的な位置関係を見るモードなのである。


④ 社会モードが弱まると何ができるのか
相手を安心させることで、一時的に弱めることはできる。
すると人間さんは、
「誰が言ったか。」
よりも、
「何を言ったか。」
を考えられるようになる。
また、
対立する立場を同時に理解したり、
社会的に好まれる結論と、構造上導かれる結論を分けて考えたりする余裕も生まれる。
しかし、ここで勘違いしてはいけない。
社会モードが弱まったからといって、社会モードを気にしなくてよくなるわけではない。
例えば、
「その意見は、我々の利益というより、あなた個人の利益を守るためでは?」
と問いかけた瞬間、
相手は再び、
「敵かもしれない。」
と警戒し始める。
つまり社会モードは、一度突破すれば終わる壁ではない。
利害や評判が揺らぐたびに、何度でも起動するOSなのである。


⑤ 社会モードの見分け方
社会モードは、誰にでも備わっている。
重要なのは、
「今、自分は社会モードで考えている。」
と気づけることである。
次のような状態は、社会モードが起動している可能性が高い。

  • 「誰が言ったか。」が気になる。

  • 相手が敵か味方か気になる。

  • 「裏切り」という言葉が頭をよぎる。

  • 正しいかどうかより、空気を壊さないかが気になる。

  • 「みんなはどう思うだろう。」を先に考えてしまう。

これらは異常ではない。
人間社会を維持するための正常な機能である。


⑥ 社会モードの限界
社会モードは、人間社会を維持するためには欠かせない。
しかし、万能ではない。
社会モードだけでは、
新しい発見は生まれにくい。
味方の間違いを認めにくい。
敵の正しさを受け入れにくい。
そのため人間さんは、
社会モードだけでなく、
論理モードも発達させた。
一方で、論理モードだけでは共同体を維持できない。
論理だけでは、
仲間を作れない。
信頼を築けない。
協力も続かない。

社会モードと論理モード。人間さんは、この二つのOSを切り替えながら社会を生きている。

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